足がふらついて、思ったように歩けないんだよ！
まいったよ！
知らない街の中に立ってんだよ？
夜中だよ！？
腕を前にやって、バランスをとるように歩いてさ！
そしたらさ、
白い包帯が、腕にぐるっと巻いてあるじゃないの！
えっ、なにこれ？
俺って、怪我してるのかって！？

そしてさ、風の音がさ、ゴーウっとね。
これがもう、びっくりするぐらい、でっかい音なの！
たまらず耳を塞ごうとさ、俺、自分の耳を探したよ！
ぼんやりした月の光りでさ、見たんだよ！
自分をさ！
店の窓に映ってんの。
びっくりしたよ！
体じゅうが、白い包帯に巻かれてんだもん！
えっ、なにこれって、びっくりしたよ！
しかもだよ、頭の上の長いのはなんだ！？
耳？
なんだよ、位置おかしいだろって！
しかもさ、いびつな体してんだよ。
そりゃ、足もふらつくわ。

４、５分してさ、
俺、むかしっから立ち直りが早いからさ、思ったんだよ。
明日のしごと、休めるかなって。
そしたら、体が軽くなってさ。
元気も出てくるわけ。
包帯がさ、俺の精神を解放するってさ、皮肉だね。
でも、この包帯がさ、皮膚の一部かってぐらい
ほどけないんだよ！