マンハッタンに出かける用事ができたので、ついでにリードも買いに行くことにした。私はAmazonは極力使わない主義なのである。

リードなら34丁目の楽器店でも売っているのだが、まず第一に店員を見つけるのに苦労する。管楽器売り場には大抵店員が一人しかおらず、その店員が接客中だとかなり待たされる上、散々待たされた挙句に品切れのことも多い。そして在庫があったとしても割高という三つの理由でやはり足が向かない。

代わりに行くのは37丁目にあるVandoren Musician Advisory Studioである。流石にオフィシャルショップだけあって、在庫は豊富にあるし、マウスピースやリガチャーなどの試奏も待たずにできるので気に入っていた。*過去形の理由は後述する

唯一の問題はふらりと行っても閉まっていることがあると言うことである。基本的に予約制なので客足が鈍い日には早じまいするらしく、平日17:00までやっていると思って16時台に行ってみたらもうやっていなくてガッカリしたことが何度かある。

まあ、予約せずに行く私が完璧に悪いんで、電話するなり、サイトで予約を入れてから行くことをお勧めします。今回は私も予約してから行きました。たったリード3箱の為だけに予約するのも大袈裟だけど、またやっていないと悲しいので。

ちなみに、リードと言うのはクラリネットやサックス、オーボエなどの木管楽器の吹き口につける「竹みたいなやつ」。ただ、本当は竹じゃなくて葦。Reedを辞書で引いてもちゃんと葦と書かれてるけれど「竹みたいなやつ」の方が特に素人にはイメージしやすいみたい。

これを取り付けて振動させることで音が出る。つまり、管楽器にとっての声帯な訳だけど、植物を加工したものなので直にヘタって良い音が出なくなる。我々は「リードが死んだ」と言う。

演奏時には水や唾液で湿らせて使い、使い終わったら乾燥してしまうのでその内よれて波打ってしまう。水の入った瓶につけておく人もいるけれど、雑菌が繁殖するので私はやらない。

このリードが高いんだわ。サックス奏者の愚痴ランキングの第一位は「リードが高い」、第二位が「10枚入りなのに使えるリードが一枚しかなかった」なのだが、どう言うわけか私の場合はハズレ・リードに泣かされることはあまりない。10枚入りを買ったら10枚全部使えるのでコスパは悪くないのだが、それでも高い。テナーサックスやバスクラリネットなど、大きめのリードは一箱5枚入りで$27くらい(一枚$5.40=800円くらい)、ソプラノは10枚入りなのでその半額で一枚400円くらい。

ちなみに今回買い物したオフィシャルショップがお気に入りだったと過去形になったのは値上がりしたから。前回は一箱$23.50だったのに15%も値上がりしてしまったので、他店と変わらなくなってしまった。いや待てよ、他店は更に高くなったのか？

箱を開けると個別包装されたリードが出てきて、包装を開けると写真の右のような感じ。過剰包装は日本のお家芸だと思っていたが、フランス製のリードも負けていない。ちなみに普通の人には見た目チョコレートのパッケージに見えるらしい。

問題はこのケースが開封後一瞬でゴミになることだ。そう言えば以前、といっても大学生の頃だからかれこれ30年前、この溜まりに溜まったリードケースをまとめてフランスのVandoren社に送り返したことがあったっけ。メーカーの責任でリサイクルしてくれいという手紙もつけて。

現在のリードケースには一応リサイクルマークが付いていて私もリサイクルに出してはいるけれど、第5種のプラスチック、ポリプロピレンは再生すると言ってもあまり使い途がないのが実情だった気がする。

さらに気になって調べたらNYCのリサイクルゴミのうち実際にリサイクルされてるのは18%ぐらいだって…,あーあ、リサイクルって結局意識高い系の免罪符に過ぎないのかもなぁとか考えると、紙のパッケージのに変えるのが正しい気もするけれど、実際、他メーカーので気にいるのに当たったことがないんだよな。

プラスチックリードにして一枚をより長い期間使えばゴミは減らせるけれど、これも試してみた結果、3日経つともう嫌いな音に変質して使えなかった。今、一枚のリードを平均して3週間ぐらい使ってるので、プラスチックリードだと4ヶ月は持ってくれないと値段的に合わない。3日で嫌いになるリードを4ヶ月も使い続けなければいけないのは地獄。

改めてメーカーのリサイクルポリシーを見てみたけれど、再生プラスチックを使っていることが書かれているだけで、例えば他の梱包材に変える計画はないみたいだ。減量はしてるけど止める気はなさそう。このケースでないと品質が保てない理由があるのかもしれない。

考える葦のあっしが葦について考えてみました。ごめんなさい🙇‍♂️