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サックス修理

テナーサックスを修理に出した。今年なんと4回目。ちょっと回数が多すぎるが、新品で購入してから10年が経ったのでやむを得ない部分もある。うち2回は経年劣化で取れてしまったオクターブキーのパッドとネックコルクの交換だった。

今年はフルートも一回、バスクラリネットも一回修理に出したのだが(ソプラノサックスは一昨年オーバーホールしたので問題なし)、テナーだけこんなにトラブルが多いのは、それだけ沢山吹いているからだろう。

リーダーライブの時はソプラノサックス、フルート、バスクラリネットの3管体制。この3本なら地下鉄移動に耐えるし(ソプラノサックスとフルートはショルダーバッグに入れ、バスクラリネットはハードケースを手で持ち運ぶ)、曲ごとに楽器を選んで最適なサウンドに出来るのが良い。本当はテナーも持っていきたいこともあるのだが4本は体力的に無理。テナー、バスクラリネット、フルートだと嵩張って持てない。仕方なくテナーは家でお留守番。

逆に、雇われ仕事とバスキングになると、テナーの出番が圧倒的に多い。持ち替えを要求される仕事が少ないのと、テナーなら取り敢えずどんな曲でも吹けるので一本で済ませてしまうというのが理由。

テナーは他の楽器より長時間吹いている上に、屋外でも演奏する機会が多いから直射日光や埃の影響で不調を起こしやすいのだろう。とはいえ、前回の修理からまだ4ヶ月くらいしか経ってないぞ。

前回と今回は全く同じトラブルで、E以下の低音が非常に出にくくなってしまったのと、オクターブキーを押しても音程が正しくない上に音色も音域ごとに変わってしまって吹いていて気持ち悪い。軽症の頃は低音をサブトーンで誤魔化していたが、上の音まで狂ってくるともうどうにもならない。最終的には、吹いているときに左手に風を感じたり、息漏れのシューという音まで聞こえるようにまでなってしまった。

前回の修理では「そろそろパッド交換の時期」と言われていて、その場合は預かり修理で1〜2週間は吹けないが、それでは困る。パッド調整のみならば預けなくてもいいが、また4ヶ月後に同じことが起きるかもしれない。それも嫌。

そこで、前3回とは別の修理屋に頼むことにした。

これまで友人の紹介してくれた修理屋を何軒か使ってみたが、問い合わせても返事が来なかったり、待ちが長すぎたり、技術レベルに疑問があったりして、大満足とはならなかった。あと、勿論「高すぎる」とか。頼るツテはもうないので、ベタに検索して決めることにした。30年以上前からある修理屋で名前も聞いたことがある。Perry Ritter。ここにしてみるか。

ウェブサイトを見るとかなりユニークな店だということが分かった。まず驚いたのが営業時間。朝6時〜午後2時。早くない? そしてもう一つ驚いたのが「24時間以内に直します」と言うもの。

この二つが本当なら明朝一番に出かけたいくらいこちらは切羽詰まった状況。ただ、行ったら誰もいなかったとか、アポが必要とか言われたら悲しいので、探りのメールを送ってみた。送信時刻19:15。

すると夜中の3時過ぎに返信が来てアポ要らないからおいでと。

いくら気合が入っているとはいえ、朝6時に持ち込んでその場で直してもらうのは無理だろうと考え、一日預けて翌朝取りに行くことにした。到着したのが10時半。

ドアを開けるとけたたましい音が。何かと思ったらドアの内側にシンバルが吊るしてあって呼び鈴がわりになっていた。

故障の状況を説明すると「見ておくよ」「明日の朝、電話して」の二言だけ。予想通りの展開だったので「分かりました」とだけ答えて修理屋を後にする。あれ?そう言えば値段訊いてないじゃん。やっちまったかーとも思ったが、バカ高かったらレッスン料。二度と使わなければ良いんだし、値段を聞いて二の足を踏んでも他に行く店もないし、まあいいか。

翌朝8時に電話すると出来てるから取りにおいでと言われ、値段も聞いてから家を出た。現金か小切手のみって今どき珍しい…ってか、税金ちゃんと納めてるのかな。

仕上がりは完璧でした。$200は若干高い気がしないでもないけど、一晩で直ったのと、お店がマンハッタンのど真ん中にあるということからすれば、法外でもないかなと。ちなみにパッドは調整しただけで交換はしていないとのこと。後は、このコンディションがいつまで続くか次第といったところでしょう。少なくとも、前回までの修理屋が見落としていたネックのぐらつきをキチンと直してくれていたのは期待が持てます。

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