澄幹 露乃(Sumiki Tsuyuno)

2004年生まれ。作家志望の大学2年生。 主に短編を書いています。学生製作ですが毎週更…

澄幹 露乃(Sumiki Tsuyuno)

2004年生まれ。作家志望の大学2年生。 主に短編を書いています。学生製作ですが毎週更新をしていますので、少しでも頭の片隅に入れて頂けると嬉しいです。 X(contact,message)···▸https://twitter.com/Tsuyunote

最近の記事

ショートショート『コバルトブルーに溺れる』

「え?え、しんだ?せんせー、赤点って30点みまん?いじょー?」 日常茶飯事のやり取りをつまみに騒がしい教室の中でこっそり自動販売機で買った缶ジュースを飲み干す。スーガク、という絶対苦手な人は一人存在する教科のテスト返却の時間は、中間期末ともにやけにデシベルが大きくなるのだ。 とりあえず私もぐしゃりとしまい込んだ用紙をもう一度確認する。 58点、良いのか悪いのか。 私はとりあえず、椅子を思いっきり背中で倒しながら伸びをする。 一番後ろの席になってから、この景色を眺めるのが楽し

    • vlog 未来を怖がることを辞めた

       4月ももうすぐ終わり。  ミモザが揺れる季節になったこの頃、いかがお過ごしでしょうか。  世間はGWです、私も明日帰省する予定です。  今日は久しぶりに朝帰りという悪いことをしました。  今も気分が高揚しているんですよね、ドーパミンの影響かもしれないですがそれよりも「とあること」を名乗れるようになったことが嬉しくて仕方がないのです。  私、澄幹露乃、突然ですが大学2年生になってからとあるサークルに所属させていただくことになりました。 『お笑い』サークルです。  両親の

      • ショートショート『寝る子は育つ』

         「あ」  自分の住む町には、高い建物はないけれど、草花を程よく揺らす風と共に生き物たちは各々音をたてて今日も歩き続けている。  「優奈ちゃん、今日もよろしくお願いします。」といういつものバイトの連絡とともに、長い道を歩きながら私は常に景色を良い意味でにらみつけている。  住まいというものは多少不便なところなところがあるくらいがちょうどいいし、ビルの光よりも星の明かりの方がこころを穏やかに生きられることができているこの生活を選んで、喜び、という意識をまた高められるようにはな

        • vlog 志賀玲太先生の「病葉」を拝見して、改めて自分について。

          勝手ながら、初めてnoteの記事についての感想を書かせていただく。 志賀先生はこの記事を書いたとき、怖くはなかったのだろうか。 自分の内面をこんなにもはっきりと写る硝子のように書き連ねることができること、私はできるだけ自分の内面だとか本音だとかを直接言うことのできない人間だからなのか、どう表現すれば良いのか分からないが、ぱっと感じたのは「羨ましい」という感情だった。 自分には○○があって、それを改善するために○○していること、という表面上では見えない部分が書けること。 自

        ショートショート『コバルトブルーに溺れる』

          ショートショート『試験期間中』

          常に感覚というものは使い・使われすぎている。 そのほとんどは意識的ではなく無意識であるし、苦痛すらも感じることも無くて何が普通というものなのかさえもわからなくなる。それが、この日常。 とりあえずルーティーンで何か機械をつけることにしよう。 音が、とりあえずないとむなしい。 いざ作業に取り組むことにしたのは良いものの、ふと疑問に感じる部分がこんな時に限ってたくさん見つかる。 今聞こえているのは毎日同じ時間に想像力で溢れに溢れた、番組の流れ星たち。視覚を使わずに画面なしで頭の中

          ショートショート『試験期間中』

          ショートショート『スーヴェニア』

          中庭にはにかっと笑った人たちが駆け回り、周りを照らし始めている。 それに対して、暖かな澄んだ空気を吸う力がだんだんと弱くなっていく姿が窓際に映る。 そろそろ、シロツメクサの茂る季節だ。 心なしか点滴の落ちる速度は増して、サッカーボールが知らないところへスキップしている。 今見える景色は箱型で、小さな植物と、一番星たちが見えるくらいだ。 私は一生懸命生きる彼らにもう追い付けはしないと覚悟はしていた。 日差しや月の光、蛍光灯がないと目が輝くことすら求めなくなっている現実に、強い

          ショートショート『スーヴェニア』

          vlog 第2回 SCHOOL OF LOCK!Creation Academy in 東洋学園大学 の振り返り

          たぶん、この記事を見て頂いてるなかには、私のことを知っていますという人も少なからずいると思う。 私はラジオの中の学校、SCHOOL OF LOCK!の生徒のひとりだ。 まずは簡単に、このラジオ番組についての説明をさせていただく。 この番組は「ラジオの中の学校」として、平日22:00~TOKYO FMから全国ネットで放送されている番組である。 「生徒」とはSCHOOL OF LOCK!のリスナーのこと。 パーソナリティは、こもり校長こと、GENERATIONSの小森

          vlog 第2回 SCHOOL OF LOCK!Creation Academy in 東洋学園大学 の振り返り

          短編小説『花束』

          仮に、何もない荒野に突然オアシスが現れることはきっとないとしても 春になって、周りに花が咲くように規則性のあるものは存在して それはいずれにせよ人々を喜ばせるものへと変わっていく。 人間は季節の変わり目に、旅立つケースが多いらしい。 「ゆうくん、私、お葬式は静かなところがいいな」 緩和ケア病棟に入った直後のこと。彼女は窓の向こうを見つめながら、向こうに行く前提のことを呟くことになった。 「大切な人にだけ、見てもらいたいの。街の方じゃあ、集中できないでしょう、いろいろと。」

          ショートショート『I WANNA BE』

          誰もいない道で、私はターンする。 1,2,3,・・・と数は増えていく。 靴のメロディーに乗せて、フリルは風に揺られ、花々と香水の香りが交じる。 絵本の中でしか見ないような装いが好きだから、自分もそうなりたいと思った。 ぬいぐるみがないと眠れないから、自分の部屋は別世界のようにした。 本当の私は恥ずかしいままだから、あこがれがたくさん詰まった宝石でいっぱいのクローゼットに隠したままだけど、それでも愛しい存在でいたいのは変わらないのよ。 ずっと前に、私は人形の存在に強い羨まし

          ショートショート『I WANNA BE』

          こんにちは。現在、雨です。 もうそろそろ春の陽気が欲しいと思うこの頃ですが現実はそうはいかないものですね。手がかじかむ寒さです。 話は変わりまして、近々Xのアカウントを作成することにしました。 ペンネームも決定し、作品の更新のお知らせを主にします。 何卒よろしくお願いいたします。

          こんにちは。現在、雨です。 もうそろそろ春の陽気が欲しいと思うこの頃ですが現実はそうはいかないものですね。手がかじかむ寒さです。 話は変わりまして、近々Xのアカウントを作成することにしました。 ペンネームも決定し、作品の更新のお知らせを主にします。 何卒よろしくお願いいたします。

          ショートショート『はなまるびより』

          保健室のベッドだけが守ってくれた日々がかつて存在した。 自分の知っている保健室の話だが、なぜか声がやけに聞こえやすい場所にどこも存在していた。 ただ、もちろん壁は存在していたのだから、どんな音もちょうどよく聞こえたのだ。 校庭の端っこで枝やら草やらをつついているような気分になる、これが無心なのだろうと思った。 短く小さいショートパンツと、派手なニーハイソックスにスニーカー。 見た目を気にせずに無造作に結った髪をかき上げていた姿の自分が思い浮かぶ。 やけに点々の付いた天井を見

          ショートショート『はなまるびより』

          そろそろ、 ペンネームを決めたいなあと思っています。 自分の今まで考えたものははっきり言うとちょっとおかしなものなので。 今の酔生夢死みたいに漢字四文字がいいなあ。 いっそオリジナルの四字熟語でも考えてそうしようかなとも思っていますが やはり、一生使うものには悩むものです。

          そろそろ、 ペンネームを決めたいなあと思っています。 自分の今まで考えたものははっきり言うとちょっとおかしなものなので。 今の酔生夢死みたいに漢字四文字がいいなあ。 いっそオリジナルの四字熟語でも考えてそうしようかなとも思っていますが やはり、一生使うものには悩むものです。

          ショートショート『燦々と、道中で』

          バスの停留所、残りおよそ100m先。 赤信号で奇跡的に止まる乗り物を追い越して、スカートがはためきながら駆け出していく。 私の足はまだ正気を取り戻したまま、額の汗だけが流れ続ける。 高校のころ、全く同じ景色を見たわけではないけれどとにかくがむしゃらに生きていた。穏やかな街並みに相反して、今より短いスカートの裾は気にせずにずっと得体の知らない何かを追いかけていたように思った。 欲だとか、夢だとか、死だとか、物体として存在しないものを求めてしまいがち、と言っても良いのだろうか。

          ショートショート『燦々と、道中で』

          ショートショート『ラスト・スイーツ』

          「デザート」という響きには小さい頃から惑わされてきた。 毎週のご褒美に、ひとびとは甘味で満たそうとする。自分もそうである。スーパーで敢えて割引されていないものや、コンビニエンスストアの限定の表示から目を離せなくなるのは、もはや習性と言っても過言ではないだろう。 クリームソーダの上のさくらんぼやショートケーキの上のいちごだったり、なぜスポンジやクリームなどの彩りに囲まれた果実はより素敵な喜びを足してくれるのだろう。 単体で噛みしめる幸せも、たくさんのものが交わった幸せも好んで

          ショートショート『ラスト・スイーツ』

          ショートショート『さよならホームタウン』

          ついに、バイト先の目の前の古着屋が潰れた。 目の当たりにする景色に溢れているほど知っている街は廃れはじめてきている。 身体だけ成長しきった身体を重く動かしながら、機械のように巡る流れ作業の一日をいつになったら離れられることができるのだろうか。 「え?またあそこ潰れたの?」 無意識に過ごす姿ほど、突然消えていくものばかりだ。本当はもっと、場所に対する温もりというものを人間に覚えさせるべきなのに。 田畑が建物になり、動物は何処かへ逃げていく。 触れるべきものに触れられない

          ショートショート『さよならホームタウン』

          ショートショート『いとしい時こそ』

          子供の泣き声が響いているなかで、キャンバスは毎日のように色が足されていく。瞳の色が同化して、それは歳をとる事にどんどん増していく。 毛布のような柔らかな想いを紡いでいるだけで毎日歩ける気力を増やせるようにはしているけれど、ぬくもりなんてただ表面だけなのだろう。 すべて綺麗に保つことなど、結局あいまいでいられることしかできないものだ。 ほら、きょうも終わるかわからない季節が進んでいくよ。

          ショートショート『いとしい時こそ』