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2019年読んだマンガで面白かった8冊を紹介します。 7.バジーノイズ

著者:むつき 潤
出版:小学館

音楽もの

主人公の男の部屋には音楽をやるためのものしかない。
毎日部屋で好きな音を鳴らして、音楽さえあれば自分の人生十分だと思っていた。そこへ、自分の音が、自分の事が、好きだと言ってくれる女が現れ、人生が、音楽が、拡がっていく

イカれた女なんですよ。かわいいんですけど

自分の音が好きやと言ってくれて、それを拡めたいと言ってくれて
SNSで広報用のアカウントなんか作って、楽しそうに

横でこんな楽しそうに、褒めてくれる人がいるから
どんどん世界が拡がっていく

物語の原動力はこのヒロイン
自分と音楽しかなかった世界に、いろんな人や音が入ってきて

主人公の才能は認められて仲間ができて、EP出そかという話になり、はたと気づく

この人の世界にワタシは要らない。

彼女にとっては
彼と私と音楽が全てやった。

でも彼が、彼の音楽が好きで、自分は邪魔やから身を引いた

いいですねー

軽さ、というとめちゃ語弊があるんですけど
こう、一歩引いた温度感で彼らとそこで鳴っている音を表現していて

それが、うまーくマンガ的に描かれてるんですよ
白か黒かはっきりした配置、コマはパキっとしてて線が太い

好みは分れるらしいですが、お洒落表現としてぼくはとても好きです。
そこで鳴っている音は絵では分からないけど、気持ちのいい音に違いない
そんな確信をもてる表現です

話の温度感と、マンガ的表現がばっちり合ってるんですよね

ほんで、雰囲気が今っぽいだけじゃなくて話もちゃんと今っぽい

世界中の人に自分たちの音楽を聴いてもらいたいから、レコード会社に持ち込む
のではなくて、サブスクの配信サービスサイトに一斉に撒く

とか

こういう、今の文化がマンガとして残ることがなんか楽しいですし

じゃあ、音つくって配信してライブして
ってのが、全部自分たちだけでできるようになったからって
そのチーム運営がはたして健全なのか

レコード会社にはそれぞれのプロがいて
自分たちの持ってない引き出しもいっぱいある

でも、レコード会社のいいなりになったり
飼い慣らされてしまったりするのは嫌だ

みたいな、
今の文化を切り取って終わらず、一歩踏み込んでいるのもおもしろいですねー

巻を追うごとにどんどん良くなっていくタイプのマンガです。
ぜひに

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