見出し画像

のびのびと、珈琲

今朝になって少し咳がぶり返してきた。
こういうお店をしているので、熟慮の末に当日だが臨時休業することにした。

午前中、ツレが珈琲をご所望なので用意することにした。
エチオピア アリーチャ ナチュラル 深煎り、焙煎日は12月11日。
出来がいまいちで自分たちの消費用にストックしている豆だ。
中挽き30g、抽出は2人分400cc。
ハリオV60のペーパードリップ。

銅之薬缶に沸いた湯をポットに移す。92℃。
プラスチックのドリッパーに濾紙をセットし、ポットから湯をさっと全体にかける。
そのままでも良かったけれど、ちょろっと差し水。90℃。
流しでドリッパーの湯切りをサッサッとしつつ、珈琲受けの銅片手鍋に落ちた湯をサッと捨てる。
ドリッパーに粉を淹れて無意識的に中指でトントンして平す。
片手鍋はドリッパーよりも口が大きくて、油断するとドリッパーが落ちてしまうので慎重に、端っこギリギリに乗せる。
  
電熱(ウォーマー)のスイッチをオン。
普段のネルドリップの抽出を思えば、もはやジョーッという擬音が聞こえてくる。
そんな勢いで湯を流し入れる。
中心からぐるぐるっと、外までいったらまた内に向かって。
よくいわれる「の」の字、の淹れ方ってどうやるんだろう、と実はいまだによくわかっていない。
そのうちすぐに珈琲液が片手鍋に落ちてくるけど、なんかまだ足りない気がしてもう一巡ぐるぐる流し込む。
なんとなくドリッパーの中、全体に湯を染み渡らせる想像をする。粉全体から満遍なく風味を下に落としたいのだ。
ポットを置いて表面を見ると、噴火中のマグマのようにぼこぼこ躍動する。
その躍動があるうちは、少し眺めるようにしている。
理由はないけど、なんかこの中で整おうとしているのかなあと、ぼんやり思う。
20秒だか30秒だかすると落ち着いて静かになるので、またジョーッとぐるぐる流し入れる。
早過ぎず、遅過ぎず、粉の膨らみが決壊しそうになる2巡目くらいで一旦手を休める。
止めると萎んでくるから萎み切る前にまたジョーッと。
これで目標の400ccまでいったのか、もう一回どこかで休めたかは覚えていない。
外してカップの上にドリッパーを乗せる。
もう片方のカップにはポットから湯を入れてカップを温め、またポットに戻す。
ドリッパーを乗せたカップを流しまで持っていき、ドリッパーを流しに置き、カップに溜まった出涸らしの珈琲も捨てる。
どちらもカップは温まった。万端だ。
カップの水滴は拭かない。近くに拭く用の布が無かった。

だいたい半分ずつになるように注ぐ。
ツレに渡し、自分も座って一口啜る。
悪くない。
焙煎から一月経とうとも、深煎りを90℃で抽出しても、中挽きでも、ジョーッと雑に注いでも、美味しいじゃないか。
私の口はもう深煎りネルドリップ用でバグっているので、深煎りだけどこれはもはや全く苦くない。
紅茶だ。
今は優しい紅茶くらいの珈琲が良い。うん。
ちなみに抽出後のドリッパーの中は、真ん中が陥没してドーナツのようになっている。
いいじゃないか、美味しいんだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?