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CFO Tech

前回書いたスタートアップCFOのネクストキャリアがなかなか好評頂いたので今回もCFO関連で。

前職でCFOをしていた頃「こんなプロダクトがあったらいいのに」と思うことが色々ありましたが、ここ1-2年、そんな「あったらいいながある!」を目にする機会が増えてきています。ここでは「CFO Tech」というテーマでいくつかピックアップしてみました。
(現職でも引き続き投資家として様々なスタートアップとは向き合っているものの、CFO職務自体は離れて数年たちますので感覚が古かったらご容赦&ご指導ください!)

Coalisの久保田さんがXでこんな会社をご紹介されてました。


資本政策、事業計画、FP&A、資金調達、会計/決算/税務、キャッシュマネジメント、IR、内部統制、etc. CFOまわりの業務もAIやクラウド化による効率化の余地がまだまだ膨大にありそうです。

EasyVCがターゲットにしているのはスタートアップの資金調達。この領域だけでもかなり効率化・改善の余地があると感じています。

例えば投資家向けピッチ。初回はいつもほとんどおなじプレゼンをして、だいたい毎回同じような質問を受ける1時間。GSで投資家側の仕事をするようになってスタートアップの方々にピッチして頂くときも常々申し訳ないなと思っていました。マッチングに加えてこのような初回セッションをAIが効率化してくれたなら。

特にまだCFOがいないフェーズの会社では資金調達の期間中、CEOが投資家対応にかかりきりになってしまい、本来最も時間を割くべき事業やプロダクトが片手間になってしまう。スピード勝負のスタートアップにとってけっこう痛いんですよね。

投資家のリードを効率的に獲得してきてくれていきなり中身の濃い個別ディスカッションから入れるようにしてくれる、マーケティングオートメーションのようなプロダクトはないものか?なんて妄想したものですが、EasyVCがやってくれるのはまさにそれに近いのかもしれません。

あとは実際に興味を持ってくれた投資家とその後のコミュニケーションのステータスを管理できるイケてるCRMがないものかなと当時思っていました。いまではsmartroundさんがこれをやってるんですかね。ちなみにこの投稿を書きながら身の回りのスタートアップCFO数人に管理方法を聞いてみましたが、返ってきた答えは「スプシです。。笑」「スプシでリストにして個別メモはNotion」「レトロにエクセル」「エクセルです!笑」でした。

KEPPLE CRMもあるけど、どちらかというと投資家側を向いたサービスなのかな?という印象です。(神先さん間違っていたらすみません笑)

特にミドル~レイターステージになってカウンターパートに海外投資家が入るようになってくると相手の数がいっきに増えるし、DDでのデータのやり取りも複雑になってきます。また、証券会社主催の投資家カンファレンスに出たりすると、朝から夜まで1日に最大10社前後の投資家と対話し、それが3日間とか続くので、会話しながらメモを取り切るのは至難の業。途中から酸欠状態で頭は働かないし、誰と何を話したかわからなくなってきます。

さらに、将来株主になってほしいと思う有望な投資家に対しては資金調達が始まってからではなく平時からコミュニケーションをとっておけると良いと思っています。

どこのファンドの誰といつ何を話したか、そのファンドの特徴(ステージ、セクター、チケットサイズ、投資検討プロセスや期間、日本の投資先など)とか、相手からどんなコメントや質問があったのか、どのデータをどのバージョンでいつ共有したか、ネクストステップは?などなど。大切なポイントが抜け漏れなく、わかりやすいフォーマットで、誰でも過去の必要なデータにさくっとたどり着けるような形での共有・管理はなかなか容易でないです。たぶんマーケ領域ではそれこそSalesforceなどがイケてるCRMを作っているんですよね。(使ったことがないのでわかりませんが)

ちなみにその他のCFO関連領域では、例えばOne CapitalさんがSaaSスタートアップ向けの事業計画作成ツールprojection-aiというのを出していたりして面白いです。VCでありながら自らプロダクトを創ってしまうという、浅田さん率いるOne Capitalらしいアプローチですね。

あとはイケてると名高い株式報酬SaaSのNstock。先日尊敬するコバケンさんにランチで熱く語って頂き色々なインサイトを頂きました。

海外では先日GSがSimetrikという会社に投資していました。南米コロンビアの会社で、主に会計処理や入出金まわりを自動化する"Automation tech for CFOs"とのこと。Building Blockごとに機能を小分けにして顧客が導入しやすく、またスケールしやすくするやり方はマネフォさんの「コンポーネント型」という思想に近いんですかね。お約束のノーコード&生成AIもきちんとおさえてます。ちなみにNubankやRappiなど、南米から勢いのあるスタートアップがけっこう出てきている印象です。

The Colombia-based company is developing financial automation technology around record centralization, reconciliations, controls, reporting and accounting. Where it is differentiating itself is through its Simetrik Building Blocks, or SBBs, which are scalable and adaptable concepts based on no-code development and generative AI technologies.

“There are a number of controls and automations that need to be done in the CFO’s office, including financial flows, and many others that are currently run manually,” Santiago Gómez, co-founder and COO of Simetrik, told TechCrunch. “Never before has there been this approach. We had an orchestration platform, which we left behind, and are now dedicated to software for CFOs.”

(TechCrunchより)


人材供給が圧倒的に足りていないスタートアップのCFOマーケット。こういったテックの普及によって少しでもペインの解決につながり、日本のスタートアップエコシステムが活性化していくと良いですね。

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