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運転資金が不足する原因~その2~

運転資金は会社にとっての血液です。これが不足すれば会社は身動きがとれなくなり、受注や売上があろうとも突然死(倒産)してしまうことにもなります。

前回は売上を増やすことで運転資金が減ることを説明しました。もう一つ、経営者が覚えておきたい運転資金を減らす原因は、利益率の低下です。

利益率が下がると運転資金も不足する

経営目標として売上を基準にしている会社は多くあります。その場合、営業マンに対しても、売上で目標設定することになります。売上目標の達成が難しい場合には、値引販売をすることで、目標が達成できることがあります。しかしながら、これは資金繰りの観点からは決してやってはいけない販売方法になります。

なぜなら、売上目標を達成したとしても、運転資金が減少してしまうので、結果的に経営が辛くなるからです。それくらいならば、売上は下げてでも値引きをせず、利益率を維持した方が、手元に残る資金は多くなるのです。

利益率が減少した場合の運転資金シミュレーション

では、前回と同じく、商品を仕入れて売るだけのシンプルな会社の例で考えてみましょう。1月に商品を40万円仕入れ、2月末に代金を支払います。そして2月中に商品を100万円(利益率40%)で販売し、3月末に代金を回収するとします。この場合、仕入代金を支払ってから、販売代金を回収するまでの1ヶ月間は、40万円の資金が使えないことになります。

もし利益率を20%に下げ、売上は100万円を維持するとどうなるでしょうか?利益率が20%ということは原価率は80%なので、80万円の仕入を1月に行わなければなりません。2月末の支払は80万円です。そして、2月に販売を行い3月末に代金を100万円回収します。この場合、仕入代金を支払ってから、販売代金を回収するまでの1ヶ月間は、80万円の資金が使えないことになります。

両者を比べてみると、利益率が下がった後者のケースでは、1ヶ月間で、2倍の資金が使えない状態となっています。つまり、運転資金が2倍必要となるということです。

利益率を下げていいことはない

上記の例では利益率を下げたがために、2倍もの運転資金が必要になってしまいました。加えて、100万円の売上高で利益率が40%なら40万円の利益が残るところが、利益率が20%になることで利益も半分の20万円になってしまいます。

つまり、運転資金が40万円増加の80万円となったにも関わらず、利益は20万円減少の20万円となってしまうのです。運転資金の増加というリスクをとったのに、リターンが減っているのでは全く意味がありません。

しかし、現実の会社経営では、このようなことがよく起きています。資金のことを理解したアドバイザーがいないのが最大の理由で、そのために売上は維持しているのに資金は苦しくなってしまうのです。

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