安藤智洋(公認会計士・気象予報士)

中小企業の経営者にとって最も重要な会計や財務の知識。正しく理解して実践すれば、必ず会社…

安藤智洋(公認会計士・気象予報士)

中小企業の経営者にとって最も重要な会計や財務の知識。正しく理解して実践すれば、必ず会社は良くなります。会社のお金に関する誤解を理解に変えて、強い会社づくりをお手伝いします! https://www.wisteria-concier.com/

最近の記事

隠れ自転車操業に要注意

自転車操業という言葉は聞いたことがあると思います。デジタル大辞泉では自転車操業は次のように説明されています。 資金の借り入れと返済を繰り返しながらかろうじて操業を続けること。また、そのような経営状態。 自社がこのような自転車操業に陥っている状態であるかどうかは、経営者であればわかると思います。もちろん、この状態は非常にまずいので対策を早急に打たないといけません。 しかし、経営者が気が付かずに自転車操業になっているという困った状態の会社もあります。今回は、隠れ自転車操業に

    • 従業員の評価指標が利益でなければならない理由

      従業員の評価を行うとき、何も基準に行っているでしょうか?従業員自身の自己評価や上司や同僚の評価といった定性的な要素を用いることもありますが、売上高に基づいた定量的な評価を行うこともあります。 しかし、売上高による評価は客観性には優れているものの、会社を良くする効果は全くありません。定量的な評価を行うのであれば、利益を基準にしなければならないのですが、今回はその理由を説明します。 理由1:売上と利益は相関しない売上が高いと会社にとってどんな良いことがあるのでしょうか? 実

      • 資金を増やすための決算活用術~その2~

        会社の資金を増やすためには、次のような様々な方法があります。 ・売上だけを追い求めない ・利益率を上げる ・売掛金や在庫を過剰に増やさない ・必要以上の投資は行わない ・融資の条件交渉を行う ・無駄な経費は使わない しかし、方法を知っていてもそれを正しく実行できなければ資金は増えていきません。前回に引き続き、資金を増やすための方法を実際に行う方法について解説します。 スピード決算では資金の動きを掴むことが大切資金改善のための決算では、回数を多くすることと、正確さより素早さ

        • 資金を増やすための決算活用術~その1~

          会社の資金を増やすためには、次のような様々な方法があります。 ・売上だけを追い求めない ・利益率を上げる ・売掛金や在庫を過剰に増やさない ・必要以上の投資は行わない ・融資の条件交渉を行う ・無駄な経費は使わない しかし、方法を知っていてもそれを正しく実行できなければ資金は増えていきません。今回は、資金を増やすための方法を実際に行う方法について解説します。 まずは現状を把握を行う資金を増やすといっても、いきなり上記のことを行うわけではありません。まずは、会社の現状を分析

          労働分配率を計算して人件費を適正化

          経営者であれば、従業員の給与をいくらにすべきかは常に考えなければならない事柄の一つです。従業員の立場からは、高い給与が望ましいですが、給与水準が高すぎることで会社の財務状況が悪化し、倒産してしまっては意味がありません。反対に、給与水準が低すぎれば、その会社で継続して働こうという気持ちがなくなってしまいます。 このように、適正な人件費を決めるのはかなり難しい問題です。そんなときに役立つ「労働分配率」という指標について説明したいと思います。 労働分配率とは労働分配率の計算には

          労働分配率を計算して人件費を適正化

          資金が貯まらない会社の特徴

          会社の資金が減ったときにどのような行動をとるかで、その会社の命運が別れます。そして、いつも資金に困っている会社の多くは、決まって同じような行動を取ります。それで一時は資金が増えるのですが、またすぐになくなってしまうのです。このような、資金が貯まらない会社はどのようなことをしているのでしょうか? その場限りの資金調達を行う来週、支払があるのに資金の工面ができない。そのようなとき、資金が貯まらない会社では、その支払を何とかするためだけに行動します。例えば、銀行やノンバンクから融

          資金が貯まらない会社の特徴

          過剰在庫には金利が発生する

          いつかは使うはず、安かったから大量に購入した、顧客からの短納期要望に応える必要があるなど、様々な事情により在庫残高が増えすぎてしまうことがあります。しかし、在庫には適正額があり、それ以上の残高を保有することは会社のリスクを高めることになります。 在庫を保有することで発生する経費在庫を保有することで発生する経費にはどのようなものがあるでしょうか?まずは、在庫保管スペースにかかる費用です。倉庫料、損害保険料や在庫の入出庫に係る人件費、運送費等が発生します。自社で土地や建物を保有

          過剰在庫には金利が発生する

          客数が減っても利益率が上がれば利益は増える

          緊急事態宣言が解除され、平常化へ向けた取り組みが始められようとしています。しかし、この数ヶ月の間に、客数が減少し、売上高が減少してしまった企業も多くあります。 売上が増えても利益は増えるかどうかはわからない、このことに気付かず売上を追い求めた結果、利益が減って資金が足りなくなることはよくあります。しかし、これは逆も真で、売上が減っても利益が減るかどうかはわからないのです。 客数が減って売上が減っても利益は増える、この仕組みについて解説したいと思います。 売上と利益の違い

          客数が減っても利益率が上がれば利益は増える

          運転資金が不足する原因~その2~

          運転資金は会社にとっての血液です。これが不足すれば会社は身動きがとれなくなり、受注や売上があろうとも突然死(倒産)してしまうことにもなります。 前回は売上を増やすことで運転資金が減ることを説明しました。もう一つ、経営者が覚えておきたい運転資金を減らす原因は、利益率の低下です。 利益率が下がると運転資金も不足する経営目標として売上を基準にしている会社は多くあります。その場合、営業マンに対しても、売上で目標設定することになります。売上目標の達成が難しい場合には、値引販売をする

          運転資金が不足する原因~その2~

          運転資金が不足する原因~その1~

          運転資金は会社にとっての血液です。これが不足すれば会社は身動きがとれなくなり、受注や売上があろうとも突然死(倒産)してしまうことにもなります。 運転資金が不足する原因はいくつかありますが、ここでは、経営者が覚えておきたい典型的な原因について解説します。 運転資金とは何か?その前に、運転資金とはなにかについて説明します。運転資金とは会社を経営していく中で日々必要となる資金のことです。例えば、材料や商品を仕入、従業員の給料、その他の経費等が該当します。なお、設備投資の資金は運

          運転資金が不足する原因~その1~

          資金を増やす経営のポイント~その3~

          先日、儲かっても資金が増えるわけではないことについて説明しました。では、どのようにしたら資金が増える経営ができるのでしょうか。今回は借入金についてです。 資金調達とは返済方法を考えること企業の資金調達は、銀行から融資を受けることがほとんどです。クラウドファンディングのように、一般の投資家から広く資金を募る方法もありますが、信用力のない一般企業では、なかなか資金の出し手を探すのが難しいからです。 さて、銀行から融資を受けるときに、多くの方は借りることだけに注目します。実際、

          資金を増やす経営のポイント~その3~

          資金を増やす経営のポイント~その2~

          先日、儲かっても資金が増えるわけではないことについて説明しました。では、どのようにしたら資金が増える経営ができるのでしょうか。今回は設備投資についてです。 売上を上げるためだけに設備投資をしてはいけない会社が設備投資をするのは売上を上げるためではありません。このことを誤解している社長は多いですが、そのために資金繰りに苦しんでいます。原則として、設備投資は二重に支払が必要なのです。二重に払えば資金が足りなくなるのは当然ですよね。 ではどうして二重払いなのか説明します。1つ目

          資金を増やす経営のポイント~その2~

          資金を増やす経営のポイント~その1~

          前回、儲かっても資金が増えるわけではないことについて説明しました。では、どのようにしたら資金が増える経営ができるのでしょうか。 会社の資産とは将来資金に変わるもののこと会計の定義では、将来、資金が会社に流入するものを「資産」と呼びます(注:資金そのものも資産に分類されるのですが、ここでは資産には資金は含めないこととします)。例えば、売掛金や受取手形は得意先から回収することで、在庫は販売することで資金になります。設備投資は、機械を使用して製品を生み出し、その製品を販売すること

          資金を増やす経営のポイント~その1~

          儲かっても資金が増えない不思議

          あなたの会社は儲かっているでしょうか?確かに今はコロナウィルスの影響があるので、大変な時期かもしれません。しかし、それ以前はどうだったでしょう。大きく儲かって、税金も多額に納税した、そんなときがあったのではないでしょうか? では、その儲かっていた時期に会社に資金はあったでしょうか?資金が潤沢にあったならば、正しい経営をしていた会社です。しかし、儲かっているはずなのに思ったほどは資金がない、このように感じている社長の方も多いのではないでしょうか。 儲かっているのに資金が増え

          儲かっても資金が増えない不思議

          売上を増やすと倒産する!?

          ほとんどの社長が売上を増やすことが、資金を増やし経営を楽にする方法だと思って営業を頑張ります。ところが残念なことに、売上を増やしたことによって倒産してしまうということがあるのです。 このタイトルは決して誇張ではなく、実際に倒産する会社ではしばしば起きていることです。では、なぜ売上が増えて倒産してしまうのでしょうか? 売上を増やすためにすることまず、売上を増やすために何をするかを考えてみましょう。仕事を依頼してもらえなければ、売上は増えませんので社長をはじめとした営業部隊は

          売上を増やすと倒産する!?

          売上が増えても資金は増えない

          営業が得意な社長であるほど、会社の売上を伸ばすために頑張ります。売上が増え、資金も増えているのであれば何も問題はありません。ところが、売上が増えたのに、資金が増えない、いつになっても借入の返済が辛いといった会社があります。これは何故でしょうか? 売上が増えた分無駄な経費を使っているこれは、言うまでもないことですが、売上が増えたからと言って、今まで以上に交際費を使ってみたり、必要のない資産を購入したりすれば、資金は決して増えません。 うちの会社ではそんなことはしていない、と

          売上が増えても資金は増えない