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不条理日記 吾妻ひでお


雑誌「奇想天外」や「劇画アリス」に連載された伝説的漫画である。当時もう、SF、ロリコン、不条理マニアが、異様な熱気を持って本作品を賞賛していた。らしい。
 岡田斗司夫や庵野秀明らが、アマチュアSF大会「DAIKON」を大阪で開催し、自作のオープニングアニメを上映したが、吾妻の女の子キャラはそこで主役級の役割を担っていた。らしい。
 私はいったいいつ読んだのだろう。読んだ記憶も本の内容も全く記憶にない。今度改めて読んでみて、実に、全く面白くなかった。どうしてこの本が家にあるのかさえ、全くの謎である。
 私にとっての吾妻ひでおは「二人と五人」のちょっとエッチなギャグ漫画家だった。はたして吾妻は、あの漫画を無理して書いていたのだろうか。それこそ食べるために。ホントかなあ。そりゃ、個人の資質はあるにしても、それは抑えて、仕事として楽しんでやっていたのではないのかなあ。不条理ギャグはくすぐり程度で、だから面白かったんじゃないのかなぁ。
 吾妻は、いつの間にか、不条理ロリコン漫画の教祖にされてしまい、本人も望んでそっち方面に擦り寄っていき、結局書けなくなり失踪する。実は、不条理ネタなど山ほどありそうで、ホントはないのだ。創作とは構築することだから、それを否定する方向にだけいけば、最初は斬新で新しくて過去の価値観から離脱したように見える。でも、否定したりハズしたり逸脱したりすることばかりが目的だと、続かない。当たり前だ。
 吾妻が描けなくなったのも、吾妻が仕事をしなくなったのも、それはほとんど自分のせいだが、彼を不条理ロリコン漫画の教祖みたいに祭り上げたファンの責任もあるように思う。
 そこそこ人気のある普通のギャグ漫画家では、吾妻さんも納得できなかったのかな、やっぱし。しかし、あまりに早い死であった。

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