見出し画像

数年内にJクラブで起きうる4つのシフト

いまJリーグクラブで働いていてクラブ運営のいろいろをこの1年見てきたが、課題を目の前にした時に、人やお金を使えばある程度は解決することはできると思う。ただJクラブはそれらリソースがないという課題があってそれらをスルーするつもりはないが、そのリソースを理由に場当たり的になると中期的なコスト増になってしまう。一旦深呼吸して、これからJクラブがこうなっていくという視座をもって、解決する必要があると思う。

そこで、最近考えていたことを棚卸しするつもりで、Jクラブ経営で数年以内に起こるであろうことをまとめてみることにした。すでに動き始めているクラブもあるし、まだまだそんな状況でないクラブもあると思う。先に言っておくと、この記事は「どこがどこに資本参加する」とか「スタジアムの在り方はこう」という未来予想図的なものにはならないし、当たり前じゃんという内容かもしれないのでゆるく見てもらえたらと思います。

Jクラブのコンテンツメーカーへのシフト

チーム・選手を軸にしたコンテンツは、ドローンやアクションカムの進化や低価格化、通信回線の強化によってより多様化が進んでいく。まるでピッチにいるような体験ができるようになると思う。(LAFCのコンテンツを例に掲載しておく。セカンドゴールキーパーはカメラをつけたまま一日を過ごす)

それらのクラブ独自で制作する機能や組織をもっていることがこれからは重要なキーワードになってくると考えている。コンテンツを持っていれば、スタジアムWi-Fiのみで配信したり、課金配信することも可能だし、これからはクラブの魅力づくりのフックとなる可能性を持っている。スタジアムだけでどうこうするということから一旦離れてスタジアム外でも価値のあるコンテンツは何かという視点で考えてみることも必要かと思う。

ファン・会員獲得の流れのシフト

既存のJクラブの多くはまだまだオフラインをメインにした会員へのアプローチが多い。ただ同時にTwitterやInstagram、Facebook、YouTubeなどで独自のコンテンツを配信し、フォロワーを増やしているクラブもある。わたしが言いたいことは、単純にオンラインを強化した方がいいということではなくて、これまでのオフライン→オンラインの流れではなく、オンライン→オフライン会員化の流れはいずれ出てくるということ。

また、現状のクラブ会員のメリットは、前売チケットの価格や座種など基本的にはスタジアムに軸にしたものにお金を払っているため、チームに興味があるという会員が主だが、オンラインであれば、チームはもちろん、スタジアム外でのクラブ・チームの価値提供も可能なので、おのずとタッチポイントが増えることが予想できる。オフラインの会員も含め、今後のクラブがつくる・編集するコンテンツによっては新たな収益軸もしくは、既存会員のアップセルにつながる可能性は高いと考えている。

データドリブンな集客にシフトする

みなさんがGoogle検索するとする。するとアクセスした場所、ログイン情報を元に検索結果が違うように、これからは年間チケットを買った人、チケットを買った人の顧客データをもとに試合当日の天気、位置情報やその人の来場傾向、来場の意思決定タイミングを逆算したセールス、スマホ(オンライン)でプッシュされることが当たり前になると思う。つまりすべてはデータが軸になってくる。ただオフラインの集客活動がなくなるわけではないので、全体の集客戦略を描く、より最適化できる人材が必要になってくると思う。

またデータが貯まってくるとスタジアムの結果来場予想の誤差が少なくなってくる。(現状の来場者予想差分は±15%程度はある気がする)すると、スタッフ配置(リソース)の最適化、飲食ブースの食材調達・破棄のロス率の軽減にもつながってくる。

順位やカテゴリだけでない企業価値向上へのシフト

鹿島アントラーズ×メルカリのように、顧客属性が(鹿島)30~40代×(メルカリ)10~20代というお互いのかぶらない属性を補完するような座組み、またオフライン×オンラインの座組みはまだまだこれから増えてくると思う。しかし、それらを実現するにはJクラブ側に一定の会員資産、集客数を持ってるか、一定のブランドをもたない限りそれは厳しいと思う。収益増・投資機会を高めるためにもこれからのJクラブは自分たちの価値を高め、公にそれらを示す機会を増やすことも必要になってくると思う。ガイナーレ鳥取が進めている芝生生産事業「しばふる」もそのひとつだと考えている。自分たちにしかできないポジショニングでどれだけの人を巻き込んで事業価値=クラブの価値を高めていくかはこの文脈にリンクしていると思う。

つまりはそういったアライアンスの機会を自ら作っていく、スポンサー獲得以外の動きができる人材の雇用も重要になってくる。


わたし自身は経営者ではないが、日々試合に追われ忙しい中で課題を並び立てるだけでなく未来を想像し、ピンをたてることも大切だと思ってる。共感してくださる方がいらっしゃったらこっそり応援していただけると嬉しいです。

かーねるのツイッターはこちら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?