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ライトノベルのタイトルに「催眠」を入れる!? ~案の定、発売前から問題に

ご存じの方は知っている話だが、ここ数年、インターネットで特定のワードが伏せ字にされることがある。それが「催眠」「痴漢」「泥酔」といったワードである。
これらはAV、エロ関係に紐付けられることから伏せ字にされる流れがある。
もちろん、これよりも強い性描写を示すワードはこれ以前より避ける傾向があった。

センシティブな言葉に対して、昨今は「自主規制」からの危険回避が測られているのが現状である。特にクレジットカード会社は、成人向けコンテンツに対して強い態度を取っているからだ。

また、昨今の映画でもポリコレ、ポリティカルコレクトネスに配慮がないだけで批判対象になる事もしばしば。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」ですら、そういった話題が出るほどだ。マリオという誰もが知る設定がありながら。
とはいえ、実写『リトル・マーメイド』はおとぎ話がベースであるのに、現状はポリコレが優先され、本来の設定を崩されている。

今回、こういった背景を先に書いたのは、これが前提条件として頭に入っていなければならないから。そして、この事が頭に入っていない人達との問題に関して語っていきたい。


■「催眠」を商業タイトルに入れる

『ドスケベ催眠術師の子』という作品がある。

このタイトルでどんなエロゲーと思った人もいるだろうし、エロゲーらしからぬネーミングと感じた人もいるだろう。
冒頭から話は逸れるが、なろう系タイトルにしても、長く文章になっていれば成立するわけでもなく、法則性が実は存在する。そして、エロゲーにもそういったネーミングのルールがある。
それ以前に『ドスケベ催眠術師の子』は「○○の子」と抜き出せば、エロゲらしからぬことに納得頂けるだろう。

『ドスケベ催眠術師の子』とはまだ発売はしていないが、ライトノベルのタイトルである。また、レーベルはガガガ文庫と純粋に一般レーベルである。タイトルもさることながら、あらすじも官能小説より下品ではあるが、これでも一般レーベル、誰でも買える書籍である。

さて、話を脱線してエロゲーらしからぬタイトルではあるとかたっているが下品で、冒頭では「催眠」は昨今、伏せ字で対応される語った。

そのようなリスキーなタイトルには、それを上回る「覚悟」があって世に出したのだろう。清楚シスターがきわどいハイレグレオタードを着ることで過去の清算を果たそうとするような「覚悟」が…

・・・・・「覚悟」は無かったようだ。

ちなみに、ここで語った「覚悟」の元ネタにしても、日本ではそうでもないが海外版ではレーティングにそった配慮がされている。しかし、開発者達は本来の姿で世に出したいとも思っており、作品外でも「覚悟」が示されていた。

さて、話は戻ってクレジットカード会社にとって「催眠」等のワードを否定して、商品と認めない現実をライトノベル編集は知らないのだろうか。

伏せ字に対してはメロンブックスの対応して貰っている。しかし、後で語るが検索で「ドスケベ」は問題ないが、「催眠」はそもそも検索できない仕様になっている。これがクレジットカード会社に対する配慮である。

それだけに「催眠」という伏せ字が紹介ページで直っても、検索でこの作品に辿り着くには、この仕様の把握をした上で一手間が必要になる。

そして、実際の所クレジットカード会社としてはこの基準はどうなっているのか。商業作品では出版社にとって「催眠」はオッケーとする前例が出来たことにならないか。
それだけに、この事は後々尾を引くようなことにもなっていきそうである。

そもそも「催眠」という言葉以前に、ライトノベルにおいても数年前にも海外で発売停止になるケースはあった。これらはポリコレな感覚もあるだろうが、どちらかといえば表紙、またはタイトルだけで不適切と判断されと思わなくもない。

当然、これは海外に限らず、日本でも似たような話がある。濁さずに言うけど、「温泉むすめ」等である。それが今どうなっているかも、ご存じの方も多いだろう。

それだけに『ドスケベ催眠術師の子』とは「催眠」だけでなく本来、ダブル役満並のリスキーさを孕んでいる。例え、編集が昨今の「催眠」事情を知らなくとも、ライトノベル事情からこのタイトルでのリスクは感じ取ることが出来たであろうに。

これ以外にも「丸太」という何気ない名前でも問題になった場合もある。ポリコレなどに対する配慮をすべきというわけではないが、些細な事すら大問題になるだけにリスク管理は必要と言いたいだけである。

特に「丸太」に関しても、言葉の揚げ足よりも海賊版から問題発生した経緯も重大である。

覚悟も持って、このタイトルを決断しているのならともかく、Tweet等を見ていると、これらのライトノベル編集はこの流れをご存じかも、皮肉抜きで疑問視してしまう。
それに「催眠」だけに限らず過去をからライトノベル界隈を見ていると、私は一般と比べて大きな乖離していると思ってる。

その一例が下記のTweetである。

「某やり直し」と一応は伏せてはいるが、続く内容からもご存じの通り、ここで挙げられているタイトルは「回復術士のやり直し」である。
大事なのはタイトルではなく、この作品は地上波アニメで放送するには放送倫理に引っかかってくる作品であること。

そこを考慮して、Tweetの内容を見ていくと、余所でやっているのだから似た内容を出版する、赤信号みんなで渡れば怖くないばりの危機管理を考慮してないような印象を受ける。
また、「回復術士のやり直し」に関してはエロ以前に盗作やパクリなども話題になっている。それも読者間でもかなり議論、証拠出しもされており、信憑性も高い内容。

そこまでも含めるとライトノベル界隈の論理は一般と如何に乖離していることが分かるだろう。

あくまで1Tweetから、こう語っているのではなく、「催眠」を覚悟なく商業タイトルに使用している点と、都市伝説が多い「回復術士のやり直し」に対する雑談レベルでも編集者達の考え方を見に、この流れは言いすぎではないと考えている。

そして、他の発言、結果などからも、それらは読み取れる。

よく、なろう系作品の作者が炎上するが、その後も何事もなく書籍が刊行される点も一つである。

ともあれ、これら含めて今のライトノベルを積み上げた結果が「ごらんの有様だよ!!!」である。

noteの方でもライトノベル編集者に関しては皮肉まじりに語ってきたが、昨今の状況を知らない愚かさを感じるだけに、ここまで来ると手放しに馬鹿に出来ない。まったく、なんともな話である。
また、事実の面でも多くの有能な人材が抜けている事実もプラスして考えると、より信憑性を増すことになってくる。

一応、『ドスケベ催眠術師の子』は小説応募時点でこのタイトルだけに全てが編集ばかりのせいでもない。

だが、昨今の状況、いや、それ以上に次に語る検索されにくい状況から考えると商品として売るにはタイトルの改題は必須だと思えてくる。
何度も語っているが、売ることの損得抜きにして、ただ良品を世に出したということからの覚悟があれば何も問題はないのだが。

例えば、「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳(わたし)はどうすりゃいいですか?」というエロゲーがある。
これもご存じの方も多いだろうし、コミカライズは「ぬきたし」と省略したタイトルでも『ウルトラジャンプ』にも連載をしている。

このようなお馬鹿なタイトルであるが、これはフェイクである事は体験版、発売前より開示された情報である。また、発売前からスタッフが配信もして紹介をしている。
この場合、このタイトルは意図的で、覚悟を持って付けられていることは感じさせられる。
実際、このタイトルだけでは購入を回避されたり、内容と違っているとクレームが入り炎上するリスクがある。

「ぬきたし」の作品内にはドスケベ条例なるモノが出てくる。さて、『ドスケベ催眠術師の子』だ。
始めにもエロゲーのようなタイトルと触れたが、「ドスケベ催眠」だけだとドスケベ条例のように、エロゲーにもありそうな感がある。
しかし、「催眠」がNGワードとされるように、あまり「ドスケベ」が枕言葉として使われている印象は私にはなかった。

では、ここで「ドスケベ催眠」とGoogle先生に聞いてみよう。「ドスケベ催眠」というワードが私が思っていたより多いことよりも、次なる問題は一目瞭然になっている。

「ドスケベ催眠」でのGoogle検索結果

話は脱線気味ではあったが、この画像だけで次に語る必要が無くなってしまうが、ここに関して触れていこう。

■検索されない作品達

検索に関しては、『ドスケベ催眠術師の子』と「催眠」に関して当初から触れていた人がこのように語っている。

実際に自分もメロンブックスで確認してみた。

メロンブックス内での検索結果

「HOME > ●●の検索結果」でも表記されている様に、「催眠」で検索しても、そもそもが引っかからない。商品ページで伏せ字が解除されても、これでは商売としての機会が損なわれてしまう。

じゃ、「ドスケベ」と検索回避しても、R-18フィルターでも画像こそ出てこないが、エロタイトルが多く出てくることになってしまう。これはこれでライトノベルを売るにしても、いささか変な話である。

メロンブックス内での「ドスケベ」検索結果(一部モザイク加工)

なお、メロンブックスに限らず、Amazonにでも検索の仕方ではエロタイトルが多く出てくることになる。
作品の中身でエロ釣りであっても、未成年がメイン層であるライトノベルに対してはこれはでは、クレジットカード会社も「催眠」「痴漢」「泥酔」といったワードをNGにするのも妥当と感じてしまう。

いや、これこそがクレジットカード会社が閉め出したい要素ではあるのだろうが。

とはいえ、エロ関連ワードで検索されない作品はこれに限った話ではない。

『名前を言えない作品』と自傷ネタにしつつも、SNSでの話題性が大きく減った『搾精病棟』や『淫獄団地』。
『淫獄団地』に関しては新作がアップされると、大盛り上がりであったが、その内容、別作品にも飛び火があったせいか、そのタイトル名は次第に規制の対象となり、作者自身もシャドウバン、Twitterのツイート検索やリプライに表示されなくなるペナルティ結果に至っていた。

『ドスケベ催眠術師の子』も内容から大きくバズる事になっても、SNS上ではクレジットカード以前にそのワードから検索に対して、規制のかかる結果になるかも知れない。

編集は今回のメロンブックスのように、これらを対応してくれるのだろうか?

これら『名前を言えない作品』は検索等の制限がかかっても話題性がゼロになる事は無かった。「名前を言えない全年齢版」は案外、すぐに打ち切られるかとも思っていたが、全年齢の名に恥じないほどオリジナルとは別展開をしており、差別化を図っている。

また、エロではないが、「検索してはいけない言葉」でも有名な狂気太郎というオンライン作家もいる。

先日も、「狂」という字は創作に使えないと話題になったが、狂気太郎に関しては名前にも含まれ、「検索してはいけない言葉」とダブルパンチである。

今回、話が横に逸れることが多いので長々と語らないが、狂気太郎氏が商業で本を出す際には「狂気」といワードから、灰崎抗名義となっていた。
また、「検索してはいけない言葉」が広く浸透したことで、特定のワードからは「狂気太郎」の作品には行かないよう対応はされているとのこと。

しかし、そんな今では狂気太郎名義で作品を世に出しているのだが。

とはいえ、「検索してはいけない言葉」と言われるだけに狂気太郎作品は常人にはお勧めしがたい。しかし、「検索してはいけない言葉」という背徳はあるにしても、狂気太郎作品を人を引きつける魔力もある。
だからこそ、そういった制約があっても昨今ではコミカライズ化という商業展開にも至っているのは、制約が完全なマイナスになっていないということである。

さて、話は『ドスケベ催眠術師の子』に戻そう。「催眠」という昨今の禁止ワードを抜きにしても、そこまでの覚悟があって、このタイトルを商業として世に出したのか?

『名前を言えない作品』にしても、狂気太郎に関しても本来はアンダーグラウンドから、世に出てきた作品。その内容から、おそらく一般との地獄を見てきた者達だ。作品からして、面構えが違う。
それにアンダーグラウンドと語ったが、今では商業作品で売られている。

それと、ライトノベル側の編集を見ても、第17回小学館ライトノベル大賞で実際プッシュしているであろうのは武内崇氏の“推し”を御旗とした、『かくて謀反の冬は去り』なのが見えている。
それは担当編集である点もあるだろうが、ただ、昨今では武内崇氏の“推し”を御旗は大賞よりも強力なインパクトがあるのではないか。

そこから考えても『ドスケベ催眠術師の子』はネタ枠なんでしょうね。
ただ、ネタ枠でも私は問題無いとは思う。しかし、昨今ではリスクしかないタイトルから、そこまでネタで誤魔化せるのかは疑問である。そして、リスク時に責任を負う者として、覚悟はあるのだろうか。

しかし、エロ釣りタイトルはこれに限らないから、ライトノベル読者をよく購入してくれるのかな。なら、逆に王道こそ、売れるのだろうか…

ともあれ、「催眠」に対する商品紹介ページで伏せ字解除は、この作品というかライトノベル業界で規制を変えていくか、より規制強化していくか。長々と語ったが、この点だけは今後も注視して見ていく必要があるのは確かである。

それに最近では『MC★あくしず』、『コミック百合姫』などが有害図書にされていますから、「催眠」に関係なくリスク管理というのは重要になってくると思っている。


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