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【短編小説】ホシの侵入者

それは、突然の事だった。このホシに侵入者が

現れたのは。その日まで、なんの変哲も無かった

日常は、彼らによって乱された。見たこともない

肌の色、全く別次元な言語、使う道具、全てが、

誰が見ても、我々よりも優っていた。

友人のタカもヒロも、あいつらには怯えていた。

しかし、俺は別だ。

「おいマサ。マジかよ。あいつらは危険だって」

タカたちに止められても、俺は足を止めない。

絶対にこのホシを守ってやる。あいつらを

倒して、英雄になってやる。しかし、俺が

あいつらの所に着く前に、政府は、我々より高い

知能を持っているあいつらと盟約を結んで

しまった。たしかに、あんな高度な技術を

持っていればそうするのも仕方ないかもしれない

が、もっとこのホシの者としての意地を見せて

おきたかったな。

「まぁそう落ち込むなって。マサシン」

「そうだ。共生も大事だぞ。」

俺を宥めるタカトウィールとヒロズリン。

異種なのに『タカ』『ヒロ』『マサ』と呼び合う

事ができる友人がいるというだけで、もう俺は

幸せ者だ。それなのに、このホシの意地を見せる

だなんて、望みすぎだったかな。

翌日、正式な盟約を結ぶべく、政府の代表は、

青い14本の指を薄橙色の手に結びつけた。

この日から、我々エイリアンは『ニンゲン』と

いう生物との共生を始めた。

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