-05-さらば麗しの椿レイ、永遠に。
第4話はこちら↓
(口コミ)ワシは、新しいレイを発見したいんじゃ!
拝啓 レイぴょん、
卒業おめでとう。
でも何がおめでたいのか、ワシにはようわからん。
長浜のピュンピュン丸さんのお題の涙の写真みて、
あの大雨の日のことを思い出した。
たから、最後にお願いを1つだけしたい。
すまんが、何卒お願い御座候。
あれは、大雨が降った夕方だったよね。
ワシは、あのころヒットしていた、
映画の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』を見て、レイが泣いたことを、聞いたんで、その場面を想像してしまい、無性にレイの泣き顔を見たくなっていた。
じゃあ、きっとその後編として、
『ゴジラ-1.0』を見たら、
ワシは、直観で、レイが大泣きするだろうと閃いた。
だからお店の部屋にモバイルプロジェクターを持ち込んで、レイを泣かせる作戦、名づけて、
『ゴジラで号泣、GO!GO!作戦』を実行したんだ。
ワシは、レイの笑顔が好きだが、
泣き顔も、見てみたい!のだ。
お店の受付には、ルールとして、以下の注意書きがある。
「お部屋にお客様の道具等の持ち込みは禁止させていただいております。場合により、受付でお預かりさせていただくことがあります」
お客様の道具等とは何か?
意味深だ。
その日、モバイルプロジェクターが入ったリュックを、
さも、日常の雑多な軽めの私物しか入っていないように、さりげなく手に持ち、平常心で受付を済ませた。
もし見つかったら、
「仕事帰りで、客先でのプレゼンに使った」云々という段取りだ。ダミーの提案書もリュックに入れていた。できる男には、常にプランBがある。
もしかすると、知らない間に赤外線で中身をチェックされ、すべてはオミトオシだったかもしれないが。
無事、部屋に入れたので、投影できそうな場所を探した。
ワシは、仕事が早い。
個室のドア付近のハンガースタンドを少しずらして、グレーの壁いっぱいに、100インチぐらいのサイズで投影するコトに成功した。
それを見たレイは、
おぉ!
という尊敬のまなざしではなく、事前にDMで連絡していたものの、このオッサンなにしとんねん?という反応だ。
映画は約122分。
Amazonプライムビデオから、スマフォにダウンロードした映画を、プロジェクターにキャストして投影する。
180分で予約したので、
レイに1.5倍速ぐらいの口調で、心情を説明した。
レイは聞き上手だ。
疑問に思ったことはストレートに、
「なんでなん?」
といって、聞き返してくれる。
ワシの説明が下手で、分かりにくかったところを的確に深堀してくれる。ワシもさらに会話することで、レイの考え方もわかって、深くわかりあえた快感を味わえる。
ワシのキーメッセージは、
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』で飛び立った特攻隊のパイロットのひとりが、生き延びて、ゴジラと戦う。この設定で、これから『ゴジラ-1.0』を一緒に見たい。
簡単にいうと、コレだけだ。
レイはキョトンとしていた。
なに、あほなこといってんねん!
という文字が美しい顔に書かれていた。
「それで、レイが泣くところが見たいんだよね?」
「そうだよ。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら、俺はゴジラを倒すから』!だよ」
「なんか長いタイトルやなあ。。。怪獣映画で泣くことあるん??」
と、いつでもクールなレイは、真顔でそういった。
「あるさ」
「ほんまに?ゴジラって、ウルトラマンみたいなやつなん?」
「う~ん、ちょっと違う。人間が協力して戦うところが泣ける」
「ほんまに??」
押し問答で、時間が消費されていく。
でも映画好きのレイは、怪獣映画に興味はなくても、『ゴジラ-1.0』が、第96回アカデミー賞の視覚効果賞をとったことは知っていて、
まったく興味ないが、
スピルハンバーグ様がそこまで言うなら、
楽やし、しゃあないな。
という顔して、首を縦に振った。
「次回、卒論をプロジェクターで投影してプレゼンしてくれたら、ワシが、レビューしてあげてもいいよ。1回10万で!」
と冗談でいったら、首を横に振った。
それから、即即で上映開始。
ふたりでビールを飲みながら、
さすがに『あの花が咲く丘~』の後編として見るのは、無理あるんちゃうか~
というような、レイの無言の批判を感じつつ、物語は流れていった。
ワシは、神木隆之介
レイを、浜辺美波として、
ワシは、ゴジラの世界に埋没していった。
レイも、まあまあ、楽しんでいるようだった。
映画館で見るのとは一味違う体験だ。
戦後、復興した銀座が目の前で、また破壊されていった。
その惨劇を、二人だけで目撃している。
モテる男は、女の子に新しい体験を常に提供する必要がある。
と、ユーチューバーのお姉さんが言う。
ワシもそう思う。
やがて、重低音が響くテーマ音楽、
ダダだン、ダダだン、ダダだダダだだダ、ダダだン♪♪
が始まり、ゴジラが迫りくる恐怖と、海上での死闘に期待が高まりつつあったその時、
部屋の電話が鳴った。
一旦再生を止めた。
ワシは、電話は嫌いだ。
マナーモードにすべきだった。
まだ、残り15分はある。
電話は店長からだった。
「レイさん、両隣の部屋から、なんかゴジラの鳴き声みたいなのが聞こえるってクレームはいったんだけど、何か聞こえていますか?」
クールなレイが焦る。
こんなレイは見たことない。
「ゴジラ?怪獣??」
しどろもどろになる。
「部屋を確認したいので、お客様に許可もらえるかな?」
レイが泣きそうになってる。
ワシはもう泣いている。
でも、そこは、さすがワシのレイ。
ワシの目を見ながら、
「ちょっと、今だめなので、7,8分後ぐらいに、お願いします😿」
といって、受話器を置いた。
「スピルちゃん、
かたづけよ!」
「御意」
速攻で、モバイルプロジェクターを隠し、部屋のセッティングを戻した。
店長が部屋に入って、ドアの前で1分ぐらい、じっと耳をすませた。
当然、シーンとしている。
「何やろね。怨霊かな?」
とワシはトボけてみせた。
レイの方を見ると、下を向いて笑いをこらえているようだった。
「スピルハンバーグ様、選挙カーとかが、走ってたのかもしません。最近、選挙妨害が激しいので。。。もう何も聞こえませんね。申し訳ございません」
「レイさんも、何も聞こえなかったんやね?」
「ハイ」
「スピルハンバーグ様、できましたら、中断時間は、クーポンでのお返しでよろしいですか?この後も予定が詰まっていますので」
「いいよ、仕方がないね。次、この部屋はやめてね」
「かしこまりました。帰りに受付にお寄りくださいませ。大変ご迷惑をおかけしました」
と店長は丁寧に頭を下げて、レイに目配せした後、部屋を出て行った。
その後、シーンとした部屋で、
二人で大笑いした。
ああぁ、
ゴジラ、最後まで見れなかったね。
でも、
しどろもどろのレイ、
泣き出しそうなレイ、
腹をかかえて大笑いするレイ。
新しいレイを発見できた。
レイぴょん、
きみの新しい旅は、
はじまりましたか?
前置きが長くなったが、
映画の残りを見て、泣いたら写真アップして!
最後のお願い!
武士の情けじゃ。
レイ離職後、米原。
無から、もうゴジラが叫ぶことはない。
じゃあね。
コレ、もう時効だよね⁉⁉
拝啓 トップピークス米原 如月様
あの日、お騒がせしましたこと、
及び、ロスタイムの5倍以上のクーポン券を頂いたこと。
さらに、それを使ってしまったこと。
重ねがさね、お詫び申し上げます。
詳しい話は、レイさんから聞いてください。
何卒お許しください。
お願い致します。
大反省中の
スピルハンバーグより。
〚お礼日記〛スピルハンバーグ様
スピルちゃん、
最後の口コミ、サンキュー❤️
思い出して、笑いすぎてお腹がいたいよ!
助け~て~!!!
『ゴジラ-1.0』見終わったよ。
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』見てからね、
お家で連続して、みたョ。。。
泣いたよ。ベッドの上で。
あなたは云うの、もう終わりだと。
まさかそれは嘘でしょう!
あなたの幸せ願ってる。
私だけはいつまでも!
(「私は泣いています」りりィ♬ 微修正済み)
あかんで!
レイ以外の女の子泣かしたら!!
いろいろ、これまでのこと、
ぜ~んぶ、
ありがとうございました。
ばいばい。
如月店長、嘘ついてメンゴ。
あの雨の日、確かにゴジラは、
トップピークス米原に上陸してました!!
第6話へ、To be continued
椿レイ同窓会2024の全会員の口コミが終わるまで。。。
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