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2021 Jazz, Instrument Albums

今年はインディー以外にもこういったジャズやアンビエント、ニューエイジ系のサウンドもよく聴いていたので一部まとめてみようと思います。

Emma-Jean Thackray - Yellow

ロンドン在住のプロデューサーの1stアルバム。
ヨークシャーの中学時代ブラスバンドのコルネットで音楽活動を始めたという彼女は、Blue Noteのカバーコンピ『Blue Note Re:imagined』への参加やSquidのアルバムに演奏で協力したりと幅広い活動で注目を集めていますがその特徴は技巧的かつ肉体的な演奏、そしてその編集技術です。
音楽の節々に予想を裏切られる展開、オーケストラアレンジはアルバムの中で混沌さを増しながらも常にグルーヴが漂います。
そして華々しいバンドアレンジやコーラスは彼女がほぼ1人で録音しているとのこと。マルチプレーヤーとしての才能やゴスペルやサイケデリックをジャズに落とし込む世界観は非常に刺激的で、これからの彼女の音楽の広がりに期待を隠せません。


Telemakus - The New Heritage

カリフォルニアの21歳ピアニスト/コンポーザーTelemakus。
インドとモーリシャスの両親を持ち、ハービーハンコックやチックコリアなどに影響を受けつつも自身を"歪んで独特"と評す彼の音楽は、揺れ動くリズムや変拍子、バンドの流れる一体感が古き良きフュージョンやジャズファンクのサウンドをモダンに再解釈したような、カリフォルニアの新世代の動きを感じさせます。

Sam Gendel, Shin Sasakubo - SAM GENDEL & SHIN SASAKUBO

折坂裕太のアルバムへの参加など日本でも着実に知名度を増しているLAのサックス奏者Sam Gendelと秩父を拠点に活動するギタリスト笹久保伸のアルバム。
どちらもサックス、ギターという楽器が持つ身体性から抜け出そうとするようなループするフレーズの繰り返しや音の加工など、コロナ禍で遠い地で録音されたとは思えない一体感を感じます。
またこちらのアルバムは笹久保自身がよく通うという秩父のカルネという喫茶店のレーベルからリリースされたそう。郊外のそのようなスポットからこのようなリリースがされるというのもまた興味深いです。


Howie Lee - Birdy Island

北京出身の電子音楽家Howie Leeが鳥と祖先の霊が共存する架空の島というコンセプトのアルバム。
中国の伝統楽器の音色や音階、人の声を丁寧に編み込み描く風景は神秘性と同時に人工的な作為のアイロニーも感じさせる作品。

Bendik Giske - Cracks

ノルウェーのサックス奏者の2ndアルバム。
Sam Gendelが身体性を感じさせない空気のような音楽だとしたら、こちらは生々しい肉体性を感じる内容。
サックスという楽器からなるあらゆる音をそのままアンビエントな要素として昇華するという前衛的な姿勢に圧倒される一枚。

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