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なんちゃって人文系修士 やる気低迷コンサルタント(政府系、事業戦略系) 映画見たりお笑…

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なんちゃって人文系修士 やる気低迷コンサルタント(政府系、事業戦略系) 映画見たりお笑い見たり

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エルヴェ ル・テリエ『異常【アノマリー】』-『ユリシーズ』とS・キングの異常な出会い-

概要フランスの小説家、エルヴェ ル・テリエが2020年に発表した小説。本作はフランスの文学賞・ゴングール賞を受賞している。 たまたま新宿の紀伊国屋書店をぶらついていた際に、平積みになっていた本作を発見。中々に目を引く表紙のデザイン(ジョーダン・ピールの『us』のような不気味さもある)と、「あらすじすら検索禁止」という煽り文に轢かれて早速購入。早速読破してしまった。 あらすじ断章ごとに登場人物が切り替わるオムニバス形式。 正体不明の敏腕殺し屋、翻訳で生計を立てる小説家、倦怠

    • R-1グランプリ2021感想

      R-1グランプリといえばこれまで面白さも盛り上がりも影響度もイマイチな残念賞レースのイメージだったが、今年は10年縛りの導入に伴うテコ入れが入り、点数制の導入、審査員の刷新、出場者の若返りと、急激に「ちゃんとした賞レース感」が増した。Creepy Nutsのっテーマ曲もM-1の時よりカッコいいし、煽りVもイケてたねえ。 特に審査員の刷新(陣内智則、友近、麒麟・川島、古坂大魔王、ハリウッドザコシショウ、ホリ、マヂカルラブリー・野田クリスタル)はかなり思い切った人選で、キングオ

      • お笑いライブを配信で見る③-吉住、岡野陽一、ザ・マミィ ユニットライブ「東京春一番」-

        人力舎芸人推しとしては、賞レースに強いタイプではないと思っていた吉住のTHE W優勝は嬉しい誤算だったわけで、THE W前に公式Youtubeでアップロードされていた岡野陽一との対談動画やヒコロヒーと紅しょうがの金借り動画もチェックしていた身としては、THE Wの裏で熱戦を繰り広げていたTHE Mも含めて楽しめたのだった。 そんな吉住と岡野、東京コント村界隈で活躍するザ・マミィのユニットライブの配信期限が今日までだったので、駆け込みで購入・視聴。ネタ書きの才能はピカイチなの

        • 単独ライブを配信で見る②-蛙亭単独ライブ「ネコの日イヴ」-

          蛙亭を知ったのは2018か2019かのM-1予選だと思う。珍しいコンビ名(漢字2文字。最初は「かわずてい」だと思った)だし、カエル好きだし、というのでGYAO!の予選配信で見て、男女の配役を入れ替えるコント漫才で、ネタ中の二人の距離感バグってんなーと思った記憶がある(一時期コウテイがやっていためっちゃ顔を近づけるネタ入りに対して感じるゾワゾワ感と同じ) そのあと少しくらいyoutubeでネタ動画を漁った記憶があるんだけどその頃はそこまでハマらず(中野君が犬役のネタとかを観た

        エルヴェ ル・テリエ『異常【アノマリー】』-『ユリシーズ』とS・キングの異常な出会い-

        • R-1グランプリ2021感想

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        • 単独ライブを配信で見る②-蛙亭単独ライブ「ネコの日イヴ」-

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          単独ライブを配信で見る①-空気階段第4回単独ライブ「anna」-

          僕は、普通の人に比べたらだいぶお笑いに詳しいけども、劇場ライブや賞レースの予選に通い詰めるほどのお笑いオタクでもない、ライトなお笑いファンだ。実際に劇場に足を運ぶのは東京03の単独ライブだけなので、その他の芸人の単独は公式YouTubeにアップされる単発のネタ動画か、各種配信サービスやレンタルDVDで見る程度。単独を通しで見たことがあるのは、ラーメンズ、さらば青春の光、うしろシティ、ラバーガール、バイきんぐ、シソンヌ、バカリズム、鳥居みゆき、Aマッソあたりでこう見ると全然多く

          単独ライブを配信で見る①-空気階段第4回単独ライブ「anna」-

          R-1グランプリ2021準決勝感想

          今回はU-NEXTでリアルタイム配信とのことで、お笑いの賞レースでは初めて準決勝をリアルタイム鑑賞することに成功。正直、THE WについでぱっとしないR-1というのが何とも微妙なところではあるけど。KOCやM-1であれば準決勝進出者で全くネタを観たことがないコンビは1-2組あるかないかなんだけど、R-1に限っては半数近くが名前すら聞いたことがない。。あと、ネタ尺3分ってきついよねえ。 去年と同様、決勝進出者が11人+復活ステージだとすると、個人的には、真輝志、森本サイダー、

          R-1グランプリ2021準決勝感想

          ケン・リュウ『紙の動物園』-多作なテッド・チャン-

          『折りたたみ北京』『三体』以来、僕には中国SFを見かけるたびにポチっておく習性がついているようだ。特異な世界観、奇抜な着眼点、奇想天外な展開がギュッと濃縮された短編SFの愉しみは、長編小説とは違った面白さがあって、定期的にハマってしまう。学生の頃は阿部公房やフィリップ・K・ディックあたりを虫食い的に読んでいたが、ここ半年くらいは中国、日本の短編SFアンソロジーを目についたものから読み漁っている。ちなみに僕は、あの超大作『三体』シリーズも、中身は様々なアイデアが詰まった短編小説

          ケン・リュウ『紙の動物園』-多作なテッド・チャン-

          濱野ちひろ『聖なるズー』

          僕はあまりノンフィクションというジャンルの本を読まない。年に数回ドキュメンタリー映画やNETFLIXの過激なドキュメント番組を観るくらいだ。そんな僕でもこの本は出版直後、本屋で平置きされていた時から気になっていた。動物性愛という強烈なテーマに加え、『聖なるズー』という印象的なタイトル。1年くらいずっと頭のどこかに引っかかっていた、「いつか読もう」という記憶がふとこの前蘇ったので、購入、読んでみた。 僕の大学での専門は(いちおう)社会学だが、社会学においてセクシュアリティ、ジ

          濱野ちひろ『聖なるズー』

          ウィル・ワイルズ『時間のないホテル』-MICEビジネスと時空SFの不意の出会い-

          2-3年くらい前、日本の今後のインバウンド・アウトバウンド政策に関する経済産業省の有識者委員会で、日本はもっとMICEビジネスに注力すべき、という提言がなされていた。MICEとはMeeting(会議・研修・セミナー)、 Incentive tour(報酬・招待旅行)、 Convention/Conference,(大会・国際会議)、Exhibiton(展示会)の頭文字を取った造語で、世界を飛び回るビジネス客は母数も消費額も大きいため(経費なので)、インバウンド振興策としてMI

          ウィル・ワイルズ『時間のないホテル』-MICEビジネスと時空SFの不意の出会い-

          『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』-プライベート要素盛り盛りな巨災対-

          インドの火星探査計画「Mars Orbiter Mission:MOM(通称:Mangalyaan)」をモチーフにした作品。国産ロケット打ち上げ計画に失敗したチームリーダーと癖の強い科学者たちが低予算での火星探査機打ち上げミッションに挑む。 知り合いに面白いらしいから感想を聞きたい、と言われたので1月半ばくらいから観よう観ようと思っていたのだけれど、緊急事態宣言による8時以降の営業自粛の影響で実質平日の鑑賞が不可能な中、土日の上映予定も中々合わず、結局新宿ピカデリーで観賞(

          『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』-プライベート要素盛り盛りな巨災対-

          筒井康隆『定本 バブリング創世記』-オールラウンダーピン芸人の単独ライブ感-

          筒井康隆は一度しっかり時間を取って有名所をガサっと攫いたいとだいぶ前から思っているけど、多作ということもあって中々実現に至っていない。結局今まで読んだのは、映画版の「オセアニアじゃあ常識なんだよ」が定期的に見返したくなる『パプリカ』と、本屋の参考書エリアに平積みされている「マンガで分かる〇〇シリーズ」のパロディの極致みたいな『文学部只野教授』と短編集の『日本以外全部沈没』くらいか。「農協月へ行く」のせいで、農協への偏見が未だに抜けん。 忘れた頃に思い出すPrime Read

          筒井康隆『定本 バブリング創世記』-オールラウンダーピン芸人の単独ライブ感-

          清水崇『樹海村』-Jホラーの呪縛とエンタメホラーの行方-

          本当は『swallow』を観ようと思って新宿バルト9に出かけたのだが、まさかの満席で途方に暮れた僕は、仕方なくほぼ同じ時間に上映されていた『樹海村』(先行上映)を観ることにした。突然の予定変更だったので、まだ見ていない『犬鳴村』ヒットを受けての「~村」シリーズなのかな?くらいの前知識しかなかったし、なんなら上映開始時間を勘違いして最初の10分くらい見逃してしまった(ゴメンナサイ)。僕が映画館に入った時はちょうど、生配信主?の女の子が『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よろしく樹

          清水崇『樹海村』-Jホラーの呪縛とエンタメホラーの行方-

          『劇場版 ほんとうにあった怖い話 事故物件芸人』-KOC審査員「ちょっと怖いし意味がよく分からなかったので85点です!」-

          僕は人に比べるとだいぶホラー映画を観ている方で、メジャーどころのホラー映画は邦画洋画問わず観ていると思う。ただ、90年代からゼロ年代初頭にかけてのJホラーブームに比べると、ここ10年くらいの邦画ホラーはなかなかぱっとしないなぁというのが正直な印象だ。確かにここ最近でも『来る』『霊的ボリシェヴィキ』『残穢-住んではいけない部屋-』とそのスピンオフの『鬼談百景』のような、尖った作品が点として生まれているし、『リング』『呪怨』というJホラーの二大巨頭は今なおその残り滓のような作品を

          『劇場版 ほんとうにあった怖い話 事故物件芸人』-KOC審査員「ちょっと怖いし意味がよく分からなかったので85点です!」-

          伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛編]死んだ恋人からの手紙』備忘

          他にやることもないので沢山本を読んで映画を観ていた学生時代と比べると、本当に本を読まなくなってしまったけれども、やっぱり時々読書熱が盛り上がるタイミングというものがある。就職によって時間と体力と引き換えに資金力を手に入れた僕は、自粛期間中に導入したkindle paperwhiteによってポチポチとネット上で書籍の大量購入・大量DLをすることでその熱を冷ましていた。そんな最中にポチった書籍のひとつがSF短編集『日本SFの臨界点』全2編。昔からSFは好きだけど、去年は自分の中で

          伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛編]死んだ恋人からの手紙』備忘

          ギャスパー・ノエ『ルクス・エテルナ 永遠の光』-ポケモンショック、再び-

          ポケモンショック-アニメ版『ポケットモンスター』の中で、ピカチュウがポリゴンに食らわせた「10まんボルト」によって引き起こされた赤と青のパカパカ演出によってテレビの前のみんなが光過敏性発作でぶっ倒れ、ポリゴンがTVアニメ出禁になった事件-が起きた当時、僕は幼稚園に入る前でまだポケモンに出会う前だった。 ポケモンは僕らの世代の共通言語だから、幼稚園に入ってからは、今は亡き近所のウェアハウス(数年前にゲオに吸収合併されてしまった)でVHSを借りては繰り返し繰り返し見たけれど、例

          ギャスパー・ノエ『ルクス・エテルナ 永遠の光』-ポケモンショック、再び-

          ローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』ーナチ高官暗殺を巡る、偏執狂的ストイック小説ー

          知り合いから、ローラン・ビネというフランス人作家の『言語の七番目の機能』という小説が面白い、という話を聞いて、Amazonで調べていた時に見つけた変なタイトルの小説。 ナチ関連のぶっ飛んだ映画こそいくつか見たことがあるけれど(『ブラジルから来た少年』『アイアン・スカイ』『イングロリアス・バスターズ』・・・)、別にナチ自体に詳しいわけではないので、「HHhH」が「 Himmlers Hirn heißt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)」の頭文字だとい

          ローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』ーナチ高官暗殺を巡る、偏執狂的ストイック小説ー