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1ヶ月目の悔しさ

今回のワーホリで、人生で初めてと言って良いくらい、ドップリと英語に触れる環境の中にいる。

実はその始まりは、日本出国の前日からだった。

私たちが日本を出る1週間前のこと。カナダ政府はコロナ対策として海外からの入国条件をさらに追加したのだが、それをクリアするのがなかなか大変だった。

「飛行機に乗るまでに隔離ホテルを予約する。ただし電話のみの受付」

といった内容。カナダに電話なんて!難易度高すぎ!・・・なんて思っている暇もなく早速電話をかけるしかない。しかし、繋がらない。3時間保留を耐えたと思ったらプツっと切れてしまうのだ。回線がパンクしている。そらそうだ、世界中のカナダ渡航希望者が電話をかけているのだから。日本出発前日まで予約が取れない状況だった。

そしてコールが繋がったのは当日の未明。あの時の感動は忘れられない。と、同時に受話器からペラペラすらすらと英語の声が流れている。自動音声かと思ったら、違う、リアルに受話器の向こう側の人だ。何か質問されてるけど聞き取れない。大変。咄嗟にパソコンを開き、翻訳機能で音声認識を駆使するという技で、どうにか予約をすることができた。

約1年、英語を勉強してきたつもりだったけどこんなにも聞き取れないのか・・・。オンライン英会話の先生よりもウンと速い。

そして無事に日本を出て、カナダの空港に到着し飛行機を降りた瞬間から、見える世界全てが英語。当たり前だけど、英語、英語、英語。(フランス語も)

ただただ、「ああ、異国に来た。」と思った。

むしろ、宇宙かと思った。

入国審査やビザ発行も、ハラハラしながら通過。何か質問されたけどよく分からず、かなり曖昧に答えたような気がするけどOKで一安心。

それから空港内でPCR検査も受けた。看護師さんは優しく無事に受けられたが、英語ってだけで緊張だし怖い。

空港の色々な関門を通り、無事に隔離ホテルの部屋に着いた時には、私も夫も安堵感でいっぱいになりしばらく動けなかった。

14日の隔離中は人と接することが無いが、英語を話す機会はあった。

政府から電話がかかってくるのだ。突然かかってくるものだから、最初は心臓が飛び出るかと思った。しかも、また何言ってるか分からないから困る。症状はないか、外出していないか、食料はどうしているか、などを聞かれているのだが、私があまりにも理解していないため、後日、日本語通訳のおばちゃんつきで電話が来た。ここで通訳利用デビューである。

ここまで分からないと、凹んでくる。この先やっていけるのかなー、もっと勉強すべきだったかなーなどと思った。

初めてTim Hortonsでドーナツを買った時も、店員さんが何言っているのか、英語なのかすらも分からなくて心が折れた。

夫とライブラリーで本を借りてみようとルンルンで行った時も、職員さんにロックダウンで入れないよと説明をされたけど、意味が分からず、ただただ「I wanna borrow」を連呼して、職員さんを困らせてしまった。

カナダ生活の最初の約1ヶ月はこのような感じで、とにかく相手の言っていることが聞き取れなさすぎて非常に困った。そして悔しかった。

同じ人間なのに、言葉の壁があまりにも大きくて、通じ合うのが難しい。

3ヶ月目の今も、まだ聞き取れていないが、少しは耳が慣れたような気もする(そうであって欲しい)。

心は折れそうになるけれど。帰国する頃には完全に理解できるようになっている姿を妄想して、今日もめげずに英語と向き合うしかないのだ。

悔しい気持ちを忘れないでおく。いつか笑い話になるはずだから。

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