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Tableauで為替の肌感覚を得る

ドル円の価格って何で決まっているって、需要と供給でしょと言われたらその通りなのですが、そこには多くの価格決定要因が存在します。代表的な仮説には以下のものがあります。

  1. 購買力平価説(PPP説):国内外の物価水準の差から、将来の為替レートを予測する仮説です。同じ商品が異なる国で販売されている場合、その価格差を為替レートの変化に反映させるという考え方が基本となります。

  2. 金利平価説:異なる国の金利差から為替レートの変化を予測する仮説です。高金利通貨に対しては需要が高まり、低金利通貨に対しては需要が低下するという理論に基づいています。

  3. 期待効用仮説:為替レートは、投資家や市場参加者の期待に基づいて変動するとする仮説です。例えば、政府の政策や金融政策、景気動向、国際情勢など、将来的な経済的な変化に対する市場参加者の期待が為替レートに反映されます。

今回は金利平価説にスポットを当てて、実際にデータを使いながら見ていきます。さて、もう少し掘り下げてみます。

金利平価(Interest Rate Parity)とは、為替相場決定理論の1つであり、為替相場は、資産を自国通貨建てで運用する場合と外国通貨建てで運用する場合の(予想)収益率が等しくなるように決定されるという考え方を意味する。これは、為替相場(予想)変化率は内外金利差に等しくなることを意味する。

金利平価 | みずほ証券 ファイナンス用語集

(以下も引用です。)
ここで、今年をt期、来年を$${t+1}$$期とし、t期の円建て直物為替相場を$${S_{t}、t+1}$$期の直物為替相場の予想値を$${S^{e}_{t+1}}$$、$${t}$$期から$${t+1}$$期にかけての円建て金利を$${i_{t}}$$、ドル建て金利を$${i_{t}^{*}}$$とする。このとき、1億ドルを円建て運用すれば1年後には$${1+i_{t}}$$億円を得る。一方、カバーなしドル建て運用をする場合、まず、$${t}$$期に1億円をドルに交換すると$${1/S_{t}}$$億ドルを得る。次に、これをドル建てで運用すると、$${t+1期に$${(1+i_{t}^{*})/S_{t}}$$ 億ドルを得る。最後に、$${t+1}$$期にこれを円に交換すれば$${(1+i_{t}^{*})S^{e}_{t+1}/S_{t}}$$ 億円を得ると予想される。ここで、リスク回避的な投資家による金利裁定取引が行われれば、1年後に得られる金額は均等化するため、$${1+ i_{t}= (1+i_{t}^{*})S^{e}_{t+1}/S_{t}}$$が成立する。

(引用ここまで)
二国間で金利差があったとしても、儲けはイーブンになるように為替で調整されるという理論です。上記から予想値である$${S^{e}_{t+1}}$$を求めるには、以下の式が成り立ちます。

$$
S^{e}_{t+1}= S_{t}(1+ i_{t})/(1+i_{t}^{*})
$$

それでは早速、見ていきましょう!まずは、JPYとUSDの国債1年物の利回りを比較します。

オレンジがUSD、青がJPYを示していますが、2016年1月29日にマイナス金利が導入されるのに対応してキレイにJPY金利は負の領域に突入しています。また、米国はコロナ禍の景気対策として2020年3月にゼロ金利を導入していますが、これもグラフから読み取ることができます。米国は力強い景気復活を遂げ、ゼロ金利を2年で解除しました。
これに、為替の理論値と実勢値との乖離を載せてみます。

(クリックで実際に触れます)

理論値と実勢値の乖離を黄色で示しています。乖離が無い場合に黄色の棒グラフは表示されないことになりますが、派手に存在感を示しており金利平価説だけでは、説明しきれないファクターがあるというのが分かります。それでも、米国のゼロ金利解除以降は理論値と実勢地の乖離がUSD金利に引きずられている傾向が見られ、一定の説明性を担保していることがこのグラフから言えると思います。

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