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【つながる旅行記#253】林の奥に佇む『沼津市歴史民俗資料館』で漁師の凄さを知る

前回は西附属邸をしっかり見て、謎のゲームの話を知ったりした。

残念ながら東附属邸は本日貸し切りということなので、なぜかこの御用邸記念公園に存在する『沼津市歴史民俗資料館』を見に行くとしよう。


といっても、下の航空写真を見て察しの良い人なら気づくことだろう。

西附属邸東附属邸の間に挟まれたこの場所に、絶対本邸があっただろうということに。

沼津市歴史民俗資料館の位置

そう、実際この資料館の場所に本邸があったのである。

沼津空襲で焼けてしまったのだけども)

この広い空間も、今でこそ盛大に植物が茂っているが昔は広い本邸があった場所だったのだ。

なんでも、本邸は今から行く歴史民俗資料館の約10倍の広さだったとか。

防空壕もある
植物に埋め尽くされるばかり

というわけで、これが『沼津市歴史民俗資料館』である。

本邸のあった位置に建っているこの資料館だが、御用邸感は特にない。

しかしこの建物の10倍の規模の本邸って、凄い広さである。


そして中に入るとすっごく民俗資料館な雰囲気が即座に出迎えてくれる。

皇族要素があったりするかと思ったがそんなことはなかった。

これもまた良し。

カツオ漁船は内浦の元気なイワシを餌用に購入して漁場へ向かったとのこと
重要有形民俗文化財の網
イルカ漁
マグロ建切網漁

なんと内浦湾では、大正時代初期までマグロカツオが捕れていたらしい。

内浦
この地形を利用する

そして良い感じの漁業風景ジオラマもあった。

漁の様子

やはりジオラマは最高だ。理解を大いに助けてくれる。

素晴らしい……!


……ところで、壁にすごく無意味そうな網が張ってある。

「いやこんなの余裕で抜けられるじゃん」という網が。

無意味そうな網(大網)

そう、この大網はどう見てもマグロの体と比べて網目が大きすぎるのだ。

だがなぜかマグロはこの大網におびえて近寄らないという。

そして網目が大きいということは、軽くて取り回しが効くということ。

内浦のマグロ漁は大網を含む多様な網を用いてマグロを何重にも囲い込むのだが、その際に大網の軽さや動きやすさによる展開スピードは非常に重要になってくるのだ。

素早く囲む

そして上から状況を把握して指示する役目の人達も居る。

指示役の人たち

いや、彼はブブゼラで応援しているわけではない。

これは『ローフー』という。

要するに竹でできたメガホンみたいなものである。

ローフー(実物)
(すっごい大事な古文書とか使ってない?)

このローフーで「しめーろ」と「ひけーろ」で指示出しをしたらしい。

どっちも「ーろ」で終わってるところがちょっと気になる。

加えてトンボガサでの合図もあったらしい。

遠くからこんなもの動かして果たして見えたのかという話だが、見えたから文化として残っているのだ。

情報伝達中

そして見事に陸地まで引き寄せられたマグロたちを、「シビカギで引っ掛けてカケヤで叩く」らしい。

いやカギで引き寄せるのはわかるが、まさか叩いて気絶させていたとは。

(まあデカいマグロがビチビチ跳ねたら危ないからな…)

シビカギで引っ掛けてカケヤで叩く様子

いやはや、漁師って凄いよなと素直に思う。

知能も、体力も、野生の勘も、あらゆるものが必要な仕事じゃないだろうか。


しかし水の中にいる魚の生態なんて一体どうやって理解しているんだろう……?

そこから作られる漁具類も漁法も、何がどうなって生み出せるのか本当に自分には理解が及ばない。

網を作るための道具
釣り針たち
定置網の道具

とりあえず、自分はせめて感謝して魚を食べることにしよう。


そして2階に上がると家庭的な民俗感も出てきて非常によろしい。

こりゃ自分には桶も作れないな

ということで、非常に楽しめた『沼津市歴史民俗資料館』。

皇族の別荘から一転して、地元密着型の民俗学的な展示を楽しめて非常に良かった。

やはり資料館は得るものがあるなあ。

そして今ではこの御用邸の辺りは子どもたちのお散歩&お弁当スポットとしても活躍しているらしい。

木々と自然と歴史がある良い場所である。

子どもたちの弁当風景を見ていたら、なんだか自分もお腹がすいた。

ソフトクリームでも食べよう。

カレンダーも天皇家

なんかわからんが他より美味い!!


……そんなわけで沼津御用邸記念公園でした。

市街地からはちょっとだけ離れるが、沼津に来た際は是非寄ってみてほしい。

さて、それでは自分はまたあの狭い道を通って市街地へ戻るとしようか。

事故だけは気をつけながら。

ああ、まるで富士山が応援してくれているかのような光景……!

やはり良いぞ沼津!!

これはまだまだ見ていかねば。


次回へ続く……!


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