気になる映画 『ある船頭の話』


昨日、ラジオでオダギリジョーさんのインタビューを聞いた。
彼が監督した映画『ある船頭の話』が今月13日から公開されるそうだ。
数ある台本のうちこの本を選んだのは何故か、10年前に既に存在したこの台本を何故今撮ろうと思ったのか、音楽を担当しているピアニストと初めて会った時のエピソード等、興味深い話が沢山聞けた。

その中で一番印象に残ったのは、人を丁寧に描くためには「間」を取ることが必要だという話だった。
現代映画はなるべく間を少なくしてテンポよく物語を進めていくのが主流であるとした上で、自分が撮るならば人間をちゃんと描きたいと思ったのだと言う。
だからこの作品は間を大切に撮ったそうだ。

その話を聞いた後、私が映画を観て不満に思う時のことを考えた。
それは中途半端に描かれたものを見せられた時だ。
一本の作品としてそれらしくまとまってはいるが、何かが決定的に足りないと感じてしまうような映画に私は違和感を覚える。

ただ見ているだけの者には分からない事情があるのだろうが、これでは何も伝わってこない、物語のエッセンスが感じられないと思う作品は少なくない。
原作がある場合、何故あの大切なシーンを丸ごとカットしてしまったのだろう?あそこが欠けてしまったら違う話になってしまうのに...とガッカリさせられることもある。

オダギリさんの話を聞きながら、私がそのように感じた映画は人を丁寧に描いていなかったのだと理由が分かってなるほどなと思った。

話は戻るが、この映画の舞台が明治時代であることも興味深い。
日本が大きな変化に向けて歩みを進めたのは明治だと感じているからだ。
その時代に橋の建設を通して生活環境が変わるということは、現代に生きる私達が考えるよりも遥かに大きなインパクトがあったのではないかと想像し、そこにどんなドラマがあったのか、それをどのように描いているのかとても気になっている。

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