カイジ(ショートショート)
山田ゆり
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※note毎日連続投稿1616日をコミット中! 1599日目(4年余り)
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
※画像はイメージです。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
カイジ(ショートショート)
をお伝えいたします。
カイジは大人だった。
私より2歳しか離れていないのに彼の言葉は一言一言、優しかった。
久しぶりにあった彼は終始にこやか。
話しながら宙に舞う彼の大きな手は私に会えて嬉しい気持ちを表現していた。
嬉しいのは私も同じだった。
私は今日の為に美容院でヘアスタイルの施術をしていただいた。
それは数万円するのだが、綺麗になるならそれは自分への投資だと信じている。
カイジとは、マッチングアプリで知り合った。
私はそろそろ結婚相手を見つけたいと思うお年頃。
SNSだけのやり取りだけで結婚相手は決められない。
どんな人かは会ってみないと分からない。
会ってくれた相手はほぼ100%私を好いてくれた。
そりゃそうだ。
私、自分に自信があるもん。
私の仕事は営業。
口から生まれてきた「口達者」と親によく言われる。
背中にサラリと揺れる長髪。
学生時代にバドミントンで鍛えた体はメリハリバディ。
思考はポジティブ。
3度目にあった時にカイジからプロポーズされた。
全くひねりのない直球のプロポーズだったが素直に嬉しかった。
彼は素晴らしい人で私を愛してくれている。
私も彼を尊敬していた。
でも、彼は職業上、会えない期間がある。
それは一旦出発すると数か月戻って来ない。
そして、場所によっては携帯電話が通じない。
募る思いが愛を深めることもあるが、それは恋愛までの美談であり、もしも結婚したらそれは美談でもなんでもない。
例えば子どもが生まれたら、私の理想は子どもを二人で育てたい。
共働きの両親を見て育ったからその思いが強いのかもしれない。
子どもは二人の愛によって生まれたはずなのに、育児のほとんどは母がしていた。
母も仕事をしていたから母は私から見えないところではいつも疲れた顔をしていた。
父は帰宅後お風呂に入ってぐっすり寝てしまい、母は私たち子どもの世話や台所の片づけ、掃除、洗濯をしていた。
時々、母のとなりに座ってハンカチをたたむお手伝いをすると、「ありがとぉ」って母はいつも満面の笑みをする。
小さい頃は母のその顔を見たくてお手伝いをしていたが、その内、その満面の笑みがかえって悲しく見えてきた。
家のことをほとんど手伝わない父を見てきて、私は家事・育児に責任を持つ人と一緒になりたいと思うようになった。
カイジは仕事柄、任務に戻ったら数か月は帰ってこない。
そして行き先は家族であろうが知らされない国家秘密なのだ。
人並み以上の生活費は入ってくるだろうが、彼にいてほしい時に彼はそばにいない。果たしてそれが「夫婦」と言えるのか。
私は二人で家庭を作っていきたいと思っている。
カイジは理想的な人だった。
職業以外は。
結局私たちは分かれた。
海辺に一人立つ。
潮の香りがチクリと胸を刺す。
押しては寄せる波は私の思いと同じ。
美容室で整えたばかりの長髪に指を通すとさらさらと落ちる。
***
「ママ~、絵本読んで~」
息子が大きな絵本を持って私のひざの上に座ってきた。
「うん。分かった。どれどれ~」
私はたくさんの船が載っている絵本を開いた。
「僕ね、大きくなったらお船に乗るの~」
「そぉなの~。すごいねぇ~」
息子は指しゃぶりをしながら絵本を食い入るように見ていた。
今回は
カイジ(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
※画像はイメージです。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
カイジ(ショートショート)
をお伝えいたします。
カイジは大人だった。
私より2歳しか離れていないのに彼の言葉は一言一言、優しかった。
久しぶりにあった彼は終始にこやか。
話しながら宙に舞う彼の大きな手は私に会えて嬉しい気持ちを表現していた。
嬉しいのは私も同じだった。
私は今日の為に美容院でヘアスタイルの施術をしていただいた。
それは数万円するのだが、綺麗になるならそれは自分への投資だと信じている。
カイジとは、マッチングアプリで知り合った。
私はそろそろ結婚相手を見つけたいと思うお年頃。
SNSだけのやり取りだけで結婚相手は決められない。
どんな人かは会ってみないと分からない。
会ってくれた相手はほぼ100%私を好いてくれた。
そりゃそうだ。
私、自分に自信があるもん。
私の仕事は営業。
口から生まれてきた「口達者」と親によく言われる。
背中にサラリと揺れる長髪。
学生時代にバドミントンで鍛えた体はメリハリバディ。
思考はポジティブ。
3度目にあった時にカイジからプロポーズされた。
全くひねりのない直球のプロポーズだったが素直に嬉しかった。
彼は素晴らしい人で私を愛してくれている。
私も彼を尊敬していた。
でも、彼は職業上、会えない期間がある。
それは一旦出発すると数か月戻って来ない。
そして、場所によっては携帯電話が通じない。
募る思いが愛を深めることもあるが、それは恋愛までの美談であり、もしも結婚したらそれは美談でもなんでもない。
例えば子どもが生まれたら、私の理想は子どもを二人で育てたい。
共働きの両親を見て育ったからその思いが強いのかもしれない。
子どもは二人の愛によって生まれたはずなのに、育児のほとんどは母がしていた。
母も仕事をしていたから母は私から見えないところではいつも疲れた顔をしていた。
父は帰宅後お風呂に入ってぐっすり寝てしまい、母は私たち子どもの世話や台所の片づけ、掃除、洗濯をしていた。
時々、母のとなりに座ってハンカチをたたむお手伝いをすると、「ありがとぉ」って母はいつも満面の笑みをする。
小さい頃は母のその顔を見たくてお手伝いをしていたが、その内、その満面の笑みがかえって悲しく見えてきた。
家のことをほとんど手伝わない父を見てきて、私は家事・育児に責任を持つ人と一緒になりたいと思うようになった。
カイジは仕事柄、任務に戻ったら数か月は帰ってこない。
そして行き先は家族であろうが知らされない国家秘密なのだ。
人並み以上の生活費は入ってくるだろうが、彼にいてほしい時に彼はそばにいない。果たしてそれが「夫婦」と言えるのか。
私は二人で家庭を作っていきたいと思っている。
カイジは理想的な人だった。
職業以外は。
結局私たちは分かれた。
海辺に一人立つ。
潮の香りがチクリと胸を刺す。
押しては寄せる波は私の思いと同じ。
美容室で整えたばかりの長髪に指を通すとさらさらと落ちる。
***
「ママ~、絵本読んで~」
息子が大きな絵本を持って私のひざの上に座ってきた。
「うん。分かった。どれどれ~」
私はたくさんの船が載っている絵本を開いた。
「僕ね、大きくなったらお船に乗るの~」
「そぉなの~。すごいねぇ~」
息子は指しゃぶりをしながら絵本を食い入るように見ていた。
今回は
カイジ(ショートショート)
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
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