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ベトナムのIT ラボ契約

#ベトナムのIT業界 では #ラボ契約 という契約形態がある。「ラボ」と聞くとアカデミックで知的なイメージを受けるが、実態は日本でいう人月契約である。ラボとはLaboratory(研究所)の略ではない、Labor(労働)契約をベトナム人に発音してもらうと語尾の子音を省くので「ラボ」に聞こえる。この説を信じている。

以下、ベトナムに3年住んで見聞きし、顧客側の企業の悲鳴を聞いた結果の個人的な意見(ワーストケース)で、特定の企業を対象としていません。一口にラボといっても会社によって様々で、人材育成や品質管理に本気で力を注いでるところもあります。ただそういうところは日本並みの費用がかかります。

ラボ人月契約オフショア開発

ラボとは端的にいうと、ベトナムの企業に頼んでエンジニアとマネージャ、コミュニケータ(通訳)を雇ってもらってその給与の実質3倍から10倍を支払うというもの(もちろん表面上はそうなってない・後述)。コストダウンを餌に食いつくと人月契約と #オフショア開発 という発注者にとって成果を手にし難いコンボをくらうことになる。

ベトナム現地側の企業は、オフィスを借りて日本の企業から人事のアウトソーシングを受けて求人広告出して雇用するだけで粗利70%超確保する楽な商売。

日本とベトナム地理的に離れているせいもあって、どうやっても受注側・発注側の間に不信感が生まれやすい。ベトナム側の企業も見えてないところで割とやりたい放題で、学生のアルバイトを正社員だと言ったり、100%アサインしていると言われたマネージャが3つも案件持ってたり、勤務時間遊んでたり(これが前述の実質給与の理由)。

当初は大幅なコストダウンを謳って契約しても結局なにも結果を出せなかったケースも多い。前述の通り、ラボの会社はほぼノーリスクなので、泣き寝入りするのは盲目的にコストをケチった発注側である。

たまに「ベトナムでのラボ何とか立て直して欲しい」という相談が来るが「自分で雇用してラボの会社に中間搾取されてる分エンジニアに還元した方がいいよ」とアドバイスしている。ただこの言葉の通り動いた会社はいまのところない。

日本国内で度々批判される人月契約同様の弊害がベトナムでも生まれている。生産性や創造性の欠如・過重労働など。しかしながら、ラボ型契約がベトナムのIT業界を潤し、若者の雇用を生み出したのは事実であり、今後とも日本の企業はITに生産性を要求しない良いお客さんである続けるだろう。ちなみに、日本企業向けラボ形態の会社の多くが、この日本人の気質を知り尽くした日系の企業である。

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