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生きやすく生きるために、手放す【読書記録:群ようこ『しない。』】

正月のお休みから読み始めていた、群ようこさんの『しない。』
今年の1冊目の読了本となりました。

その名の通り、著者の「しない」ことに関してのエッセイ集です。


下記に印象に残った言葉を抜粋させていただきました。

6.結婚
- 人は、する、しないを選べる。(中略)結婚もせず、子供もいないと話すと、「歳を取ったときに寂しいでしょう」と気の毒そうにいう人もいる。しかし子供や孫がいる人は、みんな寂しくないのだろうか。子供を持って一人前というけれど、それでは親になっている人は、みな立派な人なのだろうか。(中略)子供がいなくても、それなりに様々な経験ができるのだから、子供がいないと云々というのは詭弁である。自分の人生は自分でしか選べないのだから、他人から何といわれようと、法律に触れない限り、自分のやりたいようにしたほうがいい。イエスよりもノーのほうがいいにくいし、やりにくいのだけれど、百人の人がいたら、百の生き方があって当然なので、自信を持って世の中の基準い対して、ノーといえる人生もいいと思うのである。
7. 言葉
- 慣れてもがんばってもできない人がいるらしいとわかったのは、相当、後になってからである。そのときはじめて、自分がごく普通の人間で普通にできると考えていることも、できない人がいると知った。(中略)「みんなができると思っていることができない人もいる」とわかってから、「どうしてこんなことができないの」は封印した。やはりそれは他人を傷つける言葉だった。私としては上からいっていたつもりはなく、私みたいな者ができるのだから、あなたもできるはずなのにといったつもりだったのだが、相手が受け取る意味は同じなのだった。
12.必要のない付き合い
- どうしてみんな、自分の気持ちを素直にいえないのだろう。(中略)他人が自分をどう思っているかは、誰しも気になるだろうけれど、それは自分が行動を起こした結果に対してであって、自分が相手にどう思われるかを予測して、それによって自分の行動を決めるなんて、一人の人間としておかしくないですかといいたい。自分の悪口をいわれたくないため、嫌われたくないために、自分の不本意な行動、発言をする必要はあるのだろうか。
- 自分はできないのに、はいはいと引き受けていると、いずれは自滅するのは目に見えている。失礼がないように断る方法は、人それそれ違うだろう。それを考えていかないと、いつまで経っても他人のペースに巻き込まれ続けて、自分の時間も取られ、その結果疲弊するばかりだ。

群ようこ『しない。』


人は、する、しないを選べるのに、「しない」を選ぶことに躊躇してる。読みながらそんな思いが込み上げてきました。「したく」ないのに、「しなければいけない」と無理に義務化しているなーと。

特に日本人は「和」を重んじるから、知らず知らずのうちに同調圧力にのまれ、個人の意見などないに等しくなっていく。学生の時も、社会人になってからも、そのコミュニティーの中で生きていくためには、個性が強すぎると、「和」が乱れるから、必然的に排除されやすくなる。なんて生きにくい世の中なんだろう。

これが、いじめや、心の病の原因のひとつなのかもしれません。

流れに身を任せて、その義務の数々を淡々とこなしている方々が大多数だとは思います。また、日々の積み重ねで、慣例や習慣となってしまっていて、「しない」選択肢があると認識していない場合もあるかもしれません。

私もこの「〜しなければいけない」ことは好みません(笑)。けれど、まだまだ人生の先輩方に教わる機会が多いのも事実で、理想と現実はほど遠く、そのほとんどを手放せていないのが現状です。

「しない」を選択できないのは、恐怖心の表れ。モノを捨てられない、人付き合いをやめられない、断れない、不満があるのに転職しない、新しいことを始めない。すべて、後から後悔したくないという思いと、失敗したらという恐れがあるから、今の現状を手放せない。

でもわたしは、手放さなかったことを後から後悔したくない。後悔したくないから新しいことを始めるし、失敗したとしても、「しない」を選んだことで新たに学べることもたくさんある。手放さないと、新しいことに出会えない。現状維持では成長できない。

書きながら過去の行為の数々を思い返し、結果、わたしはなんて自己主張が強くて、「和」を乱しまくってきたのだろうと猛反省。。。今考えると、行為そのものより、「伝え方」が間違っていたなーと思います。結果、わがまま、自己中心的、周りが見えてない、空気が読めない、協調性がない、と言われ、「いい大人が・・・。」と陰口を言われる始末。人間関係は本当に難しい!

大人なんだから、社会人なんだからと、全てに「従う」ことが正しいとされる社会は、本当に正しいのでしょうか?
自分の人生です。自分の気持ちに従って、「する」も「しない」も決められる、そんな生き方できたら最高。そんな生き方したい。
改めてそう思わせてくれた1冊でした。

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