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矢上川遺跡紀行

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鶴見川支流の矢上川流域にある古墳や遺跡を巡ります。
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鶴見川流域の歴史を調べるのに役立つ情報

鶴見川遺跡紀行の上流編が一応(?)一段落しました。 (所々取りこぼしはありますが…それはまたの機会に) そこで、ここまで引用や参照で使用した情報を、自分用のブックマークを兼ねてまとめておきます。この地域の歴史を調べる際の参考になれば幸いです。 ■県史・市史・区史横浜市史稿  横浜市史は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能です。 下記の2つのサイトに横浜市史の目次や索引があります。 目次で年代から調べるか、索引で調べるなどの方法があります。 横浜市の区史

井田城址・蟹ヶ谷古墳群・神庭遺跡

「1ヶ所で3度楽しい?」遺跡巡り 今から1年半前、古墳巡りを始めて間も無い頃、蟹ヶ谷古墳群に行きました。 今読み返してみると、非常にあっさりとした記事… 当時は古墳しか興味が無かったので見逃していましたが、周辺には縄文後期〜古墳時代の神庭遺跡と中世の井田城址も存在していたそうです。 三つの遺跡がそろう場所神庭遺跡は中原養護学校の敷地内で発見され、現在は校内に出土した土器が展示されています。一方、井田城址については明確な遺構がありません。ただ「あったらしい」という話が残

野川神明社から野川1号墳へ 千年伊勢山台紀行(3)

縄文時代からの歴史が詰まった台地の物語、いよいよ完結! 前々回、前回からの続きです。  今回は、影向寺周辺の地形を見た後、野川神明社さらには第3京浜を越えて野川1号墳まで遠征します。  この一連の行程は、実際には2回に分けて行っています。台地に上ってしまうと飲食店やコンビニ、公共のトイレもありません。同じようなルートで散策をお考えの方は、ルート設定にご注意ください。  タイトル画像は橘樹官衙跡の後方、千年伊勢山台の北壁から武蔵小杉方面を見渡したものです。台地の高さを実

橘樹官衙から影向寺 千年伊勢山台紀行(2)

古代の川崎市役所は、インテリジェント・シティーオフィスだった?  前回の続き、今回はいよいよ伊勢山台に入ります。 橘樹官衙(たちばなかんが)遺跡群  中原街道から急坂を上って台地の頂上付近にたどり着くと、何やら広い空き地がでてきます。  公園にしては遊具がありません。  ここが橘樹官衙跡です。千年伊勢山台遺跡群とも呼ばれたりしています。  なんと!発掘調査中でした。  建物の跡か?40~50cm掘っているから、地層としてもかなり古そう。  礎石ではなく、溝の跡かな

子母口富士見台古墳 千年伊勢山台紀行(1)

貝塚、古墳、寺社が大渋滞、縄文から平安時代までの遺跡が集う丘  矢上川古墳紀行(2)の有馬古墳へ向かう途中に見えた、モフモフと緑が茂っていた場所が気になったので、今回行ってみることにしました。ここも矢上川流域なので、実質、矢上川古墳紀行(5)ということになります。  散策ルートは川崎市のウォーキングガイドマップを参照して、子母口住宅前バス停からスタートです。 子母口貝塚 バス停の通りに「たちばな散歩道」の石碑があり、そこから急な細道を登ります。畑や民家の合間を抜けると、台

西福寺古墳・馬絹古墳 矢上川古墳紀行(3)

 梶ヶ谷を挟む台地の両端にある2つの古墳 矢上川古墳紀行のシリーズの続きです。 今回は電車で行ってきました。 梶ヶ谷の地形 この辺りも下末吉台地。現在はニュータウン開発で、切土や埋め立てが行われてゆるやかな傾斜地だけど… 昔はかなり開析が進んでいた場所のようです。 西福寺古墳 今回は、梶ヶ谷駅から歩いていきます。駅からはゆるやかな上り坂。台地では高度差を感じませんが、進行方向右手側の住宅の切れ間から、反対の台地までの眺望が垣間見えます。  ずっと尾根筋をすすみ下り基

有馬古墳 矢上川古墳紀行(2)

畏れられ、愛されて存続する大切な地域の古墳 矢上川古墳紀行(1)からの続き 矢上川から有馬川へ 蟹ヶ谷古墳群を後にして、さらに矢上川を遡ります。橘橋を過ぎると、目前にこんもりとした緑の丘陵見えてきます。かなり大きなモフモフ感なので、いろいろありそうで気になります。  しかし、ここはひたすら川沿いを1.5kmほど進み、五反田橋まで到達。  写真奥の流れは矢上川、手前の流れは支流の有馬川です。   ここで、有馬川へ進路を変更。分岐点に架かるさつき橋を渡り、市営団地沿いの

蟹ヶ谷古墳群 矢上川古墳紀行(1)

 小さな川が削り出した丘の上に古墳が立ち並ぶ  今回は、鶴見川支流の矢上川を遡り、小さな古墳を巡る旅をします。矢上川は小さな河川ですが、流域にはたくさんの古墳があります。川沿いを歩くには距離が長いので、今回は自転車(ママチャリ)でGO! 矢上川と流域の地形 地理院地図に川の流れを示しました。赤色が矢上川と有馬川、黄色が早渕川です。下末吉台地をかなり削っていますね。  鷹野大橋から鶴見川左岸下流方向を望む。  奥の緑の盛り上がりは、前回取り上げた加瀬台古墳群。こちらは川

「夢見る」加瀬台古墳群

古代人も太田道灌も夢を見た。氾濫平野にそそり立つ台地 加瀬台の成り立ち 多摩川、鶴見川支流の矢上川に挟まれた地に孤立する加瀬台。矢上川対岸の日吉台(下末吉面)とつながっていたが、海や川に浸食によって形成された。写真は矢上川方面の断崖面。なかなかエグい角度だ。  標高35m、長さ750m、幅150mの細長い丘で、古くは加瀬山と呼ばれていた。現在は夢見ケ崎動物公園として整備されている。  悲しくなるくらいのアローン感!これより先に高い所がない。  最寄りは横須賀線・新川崎駅ま