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『ガールズ&パンツァー 最終章 第3話』を観たら4話まで死ねなくなった。

 どうやら、前回から一年半も待ったらしい。ここにきてようやく折り返し地点、もしや『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』の方が先に完結するのではとさえ思う公開ペースにも驚愕するものの、いざ本編を観れば長い製作期間を要するのだと納得するのもガルパンの風物詩。何はともあれ、自粛生活と労働で身体が悲鳴を上げてはいるが、なんとしても生き延びねばならない理由がまた一つ増えてしまった。エンドロールが流れた瞬間の劇場の空気を察するに、同じことを考えたガルパンおじさんも大勢いたはず。

 まずもって驚くべきは、知波単の新しい在り方そのもの。突撃するために戦車道をしていた彼女たちが、今度は勝つための戦車道をする、という変化。その変化を導いたのが大洗とのエキシビションや大学選抜チームであり、そして今はその大洗が知波単に追い詰められるという展開。長期化した闘いは12時間に及び、大洗女子は慣れない夜戦に疲弊していく。一方の知波単は一切乱れることなく連携を組み、あの手この手で大洗を翻弄する。

 知波単・西隊長の狙いはあんこうチームを討つこと。大洗の精神的支柱にして現在も事実上の隊長を務める西住みほを討ち取れば、夏の優勝校とはいえ実力・経験の不足している残りの大洗メンバーを倒すのは、確かに容易いものになってしまうだろう。西住みほは大洗女子の最強の武器でもあり、弱点でもある。河嶋桃の大学進学のために参加した現大洗メンバーのウィークポイントを突いたこの作戦は、本作終盤に大きな影を落としていく。

 しかし、さすがの大洗もただでは折れない。あんこうチームは状況に応じて車長・装填手・操縦手を交代する臨機応変さで夜戦に対応し、それでいて変更後の役割も難なくこなす技量の持ち主が揃っている。アヒルさんチームは友情を深めた福田の乗る車両と一騎打ちでそれぞれのフラッグ車を守り切って、ウサギさんチームの澤梓は冷静な判断力で次なる西住の片鱗を見せた。そして何より、桃ちゃんが最後の一発を外さなかったことが、続く第4話にて残された希望になるだろう。

 そう、こうして無理矢理勝つための希望を探してしまうほどに、ラストは衝撃的だった。あのサンダースを下し準決勝に進出した継続高校。『劇場版』でのイメージがどうしても強いせいで気づけなかったのだが、ミカ・アキ・ミッコの三人以外にも戦車道のメンバーが在籍している!!いや当たり前のことなんだけど、カンテレお姉さんの印象が強すぎて他のキャラクターや戦車を保有している可能性すら見逃していた。

 大洗VS継続の試合は、序盤から継続高校のペースで進行していく。雪に隠れた長距離狙撃で大洗戦車を村まで誘導し、フラッグ車と護衛を残し後の車両が追撃に出たところを、雪だるまに隠れていた戦車で強襲。みほの判断で追撃車両を護衛に戻し立て直しを図る大洗、あんこうチームは撤退しながらも敵車両を撃破。五十鈴華の神がかり的な射撃により2両同時撃破を達成するなど、ここからいざ巻き返しに転じるまさにその瞬間、予期せぬ砲撃により煙を上げるIV号。そして白旗。あろうことか、対継続高校戦はあんこうチーム=西住みほ抜きで闘わなくてはならないという、シリーズ中最も絶望的な状況に追い込まれることとなった。舞台挨拶で渕上舞さんもそう言ってました。

 サンダースのナオミを超える狙撃力を有し、ミカが「白い魔女」と語る謎の新キャラクターによって、大洗はチームの精神的支柱を失うことになってしまう。それはまさに『最終章』における課題、河嶋桃の隊長としての器であったり、西住みほの後継者問題を一気にファンの心に浮かび上がらせてしまう。いずれ向き合わねばならない、乗り越えなければならない障壁が、こうも唐突に訪れるとは。いや、っていうかマジで負けるのでは……??桃ちゃん諦めて今から勉強しよっか、になるくらいには動揺している。丸山紗希が覚醒しないとどうにもならないんじゃないかこれは。

 大洗は、各チームが考え行動することはもちろん、戦況を見極め勢力を統率する人員の用意を早急に迫られている。知波単戦でもその予兆が描かれたように、他校に比べ能力等が欠けていたとしても、彼女たちは指示待ち族ではない。自分たちの強みを活かし、臨機応変に対応する力だって、確かに備わっているのだ。その力が試される苦境の第4話、なんとしてもこの目で見届けなくては冬は越せない。頑張れ桃ちゃん負けるな桃ちゃん、ここが正念場だ。希望の進路へレディ・ゴーッ!するまで、おじさん生きるからね。

 それはそれとして今回のエリカなんですけど、上に立つ者の重圧と責任に押しつぶされそうになりながら、土壇場で自分らしさに振り切る勇気を見せ、黒森峰を勝利に導く大金星を上げましたね!!しかも搭乗中の戦車を降りるという行為は、以前彼女が批判したみほの対プラウダ戦でのメンバー救助を彷彿とさせるわけで、その決断をそのプラウダとの闘いで行う、という選択が素晴らしいです。ありがとう吉田玲子さん。エリカを笑顔にしてくれてありがとう……。黒森峰に入りたい……。バウムクーヘン……。

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