第1322回 今よりはむき出しで、だからこそ刺激的な時代
1、この博物館にしては攻めたキャッチフレーズ
東北歴史博物館で開催中の特別展「欲望の昭和 ~戦後日本と若者たち~」を見てきました。
https://www.thm.pref.miyagi.jp/exhibition/6204/
展示を見る前に知り合いの職員さんに
君が期待しているムフフな欲望はないよ〜
とかなんとか言われましたが…
2、欲望が文化を生み出す
展示内容はなんとも幅広いものでした。
始まりは玉音放送。
進駐軍がミヤギにやってきて、日本人と一緒に撮った写真や
キャンプ地の地図が展示されています。
仙台の街中の地図には彼らが呼んでいた名前で通りの名称が記されているのが興味深いですね。
進駐軍相手の商売のために英会話ブームが起こっていたことも紹介されています。
「もはや戦後ではない」
と言われた高度経済成長期の中では特に宮城米について詳述されています。
そして何と言っても東京オリンピック。
NHK大河ドラマ「いだてん」でもお馴染みのポスターなどが展示されています。
県内を通過した聖火のトーチの実物も展示されています。
昨年の東京オリンピックの資料もいずれこのように展示されることになるのか、などと感慨に耽っていました。
そして大阪万博。
こちらも私が生まれる前のこと、当時の熱狂はイマイチ実感が湧きませんが、これまた二度目の開催が間近に迫っており、時宜にかなったもの。
列島改造論とともに語られるのはやはり東北新幹線開通関係資料。
JRや空港、高速道路などがどのように東北各地と都心を結びつけていったのかが紹介されています。
個人的には新幹線や高速道路と発掘調査の関わりも少し触れてもらうとよかったのかな、とも思ったり。
というのは東北新幹線は比較的山沿いを通るルートなのですが、遺跡に関わる部分の発掘調査を各地点で行い、大きな成果を上げていたのです。
東北全体にトレンチ(細長い調査坑)を入れると表現されることもありました。
まさに東北歴史博物館の得意分野なのでは?と思ってしまいます。
後半、第2章になるとより「欲望」が前面に出てきます。
レコードやテレビ番組、映画に雑誌、漫画など様々な文化が紹介されています。
そしてあるではないですか。ムフフな展示物。
様々な雑誌の創刊号も展示されているのですが、
週刊プレイボーイの創刊号の表紙はライオンの姿に見えますが、よくみると…
なぜか型番違いでずらっと並べられていたラジオや
仙台の喫茶店各地で集められたマッチ箱コレクション(100個)
は壮観でしたね。
最後には1970〜80年代の若者の部屋が再現されているのも興味深いものです。
私自身はまだ物心ついていない頃ですが、なんとなく懐かしい雰囲気です。
3、昭和も歴史になりにけり
展示会場を出たところで、企画担当の職員さんにお会いしたので
これだけの資料を集めるのは大変だったでしょう。「個人蔵」となっているのはご自身の私物ですか?
と尋ねると、レコードなどは一部自分のものもありますが、
各地の展示図録や資料集から片っ端から問い合わせして借りてきた、とのこと。
その情熱と、審美眼、展示センスが相まってできた展示会なのですね。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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