第1443回 図書館ウォークを趣味に
1、読書記録338
本日ご紹介するのはこちら。
ちょっと歴史の話題からはずれますが、気になってしまったのです。
2、図書館を巡るということ
著者は元図書館員のライターさん。
連載されているnoteは35,000フォロワーの人気アカウントです。
大阪出身なのに青森県の図書館に勤務しているから、帰省のついでに遠回りして地方の図書館に立ち寄ってみたりするのです。
運転免許を持っていないからと、旅は基本鉄路ローカル線。
列車の時間に左右されるからじっくり見たいのに、と心残りで旅立つ時もあれば
逆に空いた時間に予定外のところに立ち寄っていい出会いに巡り合ったりする。
こういう旅は楽しいですよね。
有名建築家が設計した豪華な拠点図書館だけでもなく、
地元密着型の図書館を訪れて
「何しにきたの?」
と訝しまれることも。
訪れる図書館はどこも
地元の人に愛され、司書さんが郷土史コーナーを充実させている、そんな素敵なところばかりです。
訪れたことのある街の図書館も紹介されていて、
こんな素敵な場所だったら、行ってみたかった!と残念な思いも。
個人的にはアーケード商店街の中にある徳島県の三好市中央図書館と
「日本一図書館に見えない」と著者が評する宇和島市立簡野道明記念吉田町図書館が最もこころ惹かれました。
市の公式Webサイトによると「京都の二条城を真似た御殿風」とのこと。
残念なのは、著者がルールとしている
取材目的でも館内の撮影はしないということ。
元図書館員だから現場に迷惑をかけたくないのだ。
「絶景図書館」などと話題になって悪意ある人も増えてしまうのを憂慮されているご様子。
この辺りは博物館資料の問題とも微妙に絡んでくるので、考えさせられます。
それはさておき、図書館の外観の写真や、近隣の風景の写真だけでも
旅の風情を味わえるので、心地よいことは間違いありません。
350館以上の図書館を訪れた、という著者が、どの図書館が一番よかったか、と聞かれて考えるのは
その街に移住して図書館に通うとしたら、住みやすいと感じるか
という観点だ、という考え方は共感できます。
博物館も従来は「外部の人向け」「観光客向け」とされてきましたが
法で定められている無料の原則や、地元で必要な施設と見られるためには
このような視点で捉え直す必要があるのではないかと。
小学生の時に一度だけ校外学習で訪れただけ、そんな郷土資料館が住民に愛されるでしょうか。
その分野のマニア的なファンしか訪れない施設が採算をたてに迫られたら必要性を認められるでしょうか。
体験事業や企画イベントで地元の方も折に触れて訪れ、外からきたお客様を案内して連れてきたくなる、そんな施設でないと成り立たないですよね。
我が町は博物館も図書館もどちらも世間様に誇れるものでは全然ないので
いずれは統合して相乗効果を生むような形にしよう、という野望を持っています。
3、夢の締め切り
話が脱線したので戻すと、本書には66箇所の図書館が旅の思い出とともに紹介されています。
あとがきには
もし図書館ウォーカーという趣味がブームになったら、本書や旅の裏話を原作にして「孤独のグルメ」のような擬似ドキュメンタリー風ドラマを作って欲しいと思っている。
とあります。
著者がいつか我が街の図書館を訪れてくれる時までには夢を実現したいと思います。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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