第1389回 青森旅行記 その3

1、まだまだ続くよ

前回、前々回に引き続き、旅行記録を残していきたいと思います。

今回ご紹介するのは国史跡に指定されている「根城跡」

築城した南部師行については前回の記事をご参照ください。

2、武家屋敷全開

築城されたのは建武元年(1334)のことですが、復元されたのは安土桃山時代の建物、ということです。

主たる建物としては主殿、常御殿、奥御殿がありますが、復元されたのは最も公的な性格の強い主殿です。

武家の儀式で大事なことは序列を明確にすること。

復元された主殿の内部では正月儀礼の場面が人形を使って復元されています。


主人役と思われる人物が何故か甲冑姿なのが気になります。

正月御膳としては質素に感じますが、文書などから再現されたものなのでしょうか。

鏡餅に枝が刺さっているのも当地で行われている正月飾り、ということなのですかね。

他にも祈祷の間や


控えの間も復元されていました。

わざわざ「祈祷の間」が設けられているのは一般的なのでしょうか。

南部氏が特に祈祷を重要視していたことなのか、気になります。

管理上の問題からか雨戸が締め切っていましたが

本来であれば開け放って風とおしがよくなれば少しは涼しいのでしょうかね。

冬であればこの控えの間にあるような囲炉裏で面会の順番待ちをするのも悪くないような雰囲気です。

奥に見える瀬戸の壺のようなものにはきっとお酒が入っているのでしょうね。

他にも工房や野鍛治場、板倉など多数の復元建物がありますが

もっとも注目すべきは馬屋でしょう。

殿様専用の上馬屋と来客用の中馬屋が分けられているところも注目です。

古代からこの地域には馬の生産地である牧があったことを想起させますね。

堀や土塁も綺麗に管理されていましたが、もちろん当時の状態よりは埋まって浅くなっているはず。

子ども達が「意外に堀って深くないんだね」と言っていたので

よく言って聞かせました。

それにしても暑い!

建物が復元されていない中館というエリアは日陰が少なく、

唯一大きな樹木の木陰で休むことができました。

古来より大きな木に信仰心を抱く気持ちがちょっと理解できましたね。

3、過去と大きく印象が異なる

いかがだったでしょうか。

実はこの史跡はもう20年近く前に友人と訪れたことがあるんですよ。

まだ大学生だったころでしょうか。

その頃も同じものを見ているはずでしたが、季節が真逆だったせいか

印象が全く違いました。

復元整備が進んで様変わりしている部分も間違いなくあると思います。

学生時代に訪れた際にはは発掘調査の成果図面に何度も建て替えられた建物群の柱穴が無数に書き込まれていて、空恐ろしかった印象。

自分が調査担当でこの遺跡に向き合ったら精神を保てるかどうか。

やはり何度訪れても規格外の遺跡でした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?