第394回 博物館探訪 第4弾 東北歴史博物館 ②
1、企画展だけではない面白さ
昨日に引き続き
この博物館には通史を紹介する常設展と企画展会場の他にテーマ展示という入れ替えのある部屋もあります。
今回はこの部分も少し紹介しようかと思います。
まず第1テーマ展示室では
「郷土玩具の世界-黒田コレクション-」
が開催されていました。
とある好事家が各地を巡って集めた郷土玩具のコレクションの一部が公開されていました。
2、郷土玩具の世界
郷土玩具とは、子どもの遊ぶおもちゃだろうと侮るなかれ、
地域に伝わる伝承を反映していたり、子どもの成長を願う信仰の姿を表現していたりと、近世近代の世情を知る上で貴重な資料となるのです。
宮城県では松川だるまが取り上げられていました。
珍しい青いダルマとしてご存知の方もいるのではないでしょうか。
今回の展示では十二支や天神様、鯉のぼりなどが象られたものでしたが、
タレントのマツコデラックスさんがこよなく愛していることで知られる
赤べこも個人的には大好きです。
『マツコの知らない世界』という番組で紹介されたのをご覧になった方はいらっしゃいますか?
ここではご当地民芸品という名称で呼ばれています。
3、収集家の人柄
現代でも愛好家が多い郷土玩具ですが
展示解説によるとそのハシリは清水晴風という人らしいです。
この人は東京は神田の旧家に生まれ、家業の旅籠経営のかたわら風流に生きた人だったようで、
新聞記者で劇作家としても活躍した仮名垣魯文や日本人類学の父、坪井正五郎、仙台藩の名高い儒学一家の一員である大槻如電などと交流していたようです。
経歴だけみると本当に趣味に生きた人生だったと思えてきます。
明治の頃は好事家・収集家と学者の距離が近かったようですね。
4、さらに名称は変わって
そして考古学上の用語、というか発掘調査で出土した場合は
土人形
と呼ばれます。
京都の伏見人形や福岡の博多人形が代表的ですが
各地で生産が行われていました。
ミヤギにも堤人形がありました。
これは、江戸後期に甕などの実用品を焼成していた窯が副業的に作っていたのが始まりでした。
もはや10年以上も前ですが、とある学会からの依頼が当時勤めていた職場にあり、同僚と分担して宮城県内の遺跡からの出土例を集成したことがありました。
遺跡から出土するものは大抵退色して色あせてしまっているので、現代も作り続けられている堤人形とは大きく印象が違いますね。
その時は金太郎や天神様(菅原道真)を象ったものが多かったと思います。
作り方は各地の焼き物技術を利用して多様な表情を見せる土人形ですが、モリーフはあまりバリエーションがなかったりするのかもしれませんね。
みなさんの地元にも江戸時代や明治時代から続いてる縁起物の小さな人形があったりしませんか?
ぜひコメント欄等で教えていただけると幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?