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あぁ二拠点生活…

今ではホットなキーワードになっている感のある「二拠点生活」。
実は10年前から西と東を行ったり来たり、そんな生活をしている。
もとは関西に居を構え、2ヶ月に1度くらい実家のある関東へ帰っていた。

それが、両親の看護・介護の状況が少し深刻になり、心配にもなり。
「西で常時仕事をしながら東へ帰る」より
「東で常時仕事をしながら西へ帰る」生活を選んだのが約5年前。

たまたま応募した東京での仕事が決まったことがきっかけだった。
面接で事情を話したとき「別居生活ですね」と言われ、
違和感を覚えたことを今も鮮明に覚えている。

転勤と別居。
単に家庭の事情によるものか、仕事での命令によるものか。
そんな違いのようだが「別居ですね」と言われると
受け取る側としては何となく反発したくなる。
面接官がお年を召した男性だったこともあってか
その言い方に含みを感じてしまい余計に、だ。

夫サンに呟くと「そりゃそうだ、別居だろ」とにべもない。

関東出身でずっと関東に住んでいた私は、
転勤が多い関西人の夫サンと結婚した。
高校時代から「詰めの甘さ」を指摘されていた私だけど、遠距離交際中も、結婚する時も「まぁ何とかなるんじゃないか」と高をくくっていたように思う。

編集の仕事をしていた時も、毎日のように取材であちこち出かけていた。
北は札幌から南は宮崎まで、四国にも渡っていた。当時はスマホやネットなんていう便利なものはなく、分厚い時刻表と首っ引きでルートを考えたりプランを立てたりしていた。時間はかなりかかったが、それはそれで楽しい作業だった。

そんな自分の経験もあって、移動することはそれほど苦ではなく、むしろ好んでいたように思う。気分転換にもなっていたからだ。

しかし、事が事だとそうではないし、年を取ると体も変わるのだ。
ということを今さらながら思い知らされている。
年を取るのは自分だけではなく、至極当たり前だが周りも年を取る。

この間、自分の両親だけでなく、義母も認知症が進み要介護4となり施設を利用し始めて5年が経った。夫サンは出張が多いため、義母は平日にショートを利用し週末のみ家に戻ってくる。夫サンには弟がいるが、子供が2人いて介護どころではない状態のようである。こちらも然り。
長男長女それぞれが悪戦苦闘をしている状態だ。

私の場合、東の家から西の家まで約5時間かかる。新幹線や飛行機を使ってピューッと簡単に行けるような気がするけれど、それでも5時間は優にかかっている。

思い立ったらすぐ行ける訳でもなく、日程調整から始める必要がある。
仕事の状況、実母や義母の状況、夫サンや自分の都合、そして天気や一般的な暦も考える。飛行機は日にちや時間帯によって料金がいろいろ変わるし、新幹線は時と場合によってはあっという間に満席となる。
コロナの時期はスカスカだったが、今はすっかり戻ってきた感じ。
台風や寒波のシーズンは「飛ぶか、動くか」ヒヤヒヤする。
足止めを食らったことは数知れず。

そんなこんなをアレコレ勘案しながら、大体1か月前、遅くとも2週間前から日にちを仮決めする。以前は旅のプランを立てるようで楽しくも感じられたが、最近は段々億劫に感じてきている。しかも、これが毎月の作業になってくると常に「次回は…」との思いがあり、頭の中はカレンダーをめくったり戻したりで忙しい。

便利なアプリができているし、サクサク進めれば良いのだが、判断力や決断力が衰えたのか、あるいは心配性になったのか「本当にこの日、この時間で大丈夫か?」と思ってしまい決められない。
挙句に、もちょもちょしている自分に嫌気がさしてくる始末。

じゃあ、二拠点生活をやめればいいじゃないか…。
と思う自分もいるが、続けたいと思う自分もいる。
根無し草のようにフラフラできることで、現実から少しの時間でも離れられるメリットもある。移動している時間は、やっぱりちょっとした旅気分に浸れるし、私の周りで起きている色んなことから開放される時間でもある。

自分と向き合う時間でもある訳で、貴重な時間でもある。
交通費は痛手だが、働く励みにはなる。

こう考えると、私は生活のみならず考え方も二拠点(多拠点?)らしい。
つまり、自分に合っているライフスタイルなのだろう。

コロナがNoからWithに変わったことで、最低でも月に一度の往復生活がまた始まった。noteに向かえる時間がドンドン減っていき、時々モチベーションも落ちてしまう。

でも、まぁ心の拠点はたくさんあって良いかと思いながら、月に1度くらいの更新を何とか維持しようとPCに向かっている。月末の締め切りに追われている感じ。編集者時代に戻ったようで懐かしくもある。


今回も読んでくださり有難うございます。今は辛うじて二拠点ですが、この先、ご縁があったらあちこちに拠点を作りながら残りの人生を楽しむのもいいかな、なんて思うようになりました。noteと一緒にボチボチと。

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