天麩羅の祝祭、食事は其れ即ち

本日は天麩羅祭りだった。

天麩羅を大量に揚げた。海老、蛸、半熟卵、茗荷、紫蘇チーズの五種類。天麩羅粉が無かったので、代用として薄力粉、水、マヨネーズを和えて使った。蛸は下味して一番初めに油の中へ投入した。思いがけず、油から攻撃を受けた。ばちばち弾ける油。うおー、うあー、と喃語を口にしながら懸命に天麩羅と戦った。蛸は下味を付けた所為か、衣が茶色っぽくなってしまった。海老は殻と頭を取り、油に入れたらすぐ引き上げた。さっさか揚げないと尻尾を曲げてしまうのだ。海老天の機嫌を取るのはむつかしい。半熟卵は熱湯から茹でて作り、衣で揚げた。
初めての作業が多く、忙しなかったがなんとか形にはなった。天麩羅。薄力粉と、水とマヨネーズで出来た天の羽衣。(そんな大それたものでは無いけれど)一応、ご馳走です。
父は黙っていると家族の分までもりもり食べてしまう習性があるので、最近「他の人の分まで残しておいてあげてね」と苦言したら控えめに食べていた。蛸が好きなのに、蛸が好きな私に気を遣って残していた。ごめん。なんだか複雑である。さくさく。母は茗荷が好きだ、おいしいと目を丸くしてさくさく食べてくれた。さくさく。さくさく。本日は豪勢なご馳走デーでした。

私は幸せ者だと思う。料理をすると食べきれない量をいつも作ってしまうが実家にいると誰かがおいしいと言ってくれる。おいしく食べてくれる。

朝起きればラム(愛犬)が母のベッドからずり落ちて私のベッドの側に半分体を横たえくっついてすやすやと眠っている。
大学生の頃は「朝起きたら瀬戸康史似の彼氏の顔があって〜(自粛)」などと言っていたがそういうなはもういいやとなってしまった。

それだけで、幸せなのだ。平凡で、ささやかなのだけれど、とても幸せなのだ。

日々笑っていたい。日々食事を誰かの為に作りたいし、愛犬と、母と二人と二匹で散歩にも出たい。

2022/05/09

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