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詩画集2017年~

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「作品は日記のようなもの」自分の過去と向き合いながら言葉にできない思いを「詩」という欠片を頼りに絵にして制作しています。 2023年「孤独の樹海」を文章を追加して再編集しました(… もっと読む
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〈詩画集〉鴉の夢路

プロローグ 悪夢のような道をいく 天から業(カルマ)の流れに落とされて その眼差しは後悔のない安堵の色 守ったものは唯一つの〈愛〉 命と居場所と未来 すべてを捨て 神に抗い「愛」ひとつ その〈愛〉は「嫉妬」か「傲慢」か、或いは「怠惰」か「憤怒」 「強欲」に至る「色欲」か、果て無き魂の「暴食」 潔癖な神はその魂に〈罪〉の名をかせ突き放す 愛深きゆえに、罪に浸り 罪深きゆえに、愛を知る 混沌たる地獄に咲くその魂に 「人間」というその人生に 主たる神の姿を「人間」は模したと

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カンパネルラ~鐘~「四季巡麗」によせて

はじめに 「あれっ・・出てこない」 描く前のラフを描こうと白い紙の前に座って一時間。 何も出てこない。 どうしても出てこない。 今年のはじめ、描きたいイメージのストックが消えてしまったのです。 「自分の絵は日記のようなもの」 それは過去の記憶や思い出や辛かったこと悲しかったことを描く事で気持ちを収めてきました。 コロナ渦と同時に親の介護、他人に託し、突然の別れ・・・ めまぐるしい不安の濁流に襲われても、制作を続けることで乗り越えてこれたのに・・・突然何も描けなくなって

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孤独の樹海

再編集によせて 「孤独」とても気分が落ち込む言葉です。 しかし、とても身近な言葉の様にも思えますね。 一人の時が「孤独」と言えばそうですし、チャットをしていれば「孤独」じゃないとも言えますが・・ 大勢の中にいても「孤独」を感じる事はあるのかなとも思います。 私は少し自分以外の人と距離をとる事が多く、独りでいる事が多いです。 あまり馴染めない、物心ついてからその思いが強かったです。 昨年この「孤独の樹海」を執筆している時は、自分の孤独と向き合っていた最中でした。 なぜ「孤独」

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「幻想の扉」~鴉の夢路~

プロローグ 不眠症の鴉が夢路 飛び立つは、常闇の午前三時 夢か現か意識朦朧、新月の夜空は無限の奈落 帰る明日はなく、向かう昨日はもう見えない 迷い戸惑い 飛びかう思考 生死が行きかう回廊の果て 慟哭の墓場 懺悔の座標 邂逅する亡者の後悔 忘却の川 その際に 渡れよ 此岸 留まれ 彼岸 先の見えない夢の奥 幻を追いかけ 想いに果てる 夢見るように逝きたいか 血を吐きながら今を生きるか 幻想の扉が鍵は、己が魂の中にあり 虚空の彼方 鴉が鳴く プシュケの伝言 花散る終わり

詩画集Ⅲ 最果てファントム

永久のすれ違い 幾数年の時の中で思うはただ一つの後悔。 相手の心を思いやる・・その些細な事が出来ずに・・ 壊れ逝くその心を知らず。 この命が終わるその刹那まで、知らぬ君に出会うまで。 流れる血を見ながら、意識を無くす寸前に鼓膜へ届いたその言葉は 私を永劫の旅路へといざなう事になる。 自身の亡骸は既になく 埃さえ砂塵の果てに、ただ漂うは永劫の孤独。 「悪霊」という、後悔と懺悔にまみれた罪人のなれの果て 樹 残り香 その香りに君を見る 薔薇の香気にも似たその死臭 腐りかけた

詩画集Ⅱ 天蓋の鴉

忘却の川を渡り 天空の淵 そこは無音のエルシオン 言葉なく意思もなく 神が望む静寂の統治は 自我に苦しみ 意志にもがき 身体を捨てた 魂たちの住処 白銀の鴉 天の傀儡 untitled 幸福である鳥 幸福である 痛みもなく 悲しくもなく 何も考えず 何も悩まず ただ 息をして 虚空を仰ぎ ここに居る 自我のない平穏な日々 幸せの意味さえも薄れるほどに 擦れ消える 意識さえも うずき うずく疑い  気付きは罪深い  喪失 サヨナラ自我 捨てたはずの自分 消え去る今に

詩画集 【深い森】

深い 深い 森の淵 暗闇から目を覚ませば 混沌という深い森 自分が誰かも定かでなく、大地を踏む足さえも頼りなく 只 両の手に収まる髑髏だけが 確かな存在であるように 苔むしたその双眸で 私を見つめ語るのだ ヒトデナシ 人であったヒトデナシ 思い人はソコニナシ 此処にいるのは 人をやめた 自分迷子の ヒトデナシ 逢魔が刻 白髪の幼女 ケラケラと笑う 窪んだ双眸 歪な微笑 魂喰いつくす蟲の群れ 戯れ 新月 弔いの道行を 木霊 上げた腕は 何処へ 掴んだ希望は何処へ 見