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また言葉を使うまで

「人の名前が言えなくなった事がある」

専門学校当時、友人付き合いで辛い事がありその学校の名前と友人たちの名前が声に出そうとすると出なくなった。中退する事になったし今現在その学校はもうないので名前を言う機会ももうない。

「話し方を忘れかけた事がある」

凄い暇な店で8時間全くお客が来なくて小説ばかり読んでいて家に帰っても・・余り家族と話さなかった時期の事。

「たった一言の言葉で数十年悩んでいたことがある」

身内に言われた一言で多感な学生時代から今年の初めまで和解できなかった事がある。

思い返せば「言葉」というものに振り回される事が多かった。

こんな事を思い返すきっかけとなったのが、J-WAVE TOMOLAB(土曜20:00)を聴いてからである。日々の困りごとを考えてゲストと話をする形態の番組のようだがとても興味深かった。

ちょうどここ最近も「言葉」について挫折したばかりだったので昔の事を思い出す要因になったかもしれない。パーソナリティーの藤原しおりさんもだいぶ悩んだ経験もありゲストとしてでていた東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦さんの話も興味深かった。私も良く詩を書いたり、詩では表しきれなかった事を絵にかいたり、良い言葉が見当たらない感情を絵にしたりしているので自分と垂らし合わせて聴いていた。「詩筋」という言葉がとても面白く「かわせなかった言葉」「日々の些細な感動」などを書き留め些細な事をハッピーなエネルギーに変えようとする筋力らしい。


私は経験や勉強はしたが上辺だけで「詩筋」が足りなかったように思う。

仕事で接客業を数十年、介護職を補助も合わせて4年ほど経験している。我ながら幼少期から人を観察する事が得意なようでその人が何をしたいか何が欲しいかの的中率が高い。昨今「繊細さん」とよばれるHSPという生まれながらのモノがある事を最近知った・・その事については長くなるので割愛するが・・そんな事もあり物事を察するのが得意な方らしい。

便利なように思えるが、そのせいか冒頭で書いたように言葉で傷つく事が多くあまり良い事では無いと思うようになっていた。その人の言葉からその人の裏と作為的な言葉などを感じるので接客した後は疲労困憊したものだ。

介護職の時はこの感覚がとても役に立つことが多かった。認知症対応型グループホームで介護職に従事していたのだが不安定になってしまったご利用者様を落ち着かせるのが役割となるほど得意だった。その当時に「ユニマチュード」という信頼を得る技術というフランスで開発されたものであるがその本を読み独学で行ったことも功をそうしたとも思う。


感性で感じるのは容易であるが、それを言葉に出して相対する人に伝える事は「技術」として学ばなければいけなかった。接客業でも介護職でも「言葉を伝える」為に勉強をして実戦でも試してきた。

ただ欠点を上げるとするならば、「受け取る感性がとても脆かった」と言わざるおえない現状が今現在である。きっと物事をハッピーにとらえ表現する「詩筋」が足りなかったかもしれない。

「人を呪わば穴二つ掘れ」ともいう

言葉は「祝い」にも「呪い」にもなる。自分で言葉を発したならばその答えが相手から返ってくるものである。それは良いものばかりではなく悪いものもあるのは当然である。時に相手の憤りを無下にぶつけられる事もあるし不安の感情をダイレクトに乗せられる事もあって当然であるし、時に何も返ってこない「何も伝わっていなかった」事もある。


辛かった出来事を言葉に出来れば、もうその事を乗り越えていると経験して知っている。その傷は切り傷の様に直ぐには完治せず数十年や治る事無く人生を終えるかもしれない事を人と話して感じる事がある。


今、絵を描いている。

受けた事、感じた事を「言葉」というフィルターに通さずダイレクトに表現できる手段。その答えは見た方それぞれに任せることができて琴線が触れ合える友人もできた。詩を書く事も絵を描くこと同様、連ね上げたキーワードを相手の記憶と感性にゆだねることが出来る。

SNSなどデジタルの時代、コロナ禍で人との交流が難しい今。言葉を人にどうやって伝えるかが焦点となる。受け取る側もテレビやラジオやアプリニュースの文章などで多様化されている。伝える側と受け取る側の資質と感性が試される。

言葉は

伝える側も受け取る側もただ自分の目的のために扱えば「呪い」になり

伝えたい人の事を思い、伝えられる側も相手を思い受け取れば「祝い」になる。

今はきっと絵を描きながら、落ちてしまった「詩筋」を治して鍛えてる途中の様に思う。

コロナという厄災は人との交流を途絶えさせ生活を変えた半面、今までの自身を見直す機会も与えられたように思う。この我慢する日々と、納得のいかない情勢と、未来の不安を抱える日々。

鋼のような精神を鍛えるのではなく、自分に無理せず自分に合わせた「詩筋」ハッピーな筋力を鍛えられればと思う。

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