みち

ーさあ、世紀の瞬間です。民間宇宙旅行の歴史が、ここから始まります。最初の第一号の搭乗者は、かの有名な実業家であらせられるN氏です。N氏は民間宇宙旅行のチケット発売が発表され真っ先に落札されました。-

ーN氏は、人類の先陣をテクノロジーの長である私が切ると豪語されていました。一体、宇宙で何を感じ、何をその口から語ってくださるのでしょうかー

ああ、長かった。とても長かった。ここまでの道のりはなんと長かったことだろう。私はありとあらゆることをやりつくしてきた。人の誰よりも、沢山本を読み、長く勉強をしてきた。働きだしてもそれをやめたことはなかったし、人の何倍も働いた。金も名誉も地位もすべてがここにある。

しかしだ、この「人類の歴史の先頭」は、手に入れようと思っても誰が手に入れれるだろう。

ああ、早く!!私に新世界をみせてくれ!!あらゆるものを手に入れているからこその過去に拠り所を持ち続ける人生はこりごりだ!高揚を!未知を!!

ーいま!!N氏が宇宙に旅立ちました!!!-

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ー大変なことになりました。N氏を乗せた宇宙船で何らかのトラブルがあった模様です。入っている情報によると、宇宙船のハッチが開いてしまい。N氏は船外に飛び出されてしまったようです。N氏は、自由に見たいと言い命綱をつけておらず。。。-

なんてことだろう、万事休すとはこのことだろう。まさか、私の人生がこんなことで終わることになるとは

ピーッピーッ 酸素残量ガ10%ヲキリマシタ

やかましい、こんなちんけな音が私の終了を告げる音とは。味気ない。こんな分厚い布に包まれ、自由を失ったまま死んでいくのか?この私が?酸素がなくなっていき苦しみ苦悶をたたえて死ぬのか?

冗談ではない。

それならば、だれも人類が感じたことのないことをして死んでやろうではないか。このボタンを押し、宇宙服を脱ぎ棄て宇宙を感じ死んでやる。いったい生身で感じこの目で見る宇宙は人間の本来の目で感じる宇宙はいったいどんなものなのだろう。はは、まさか死ぬ瞬間にわくわくできるとは。

ポチッ  おおついに

シュウ  ぐあっ 苦しい なんだ凍えるなのに熱い 音が な い めも ひから 見えな い しにん が あ あ

  N氏の思惑は外れ彼は一瞬で真空チルドされ、我々の世界にある

  チルド食品のようにされてしまった。

  しかし、酸素も酵素もない宇宙でN氏は、朽ちることもなく岩石

  の様な状態で宇宙空間を意識なく漂うことになった。そうおおよそ

  人類が「経験したことない」時間を

ーサテ諸君、ココ二アルコレハツイ先程ワレラノ'&&'&$#""#$###$$=二アタッタ何カダ。先程、解析ガ終ッテネ。コイツハナント知的生命体ノヨウナノダ。マアマア驚クノモムリハナイ。知的生命体ニ驚クノハワカル。是非動ク姿ヲ見タイダロウ。ソコデ’(%%$#”(’ニツレテイキワレラノ%’%%(デ蘇生シ行動ヲ探ロウデハナイカ。-

ーナニ、アソコニハ様々ナ生物ガセイゾンデキテイル大丈夫デアロウー

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 どうなった

まて、なぜ「思考」がある。死んだのにである。

あたたかい?焼けるような暑さもない。何なのだ、目を開けられる

「風だ。そして暖かい、光だ。」

生き返ったのだろうか。それともここが死後の世界なのか。

まあいい、われ思うゆえにわれあり思考できる私がここにいる。それだけでいい。まだ、わたしはわくわくできる。

ふと横を向くと、「人」がいる。

「’)’)’%$$##$%%%%%%!!!!」

さて、語学の堪能な私にも検討がつかない。しかしこういう時は決まっているのだ。笑顔で

「もう一度言って頂けますか?」

その「人」には、目が3つあった様に見えたが、きっとまだ目が回復していないだけだろう。


#小説 #SF #ショートショート #大学生



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