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人工子宮は少子化に対抗できない

◇はじめに

「少子化は近代化とともにやってくる病であり、対抗するには宗教的な規範、男女分業的な規範が必要となる。男女(賃金)平等+育児支援の組み合わせでは人口置換水準に達しない」というのが現状における私の基本的な主張である。詳しくは上のリンクを参照いただきたい。

ただし、未だ普及していない近未来的なテクノロジー、たとえば人工子宮が少子化問題を解決することはあり得るのではとも漠然と考えていた。

しかし「それだけでは解決しない」とする反論を某方から受け取り、それはかなりの説得力を感じさせるものであった。

彼の言い分を下敷きに、私自身の意見を交えつつ、以下にて解説しようと思う。

◇人工子宮が少子化問題を解決しない理由

理由は大きく分けて二つである。

1.養育コスト

子供を一人前に育てるのに数千万かかる、というよりなるたけ教育費をかけたがる時代で、人工子宮が低コストで多くの子供を産んでくれるとしても、ほとんどの親は育てられないし、少数の子供しか育てたがらない。それこそが自分の子供を幸福に近づける最適解だからである。

2.人権問題

それでも無理やり人工子宮を大稼働させると、人の親の元では育てない子供が大量に溢れることになる。

必然的に金と手間暇を存分に掛けられたa.自然分娩で産まれた子供と、b.人工子宮から産まれた子供との格差が問題になる。

a.は高学歴高所得層、b.は低学歴低所得層に収斂しやすくなり、事実上「生まれつきの奴隷」を人工子宮は大量生産することとなる。

しかし、これは既に現代でも起こっている問題である。途上国民が先進国に出稼ぎに来て、低賃金労働に勤しむ構造と相似形なのだ。彼らの多くは生まれつきの低賃金労働者、先進国の下請け業者といえる。

また、誰でも自由に子供を持てるようにすると、性虐待などが横行しうる。平たくいうと、幼児性愛者が幼児を扶養しつつ犯しまくることが可能になるのだ。

これを軽減するにはやはり血のつながり、つまり「自分の子供にひどいことはできない」という心理的ブレーキが必要になってくる。

すると、人工子宮の使用に制限がかかり、自然分娩による出産がメインの現状と大差なくなってしまい、繁殖力は回復しない。

1-2を回避しつつ人工子宮を使用するには自然分娩を全面禁止して、出産から養育までを国や自治体が管理するシステムが必要となる。言うまでもなく、たいへん実現性の低い話である。

◇補足

以上の理由により人工子宮だけでは少子化に対抗できないし、サイボーグフェミニズム(テクノロジーによる男女平等・性役割を機械に代替させようとする考え方)なども長期的には成立しえないことになる。繁殖を機械が請け負ってくれないからだ。

また、「そもそも繁殖力という点では生身の子宮のみで既に足りている。避妊や堕胎の禁止、移民の輸入などにより、人口置換水準を超えることは可能」という指摘も受けた。

「移民ベイビーは人工子宮ベイビーに似た機能を有しており、代替可能である」ということなのだろう。

そして、繁殖力の高い奴隷層は将来的に数が増えれば低階層に甘んじる理由はなく、やがて政治力や武力を有することとなり反乱リスクが高まる。「ヨーロッパのイスラム化」がまさにその様相を呈しているといえよう。

◇結論

彼の話を聴いて私も「人工子宮は少子化に対抗できない」という考えに変化してしまった。となると、やはり人力のみで繁殖しうる保守的な規範だけが少子化への対抗手段になってしまうのではなかろうか。

最後にツイッターでも再三紹介している核心的な未来予測グラフを貼り付けて、本稿の締めくくりとしたい。

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(了)





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