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病気治療しながら働かれる方を支えていくには

「仕事と○○の両立」の「〇〇」に入るものとして、パッと思い浮かぶのは何でしょうか?
 
まずは「家事」でしょうか? 「仕事と子育ての両立」も同様です。
 
「仕事と介護の両立」で悩んでいる方もいるでしょう。
さらに、「仕事と病気治療の両立」というのもあります。
 
このうち、子育てや介護に関しては、法律で育児休業、介護休業の定めがあります。
しかし、病気治療に関しては、特に法の定めはありません。病気休職というのは会社が独自に定める制度で、どの会社にも存在するわけではありません。
また、休職制度があるにしても、「どれぐらいの期間、休職できるのか」「休職中の給与はあり? なし?」といったことも会社が決めることで、法の縛りはありません。
病気治療と一口に言っても、病気や程度により治療期間も異なります。一概に定めを設けるのは難しいのかもしれません。
 
ただ、法の定めはないものの、厚生労働省による「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」が策定されています。
(↓令和5年3月版です)https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088186.pdf

一生涯のうち、日本人の2人に1人の確率で、がんにかかると言われています。また、今後、高齢の就業者が増えていく中、病気を抱えながら働く人たちの割合も高まっていくことでしょう。
ただでさえ、人手不足が叫ばれる昨今、治療と仕事をいかに両立させていくかというのは、大きな課題の1つとなってきます。
会社にだけ、負担を押し付けるのは難しいです。中小企業にとって、体力的に酷な面もあります。社会全体で考えていく問題でもあると思います。
 
治療と仕事の両立を社会で進めていくために、両立支援コーディネーターと呼ばれる資格制度があります。
従業員(患者)が会社を辞めることなく治療を続けられるように、あるいは、休職や退職した後に復職できるようにするには、医療機関と会社、相互の情報共有が必要となってきます。医療機関は本人の仕事内容までは分からないですし、逆に会社は本人の病気や治療のことは専門外だからです。
産業医がいれば双方の役割を担いますが、1カ所で50名以上の従業員がいる事業場でなければ選任義務がありません。
そこで、従業員(患者)からの希望を受けて、ご本人にアドバイス、サポートしていく役割を担うのが、両立支援コーディネーターです。
 
私自身も関心があったため、今年2月に資格を取りました。その後、初めてとなる研修が、先月、実施されました。
病気を抱えている就業者の方の事例を通して、本人にとっての課題は何で、どのような解決案が考えられるか、グループワークで意見を出し合うというものでした。
 
私自身は職業柄、高額療養費、傷病手当、さらに障害年金など、制度的支援に考えが偏りがちでした。
他の資格をお持ちの方、別の立場の方からは、医療連携やメンタルサポートの意見も出てきて、両立支援の幅の広さや奥深さを認識させられました。
 
病気になると、さまざまな不安にとらわれます。
身体的なつらさ、精神的な葛藤、経済的な心配などです。こんな一言では片づけられないほどの悩みを抱えます。
不安がたくさんあるからこそ、支えていく側も1人ではなく、多くの力が必要なのだということを実感しました。
 
今後も、両立支援についてお伝えできる機会があればと思います👩‍💼



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