見出し画像

【詩の森】535 洪水よ、我が亡き後に来たれ

洪水よ、我が亡き後に来たれ
 
本を読むと
新しい言葉を知ることができる
労働価値説のなかの
「価値」と「使用価値」の違い
「物象化」や「外部化」ということ
何れも斎藤幸平さんの
『ゼロからの資本論』から教わった
分けても「外部化」を知ったことで
資本主義の輪郭が
俄かにはっきりしたのだった
 
マルクスのいう「外部化」とは
企業が将来に対して負うべき責任を
放棄した状態をいう
具体的には
資源の収奪による環境破壊や
低賃金による人的犠牲のことだ
それに気づかずに
低価格を受け入れる僕らもまた
帝国的生活様式に加担していると
斎藤さんは指摘する
 
百均ショップに
プラスチックの商品が多いのはなぜだろう
プラスチック製品が安いのは
ゴミの処分のことまで
企業は考えなくていいからではないのか
しかし
マイクロプラスチックによる海洋汚染は
今や大問題である
企業や消費者のツケを政府やNGOが
支払っているともいえるだろう
 
輸送費をかけても
ファストファッションが安く売れるのも
超低賃金の国で作られているからだろう
「洪水よ、我が亡き後に来たれ」
というのでは
企業も僕らも
余りに無責任すぎやしないか
それが今
グローバルの嵐となって
世界中で吹き荒れているのだ―――
 
2023.8.28

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?