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【詩の森】みんなの幸せ

みんなの幸せ
 
宮沢賢治さんは
農民原論という本のなかで
『世界がぜんたい
幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない』
といいました
『雨ニモマケズ』は
きっとそんな思いから
生まれたのでしょう

無実の罪で捉えられ
獄中から人々の連帯を呼びかけた
星野文昭さんは
『すべての人間が
人間らしく生きられる社会』を
終生訴えつづけました
残された
200点程の水彩画は
彼の清らかな魂
そのものです

星野さんのいう
人間らしく生きるとは
人間らしく幸福に生きる
という意味でしょう
元ウルグアイ大統領の
ホセ・ムヒカさんも
『わたしたちは
発展するためではなく
幸せになるために
地球にやってきたのだ』
と話しています
 
三人の言葉は
とてもよく響き合っています
『みんなの幸せ』が
わたしたちの
ほんとうの目的なら
いまのわたしたちは
目的を見失っているか
取り違えているか
どちらかでは
ないでしょうか
 
みんなを幸せにするのに
戦争はいりません
競争もいりません
わたしたちに必要なのは
奪い合うのではなく
分かち合うためのシステムです
地球の恵みである
大気も水も土も天然資源も
いや
そもそも地球じたいが
本来だれのものでも
ないはずです
ところが
現実はそうではありません
そして
自由競争という名のもとに
他人の生業つぶしが
平然と行われているのです
資本主義 新自由主義
すべての主義というものは
だれかの都合で
造られたものにすぎない
のではないでしょうか
 
世界がすべての人間が
幸福に人間らしく
生きられる社会を築くために
わたしたちは
地球にやってきたのです
それは格差をつくること
ではありません
だれかを犠牲にしながら
発展することでもありません
そのために
人殺しの道具を作ることでも
もちろんないのです
 
弱肉強食という言葉を
世の中に広めたのは
いったいどんな主義者たち
なのでしょう
わたしたちはにんげんです
ケダモノではないのです
峠三吉が原爆詩集の序で
『にんげんをかえせ』と叫んだ
あのにんげんです
だれもが幸せになるために
生まれてきたのです
賢治さんも
文昭さんも
ムヒカさんも
こころのなかで
そう叫んでいるのでは
ないでしょうか
 

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