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人の営みに合わせて器も伝統も変わっていく。挑戦を日常に、慌てずにゆっくりと。

#01 Interview with katsumi ando   - bijingama -  
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創業慶応元年(1865)、150年の伝統を受け継ぐ美濃焼の窯元「美人窯」。その5代目当主安藤勝美は、陶歴36年をほこり真摯に土と器、そして人に向き合い続けてきた。そんな彼は、伝統だけに囚われてはいけないと語る。時代が変わり、人々の生き方が変わっていく中で、これからの器の在り方も変わっていく。それでも「やっぱりいい物だよね」と言ってもらえるような器を届けたい。そう語る担い手の日常に迫る。


「鋳込み」「動力」器を作る二つの型技(技法)について

——今回植物の鉢を作る工程を見させていただきましたが、どのような技法が使われているのでしょうか?

安藤:基本的には型を用いた「鋳込み」「動力」二つの技法を用いて造形を行っています。鋳込みの方は液体の泥を流し込んでいた方ですね。見ていただくと大体の人に驚かれます。え、流しちゃうのって 笑。 泥を白い型に入れて時間を置いたら流しちゃうんですよね、型が吸水性を持っているから泥との接着面が先に乾燥し形になるんです。動力は土を放り込んで、機械で押し込んでいた方です。圧力でプレスするイメージでしょうか、簡単そうに見えますが意外と難しいです。たまに、プロでいる条件って何かと聞かれますが、僕は難しいことを簡単そうに確実にできることがプロの条件だと思っています。36年も続けていれば大概のことはこなせるようになりますね 笑。

器に色をのせる「釉薬」について

——釉薬ってそもそもなんですかね?

安藤:器に色をつける液体のことですね。金属とかが酸化して色が変わるように、器に塗られた釉薬も焼く時に熱を加えることで化学変化を起こし色が変わります。透明感があったりするのはガラスの素材を釉薬に混ぜ込んでいたりするからです。そういった化学変化を操り理想とする色味やテクスチャーを目指しています。

——難しそうですね、科学者みたい。大体の色は予測して作ることができるのですか??

安藤:そうですね。何となく方向性のイメージは 笑。
ただ、実際にちゃんと色を作ろうと思うと相当な回数の失敗を繰り返して色を作っていきます。使う土、のせる釉薬の塗り方、窯の中の位置、焼き上げる時間の推移これらが少し違うだけで、焼き上がりが全然違ってくる。ノートに毎日記録して一個一個可能性を潰していきます。こんなことをしているから科学者見たいと言われるのかもしれません 笑。正直大変です。ただ、自分としても36年続けてきたプライドにかけて、ご相談を受けた色については全力で挑戦していきたいですね。意地があるのかもしれません 笑。


器を作る上で考えていること

——大切なことはやはり、挑戦し続けることですか??

安藤:そうですね。でも実は人間って一つできるとそこに満足できなくなって更にいい物を求めてしまう生き物だと思うんですよね。自分もそうだと思う。だから、心掛けてはいないのかもしれません 笑。むしろいい物を作ろうと張り切りすぎてしまうと器の場合ほとんどうまくはいかない。なので、僕が大切にしていることは、慌てず、焦らず、でも頭の中は真摯に考え続ける。ある意味マイペースに生きることが大切なのかもしれません。


これから

——最後にこれからの美人窯の抱負を教えてください

安藤:夢はまず有名になりたい!! 笑 元々僕は、陶器がやりたくてこの世界に入ったわけではないんです。家柄がこういった窯元で長男であったから仕方なく、、笑。ただ、36年離れた時期もあったけど何とか続けてこれた、だからこそ最後にもう一踏ん張り頑張りたい。今になって思うのですが5代目って本当に凄いことだと今更ながら感じています。だからこそ、自分の父が祖父が受け継いできたこの窯を想いをもっともっと多くの人に知ってもらいたいんです。そして、私が私達が作る本物の日本製をもっと多くの人、世界の人にも知ってもらいたいですね。僕らの力でstay home を日常をもっと豊かなものにできたら嬉しいです。「コロナに負けるな!!」ですね 笑。

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*担い手
美人窯  :  https://bijintouki.com/
5代目当主安藤勝美さん

撮影協力:安藤花代さん 安藤瑞基さん

*続々 -つづく-
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監督・編集:
山田七叶 instagram [ nanato_0505 ]

デザイナー・ライター:
安藤瑞基 instagram [ ancian____ ]

Youtube
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