読書感想文#18 平成くん、さようなら

今回は、最近ハマっていた古市憲寿さんの小説を読みました。

内容

小説のため、内容を全て書いてしまうとネタバレになってしまいます。

そこで、あらすじのみを紹介します。

平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、現代的な生活を送る「平成くん」は合理的でクール、性的な接触を好まない。だがある日突然、平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。なぜ平成くんは死にたいと思ったのか。そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは―。『絶望の国の幸福な若者たち』『保育園義務教育化』などで若者の視点から現代日本について考えてきた著者が、軽やかに、鋭く「平成」を抉る!

感想

「平成という時代」「若者」に注目してきた筆者だからこその視点が随所に盛り込まれ、等身大で没入できる作品になっていると感じました。

安楽死が認められている世界。

「安楽死」という、自ら命を断つ権利が認められている世界。

そんな世界は、まさに今求められているような気がします。

「死にたい」

と思ってしまうことがある。


誰にでもある、とは言いませんが、僕にもそんなことを考えてしまっている時がありました。


でも、今の世の中では「死ぬことはダメなこと」として扱われています。

死ぬこともできない。

でも、辛い現実から逃れるための選択肢もない。


そういった状況であるからこそ、人が自ら命を絶ってしまう。

誰にも相談することなく、忽然と姿を消してしまう。

そういった自体が発生してしまっているのだと思いました。


逆に、期限を決めてしまえば。

自分はいついなくなるのか。

自分の期限を決めることを、自分で設定することができれば、もっともっと生き生きと生きることができる人は増えるのではないでしょうか?

期限があれば、人は自然と今の自分を見つめ直します。


若い人の自殺が多い理由は「人生の期限」を実感することができないからではないでしょうか?

今の閉塞的な日常が半永久的に続くとさえ感じてしまう。

だから、命を断つ。

という思考回路になってしまう、ことも存在していると思います。


逆に、期限を設定した人の方が、最終的な生み出すものの量が増えるような気もしています。


また、今の日本は「死とは遠いもの」という意識が自然ともたれてしまっているように感じます。

簡単に「死」にまつわる言葉を日常生活の中で使用するケースを見かけます。

ちょっとした辛いことがあっただけで「死」を連想させる言葉を使います。


こちらの方が、「死」への冒涜行為ではないでしょうか。

しっかりと、覚悟を決めた人が使う分には問題ないと思います。


でも、そのように、軽率な人がいるから、というか、軽率に扱っても問題がないという空気感を生み出してしまっているから。

日本の死は絶望的なのではないでしょうか。


(安楽死を推奨したいとか、死にポジティブとかではありません)

(あくまで、作品が扱っていたテーマに対する持論を書いてみた、という感じです。)

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