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スエーデンでは車道よりも歩道から雪かきする話


雪かきのような一件性差別に関係ないようなことでも、実際には大きな影響があるという話です。Gender Equal Snow Clearing in Karlskogaという記事から。『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』という本でも取り上げられていたので知っている方も多いかもしれません。

車優先=男性優先

It all started with a gender equality programme for heads of department at the city of Karlskoga’s community development office.

話はスエーデンのカールスコーガの地域開発部署から始まります。heads of departmentというのは部署の管理職などリーダーシップをとるメンバーのことだと思います。gender equality programmeは、ジェンダーの平等、性別による差別や格差をなくすためのプログラムですね。

The manager in charge of snow clearing on city property realised that major traffic arteries and other roads for cars and larger vehicles were cleared first, often late at night when they were rather empty except for occasional lorries. Pedestrian walkways and bicycle paths were last on the list.

元々は幹線道路(arteries)や自動車、乗り物向けの道が先に雪かきされて歩道や自転車道が後回しにされていました。

The reason for this is that men drive cars more often than women, who in turn walk, bike, use public transport and travel by car as a passenger more often than men.

男性の方が自動車を運転することが多く、女性は徒歩や自転車に乗ることが多いためこれだと女性が後回しにされることになってしまいます。

なぜ女性の方が徒歩、自転車が多いのかという点にも考えるべき点はある気がしますが、ともかく市はこの順番を変えることにしました。

みんなに嬉しいデザイン

この話の良いところは単に男女の優先順位を逆にしたわけではなく、より多くの人にとって良い結果になったことです。

Areas around pre-schools are assigned the highest priority. They are cleared before six o’clock in the morning, since parents go there before they go to work. Major employers are next in order of priority, regardless of whether mostly males or females work there. Pedestrian walkways and bicycle paths to schools are cleared around the time when pupils and students leave their homes.

仕事が始まる前に子供を送る親のために、幼稚園や保育園(preschool)の周りが最優先で朝の6時前に。次に男女問わず多くの従業員を抱える場所(major employers)の周辺、そして学校に向かう歩道や自転車道などが優先されます。人々の生活に合わせて順番を変えただけなので追加のコストはなく、むしろ怪我をする人が減って医療コストの削減が見込めます。

社会には色々な人がいて異なる条件やニーズがあります。性別の問題だけでなく、これまでの仕組みやデザインがこの多様な人々にどのような影響を与えているかを考えることは、結果としてより多くの人にとって住みやすい社会の実現に役立ちます。

下のビデオではこの雪かきの件を始め多くの例が取り上げられているので興味のある方は見てみましょう。




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