コンプレックスの生い立ちと終焉
コンプレックス。多くの人は何かしらあると思っている。言い換えれば、「人より劣っている」と気にすること。
外見に限らず、内面についてコンプレックスを抱いている人もいる。「なぜ自分はみんなより覚えが遅いのだろう」とか。
なんとなく、過去の記憶が呼び覚まされし者になったので私のコンプレックスについて紐解いていこう。が、一つだけ先に言わせてほしい。
本来、人にコンプレックスを打ち明ける必要などない。伝えられた側は何と返答したら良いのか困るし、打ち明けられたその部分に目がいってしまう場合もある。
ここで書く私のことは、これを読んでくださっているあなたにとって、こういう考えがあるんだと少しでも感じてほしいただのエゴみたいなものです。
では、外見に関してのことを2つ。
①歯並びが悪い
私には八重歯がある。上の前歯から三つ目の犬歯が歯茎の側面からこんにちはしている。小学生の頃には既にいた。
日本には八重歯は可愛いとされる文化があるが、それは歯並びに沿って少し尖った歯がチラッと見えるくらいのものだと思っている。私の場合は口を閉じて笑った時ですら見えるし、口の中にぶっ刺さったことがあるくらい立派なものだ。
笑顔を作るのは問題ない。しかし、思いっきりイーッとする時と大笑いする時は歯茎まで丸見えになる。ちなみに両方の犬歯が側面から出ており、どちらかと言えば左の方が出ている。
小学生の頃に行われていた歯科検診で「これはまずいね〜」と歯科医に言われたのが意識し始めるきっかけとなった。でも、歯科検診のたびに毎回言われるんじゃないかという恐怖だけで、日常生活ではなんとも思っていなかった。なんなら友人や高校の先輩に「八重歯かわいい」って言われることもあった。
そこまでは良かった。コンプレックスになってしまったのは何年か前に交際をしていた彼氏と一緒にテレビを観ていて、大笑いをした時だ。
「顔やばいよ、あんまり笑わない方がいいよ」と急に言われた。あまりにも衝撃的で、とんでもないショックを受けた。何も言い返せなかった。事実、歯並びが悪いからだ。
別れ話になった時も「ずっと思ってたけど、あなたの顔面は中の下だよ」とこれまたグッサリ来る言葉を投げかけてきた。流石に「あなただってイケメンなわけじゃない」と言い返したが、「分かってるよ、でもあなたの顔面は中の下」…。結局それに対する言葉が見つからず、何も言えなかった。
それ以来、笑う時に手で口元を隠すようになった。
◆現在の私が考えていること
まず「笑った時の顔がやばい」って。やかましいわ。こいつとは5年も交際していた。その間、ずっと考えていたということか?「ブスと付き合ってんだよな〜」って?
矯正は”できたら”している。費用は100万はかかるだろう。私の場合はそれ以上かもしれない。今の私には分割でも、ポンと出せる金額でもない。
たしかに自分の歯とは一生の付き合いになるから矯正はした方が良い。そんなことは分かっている。分かっているからこそ、そう言うなら金を出してくれよと思う。
その八重歯は今もご健在で、笑う時に手で口元を隠す仕草は癖づいてしまっている。写真を撮る時も学生時代は必ず歯を見せる笑顔だったが、口を閉じて作ることが多くなった。
とは言え、「絶対に歯を見せて笑顔を作らないぞ」という気持ちではいないし、あまり遭遇しない私の八重歯の形はアイデンティティであり、チャームポイントとして捉えるようにしている。
口元を隠すようになってしまっていても、歯磨きがしづらくても、「あなたのチャームポイントは何ですか?」と聞かれれば即座に「八重歯です」と答える。
②声が低い
中学の頃のことである。当時片想いしていた男に誰かが私の好意を言ったのだろう。休み時間に男の同級生がニヤけながらノートの切れ端を渡してきた。(こいつが言ったんじゃないかとなんとなく思っている)
「声の低い女は嫌いだから」と書かれていた。同じクラスになったことがあるため、文字の癖を知っていたから本人の字だと分かった。告白していないのにフラれている。というか嫌われている。
いつもなら廊下ですれ違えば何かとちょっかいをかけてきていたのに、突然目も合わせない状態になり、何かおかしいと思っていた違和感が当たっていた。
私はこの件があってから初めて自分の声が低いことを知った。
◆現在の私が考えていること
まあ、友人との動画で自分の声を聞くとキショいなと自分でも思う。普段この声で人と話しているのかと嫌になる。
先に自分で気付いた方がまだ良かった。人から声が嫌いだと言われたら傷は当たり前につく。そしてノートの切れ端を渡してきたお前。面白がるんじゃあないよ。
仕事でも電話応対をする際、だいたいの人は1トーン上げるくらいで良いと言われているが、私は「2トーンあげようか」と先輩に言われた。ここでもグサッと来たが、まあ電話の時くらいだしと気にしなかった。というか慣れてきた頃にはいつもの声で話していた時も全然ある。
声はもはや声帯をどうにかこうにかするしかない。全身麻酔の手術レベル。声を高くする方法も調べれば出てくるが、その気力を見返すために使いたくない。
ていうか「イケボだね」って言われることだってある。私はキンキンした声が苦手だから高くなくて良い。トーン的に通りづらいのは申し訳ないが。
と、総じて”他人から言われたことが発端でコンプレックスになっている”ということが分かる。思うのは勝手だが、それを本人に言う必要性は全くない。あと、第三者が「あの人がこう言ってたよ」と伝えてくるのも。性格に難あり。太鼓判を押します。
他にもいくつかある。誰から言われたとかではなく、自分が勝手に他人と比べているだけのものもあるから、一概には人のせいとは言えないかもしれないが、大半のコンプレックスの原因は言葉のナイフが急に飛んできたからだと思っている。
結局、言ってくるその人の好みか好みじゃないか。それだけなのである。数年経った今は、パッと簡単に治すことのできないところをなんやかんや言われても「オメーの好みなど知らん」という気持ちになる。
醜形恐怖症、拒食症の人も誰かと比べてしまっているんじゃないかなと思う。でもそれを否定しようとは思わない。整形については完全に肯定派。ダイエットだって続かない人は続かない。全て自分を変えようとした努力である。
心配なのは、納得できるまでやることは良いけど、やりすぎは身体に悪いのではとは思うからそこは自分と向き合ってほしい。
私は根に持つタイプだから言われたあの言葉たちはきっと忘れない。
でも、何十年とこの顔と声で生きてきたんだ。このままで生きさせてもらう。そして、この経験をした私は「ブス」という言葉が嫌いだ。
何か言われて心に傷がついても、その心の中で中指立てていきましょう。実際に立てても良し。
今回はここまで。
読んでくださりありがとうございました!
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