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箱根駅伝 戦力分析・優勝予想

日頃の情報収集をもとに2022年の箱根駅伝の結果を予想してみた。過去の傾向などからみても、優勝・三位入賞の可能性があるのはシード権の10校と予選会一位・二位の明治大学と中央大学だと思うので、これらの12校を詳しくみていきたいと思う。

全日本大学駅伝の結果

本戦の二ヶ月ほど前に行われ、三大学駅伝の中では距離も出雲駅伝と比べ本戦により近いことを踏まえると、全日本大学駅伝の結果が一番の判断材料だと考えられる。実際に昨年度は明治大学を除いて全日本でトップ10に入った大学が箱根本戦でもシード権入りを果たしている。ここでは今年のチーム全体の順位と選手個人の順位、区間賞を取った選手を見ていきたい。また昨年箱根本戦と順位が二つ以上違いがあったのは東海大、明治大、東洋大のみと高い相関性を見せている。

  1. 駒澤大 1-10-12-4-8-2-1-4  佐藤条二 田澤 廉 

  2. 青山学院大         4-14-3-1-1-12-2-3 高橋 勇輝 佐藤 一世

  3. 順天堂大          11-1-5-14-2-4-9-2 三浦 龍司

  4. 國學院大       3-6-11-7-11-7-3-1 伊地知 賢造

  5. 東京国際大    10-5-1-11-13-1-6-12    イェゴン・ヴィンセント 丹所 健

  6. 早稲田大       7-2-4-5-4-17-5-9

  7. 明治大         9-2-10-3-10-4-4-15

  8. 中央大       2-12-9-13-3-11-8-5

  9. (10位)東洋大       12-8-8-1-4-13-13-6 石田 洸介

  10. (12位)東海大         16-7-14-5-6-9-9-14

  11. (13位)帝京大     19-8-6-11-14-2-11-13

  12. 創価大 出場なし

ここでまず面白いのがそれぞれ明治大学が7位、中央大学が8位に入ったところである。昨年度予選会1位の順天堂大学が全日本で8位、箱根本戦で7位だった事を考えると再校の3位入賞は難しいが、シード権入りの可能性は高いと思う。

区間スペシャリスト

トラックや多くのハーフマラソンなどとは違って箱根駅伝にはそれぞれの区間ごとに強い特色があり、風や上り、下りへの適性が物を言う。なので昨年区間上位を取り、今年も良い走りができる計算が立つ選手を今年の16人のエントリーメンバーから見ていく。

  1. 駒澤大学 2区7位田澤 廉 5区4位鈴木 芽吹  7区4位花尾 恭輔  8区4位佃 康平  9区6位山野 力

  2. 創価大学  2区6位フィリップ ムルワ 3区3位葛西 潤      4区2位嶋津 雄大 5区2位三上 雄太 6区7位濱野 将基 

  3. 東洋大学 1区9位児玉 雄介 2区4位松山 和希 3区8位前田 義弘   5区3位宮下 隼人  10区9位清野 大河

  4. 青山学院大学  4区4位佐藤 一世 6区3位高橋 勇輝        7区3位近藤 幸太郎 9区2位飯田 貴之 10区4位中倉 宏伸  

  5. 東海大学 6区5位川上 勇士 7区6位本間 敬大 9区9位長田 俊輔   10区8位竹村 拓真

  6. 早稲田大学 1区5位井川 龍斗 3区6位中谷 雄飛        4区3位鈴木 壮士 6区8位北村 光 8区5位千明 龍之介     10区7位山口 賢助

  7. 順天堂大学 1区10位三浦 龍司 2区10位野村 優作        3区5位伊予田 達也 4区5位石井 一希 8区10位西澤 侑真

  8. 帝京大学 3区4位遠藤 大地 4区9位中村 風馬         5区1位細谷 翔馬  7区10位寺島 恵一 9区3位橋本 尚人

  9. 國學院大学 5区8位殿地 琢朗 6区4位島﨑 慎愛        8区9位伊地知 賢造 10区3位木付 琳

  10. 東京国際大学 2区1位イェゴン・ヴィンセント

  11. 明治大学 4区7位櫛田 芳樹 5区9位鈴木 聖人          9区10位富田 俊平

  12. 中央大学 6区5位若林 陽大 7区5位中澤 雄大 8区7位三浦 拓郎    9区7位手嶋 駿

どの区間で差がつくのか見るために、区間1位と区間10位のタイム差を見てみた。                              1区:31秒 2区:2分16秒(1位と2位の差が1分20秒)    3区:2分20秒 4区:1分52秒 5区:2分4秒 6区:1分30秒 7区:1分10秒 8区:1分33秒                 9区:2分12秒(1位と2位の差が1分6秒)10区:2分5秒
1区は他の区間と比べて順位の重要度がタイムより高い。また昨年度はスローな展開だったのでタイム差が例年よりつきにくかった。5区の1位と10位のタイム差は思っていたほどは大きくないが、青山学院は4分9秒の差、早稲田は5分14秒もの大きな差をつけられ、ここでブレーキがかかると復路優勝の青山学院を持ってしても優勝、3位入賞は難しかった。加えて、案外最後の二区間もタイム差がつき、チームの戦力層の厚さが現れる。

その他の参考レース

箱根駅伝はあくまでもハーフマラソンの距離であり、区間によって登り・下りの適性が求められる。ここではエントリーメンバーの選考にも使われ、選手も本気で臨んでいる11月に行われた大会の結果を見ていく。
5区を走る選手の適性を見る為に近年使われているのが11月13日に開催された激坂最速王決定戦である。箱根駅伝5区とほぼ同じの平均勾配7%、981mを上るレースだ。 昨年度はこの大会を優勝した創価大の三上 雄太が箱根本戦でも区間2位の走りを見せ一躍注目が高まった。ただし順位を見る上で留意したいのは激坂と違い箱根駅伝5区は最後が5Kmほどの下りメインのコースとなっており、下りの走り方のうまさも要求される。
世田谷246ハーフマラソンは終盤に一個大きい坂がある以外は比較的走りやすいレースである。今年は11月14日に行われ、青山学院などの大学から何十人もの箱根駅伝メンバー入りを目指す学生が出走した。この大会には主に全日本大学駅伝を走らず、復路を走る候補の選手が出走する。

2位(学生1位)殿地 琢朗(國學院)52:39               4位大坪 幸太(駒澤)53:14 5位三上 雄太(創価)53:31   6位相澤 龍明(國學院)53:46 7位下條 乃將(明治)53:47   8位神谷 青輝(順天堂)53:5210位金子伊吹(駒澤)54:19   

  1. 駒澤大学 3:唐澤拓海 

  2. 創価大学 4:緒方 貴典 13:石井 大揮 21:本田 晃士郎  39:山森龍暁 40:桑田大輔

  3. 東洋大学 10:村上 太一 12:奥山 輝

  4. 青山学院大学 1:田中 悠登 2:中倉 啓敦 5:宮坂 大器   17:湯原慶吾

  5. 東海大学 9:長田 駿佑 43:神薗 竜馬 44:入田優希

  6. 國學院大学 35:松延大誠

  7. 東京国際大学 6:ルカ ムセンビ 34:富永昌輝

  8. 明治大学 15:佐久間 秀徳 31:新谷絋ノ介            
    ちなみに青山学院からは7位、東海は11位、國學院は18位、早稲田は20位、駒沢は23位、創価は25位、東洋は27位の選手が16人のメンバーから落選した。1・2位を取り、7位・8位の選手でもメンバー入りできなかった青山学院がレベルの高さを見せた。またなぜか出雲、全日本でともに5区で区間5位、6位の走りをそれぞれし、メンバー入りが既に確定していてもおかしくない東海大学の神薗 竜馬が出走していた。どのような意図があったのか気になるところだ。(同学年の入田優希のペースメイク?)

エース・鍵となる選手の調子

(時間の都合上本来描きたかったほど書けなかった)

  1. 駒澤大学 田澤蓮:全日本MVP7区区間賞, 出雲駅伝3区区間2位(ヴィンセントに負けた)、12月に10000m27:23(ヴィンセントに勝った)。間違いなくいま学生界最強の選手。(東京国際のイェゴン・ヴィンセントがハーフマラソンだったらギリギリ勝てる?)         鈴木芽吹:登録メンバー入りしているので走れるのだろうが、今季前半に見せたレベルをどこまで維持できているかは未知数。出雲・全日本はともに欠場したが、走るとなれば日本人学生トップ5にも入る走力を持っている。激坂で大坪 幸太が好走したので、昨年は5区で良い走りを見せたが今年はリスクを回避して3区・4区に回ってくるのではないか。状態次第では復路の可能性も大きい。

  2. 東洋大学 石田 洸介:中学や高校の数々の記録を持ち、昨年のスカウトの目玉は東農大第二高校の先輩西山和也が在籍した東洋大学に入学した。シーズン前半は目立ったタイムを出さなかったが、駅伝シーズンが始まると出雲・全日本ともに区間賞を獲得した。往路優勝を目標とする東洋は彼を3・4区のどちらかに出すのではないか。             宮下 隼人:今シーズンはキャプテンも務め、5区での走りに期待がかかる。2年前は区間賞、昨年は区間2位で5区を走り、全日本でもアンカー区間で6位。往路優勝するには宮下の区間賞を取る走りが必要だ。  

  3. 青山学院大学 近藤 幸太郎:全日本7区区間2位、出雲駅伝1区区間1位。今年大幅にレベルアップし、間違いなく青山学院のエースと呼べる選手に成長した。全日本では学生最強の田澤にあと18秒と迫る力強い走りを見せた。2区で他校のエースと正面対決するのではないか。非常に予想が難しいところだが、佐藤 一世、岸本 大紀、近藤の3人で2・3・4区を走るのではないか。                      飯田 貴之:11月には28:30秒の自己ベストを出し、2年生の時に区間2位の走りを見せた5区で起用される可能性が高いのではないか。8・9区でも区間2位で走ったことがあり、青山学院の優勝を手繰り寄せる一人だ。ちなみに一年生の若林宏樹も楽しみな選手の一人で登りにも強いらしい。

  4. 順天堂大学 四釜 峻佑:全日本8区区間2位、10000mで自己ベストと今季大ブレイク。上りも強いらしく4・5区などで他校の有力選手と競うところを見てみたい。                     三浦 龍司:現学生界唯一のオリンピアン。いつも限界を感じさせない走りを見せてくれる。1区で走るなら一人で飛び出す走りも見てみたい。

  5. 國學院大学 伊地知 賢造:今年は出雲5区2位、全日本8区1位で今季駅伝絶好調。前田監督も2区での起用の可能性を示唆した。区間賞狙いなら4区などもあり得るかもしれない。昨年は2大エースと呼ばれた中西大翔と藤木宏太は昨年の箱根駅伝は振るわなかったが、ここ最近の調子はいいらしい。実力があるので調子が戻っていれば大きな戦力となるだろう。木付 琳:出雲では区間賞、今年の目標は箱根優勝。彼も含め今年は入学時と比べて著しい成長を見せた選手が多く、区間上位を取れる選手が國學院には多く揃っている。ちなみに下りの隠し球がいるらしく、島崎は1区などに回るかもしれない。 

  6. 東京国際大学 丹所 健:昨年まで目立った活躍はなかったが、今年は他校のエースと比べても互角以上の走りを見せている。勝負強さがあり、勝ちにいく強い覚悟が見れる。箱根では3区の起用が濃厚か。      イェゴン・ヴィンセント:田澤以外に勝てる人はいない最強留学生。どこでも試合をひっくり返せる。      

  7. 中央大学 吉井 大和:昨年は期待される走りをできず、シーズン前半も調子が上がらなかったが12月には10000mを28:03で走り状態の良さが伺える。全日本では1区区間2位を取り、監督も箱根では1区を走ることを明言している。

10000mのタイム

毎年選手紹介に使われる指標の一つが10000mの持ちタイムである。ハーフマラソンは箱根登録選手でも公認記録は持っていなかったり、コースや気象条件などにより一概に比べられないため、箱根の距離という面では近くともあまり参考としては使われない。だが10000mのタイムは取り上げられる程には箱根の最終順位とそれほど強い相関関係があるわけではない。もちろんチームの平均タイムが速いチームの方が順位がどちらかと言うと高いが、全日本大学駅伝などの順位と比べればズレは大きい。要因の一つは使われる記録があくまでも自己ベストであり、必ずしも今シーズン出された記録ではないと言うことだ。また距離が長いレースは負荷が大きいこともあって、ひとシーズンに10000mを五本も走れることはないだろう。大学によっては試合に合わせにいくのではなく、あくまでもキツい練習寄り(ペース走)の試合として使うこともあり、持っているエネルギーを全て削り出してタイムを出しに行っているわけでもない。
参考までに今年のチームのタイム平均順位を上げれば、1:駒澤、2:青山学院、3:明治、4:早稲田、5:創価、6:中央7:順天堂、8:東海、9:國學院、10:東京国際、12:帝京、15:東洋 の順である。
明らかに東洋大学はタイムを出しに行っているわけではないのが見て取れる。また青山学院大学や駒澤大学は今年自己ベストを更新している選手が多く、既に一位、2位だが数値以上の強さを持っているように見える。

優勝予想

やはり二大勢力は駒澤・青山学院。両方ともほぼ互角で、山の人材がどこまで当たるかが大きい。また先頭を走るメリットは大きいので往路で一位にできる限り長い間立つのが重要だろう。駒澤大学は途中でブレーキがありながらも盛り返して全日本優勝できるあたりはとても強い。鈴木芽吹や唐澤拓海といった選手がどこまで走れるのか楽しみだ。それに対してに青山学院は昨年久しぶりの無冠、今年は出雲・全日本で2位だったので闘志を燃やしているだろう。駅伝で本領を発揮しきれていない若林、世田谷ハーフ優勝で絶好調の田中などが楽しみだ。國學院大学は出雲・全日本ともに4位で終え、ダークホース的な存在だ。区間配置さえ当たれば区間賞を3つほど取れるぐらいの強い選手がいくらか集まっている。順天堂大学は三浦だけでなく伊予田や野村、四釜と言う計算できる選手が揃っているので安定して上位で戦えそうだ。東京国際は往路優勝できるほどの戦力が揃っているが、他の強豪校と比べると復路では多少不安がある。早稲田大学は未知数なところが大きく、怪我明けの選手の調子が良ければ五番以内も全然狙えるが、今一つ三番以内を取れるような勢いは感じない。東洋大学は全日本はアクシデントありで10位だったので箱根ではそれよりかは高い順位で来るだろう。創価大学はチーム全体としてのレベルは昨年より高いが、今年はより出雲駅伝といった大会にも出ているので、他の大学も今年はより対策を練れているだろう。中央と明治は今年の多くの大会でそうだったように非常に近い順位でレースを終始進めるのではないか。両校ともしっかり調整できればシード権は十分取れる。帝京大学は堅実なレース運びを見せるだろうが、例年と比べても全日本の順位が今一つだ。東海大学は石原翔太郎の離脱により往路をあまり高い順位で戦えないところが大きく、シード権争いになるのではないか。いずれにしても選手の意外な区間配置や期待を上回る走りを楽しみたい。

  1. 青山学院大学

  2. 駒澤大学

  3. 國學院大学

  4. 順天堂大学

  5. 東洋大学

  6. 東京国際大学

  7. 早稲田大学

  8. 創価大学

  9. 明治大学

  10. 中央大学

  11. 帝京大学

  12. 東海大学




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