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個人的良アフレコ演技3選。仕事人ケンコバ、奇跡のシンクロLiLiCo、ランプに封印された羽賀研二

12月19日(月)。ランボーシリーズ完結編(現時点)。「ランボー ラスト・ブラッド」新録吹き替え版が放送決定。主役のランボー、家政婦マリア以外を総入れ替えしたBSテレ東オリジナル版となる。

今作含め、今と昔、アニメと実写問わず、声優以外の役者やタレントが起用されると必ず「声の仕事はプロの声優にやってほしい」という声が上がる。話題性でキャスティングしないでというファン心情もあるのだろうし、プロに交じると発音や声の抑揚が違って浮いてしまう。本人の顔が浮かんで集中できないという点もあるのだろう。実際自分もプロの声優派だ。

しかし中には声優以外でも優れた演技をする人もいるのは事実。実際にランボー役のささきいさおさんも本業は歌手だ。そこで今回は個人的に優れていると思ったタレントの名演技、それも「芸能人 声優 上手い」と検索してもあまり出てこない人を3人、今回はピックアップしようと思う。

ケンドーコバヤシ

前述の「ランボー ラストブラッド」でランボーを舐めたばかりに酷い目に遭う麻薬カルテル兄弟の弟を担当。兄役の武田真治さんは声色を寄せてるのは伝わるのだが、所々で本来の優男になってミスマッチなのは否めなかった。対して、弟役のケンコバさんは元々の低音ボイスも相まって違和感ナシ。

左が兄、右が弟

「パシフィック・リム」は錚々たる豪華声優陣の中で見せ場を披露。凄いのはあれだけの番組に出て喋り、特徴的な声を覚えられていながら「あ、ケンコバだ。」とならない。声のステルス演技と言おうか。。良い意味で自分の存在感を消して作品のメインキャラや見ている観客の邪魔をしない感じがするのだ。

それを踏まえると、普段のひな壇トークでも目立とうとはせずに一言二言突っ込むだけで笑いを取り、格闘技中継でもメインは試合、自分は少し洒落を言って他は冷静に語ると役割を徹底して遂行しているようにも見え、普段見せない本人の真面目さ、仕事の流儀を感じる。

LiLiCo

有名になる前。WOWOWで日本初放送の「サウスパーク」に出演。人間の悪い部分を煮詰めて凝固した様な作中屈指の外道、カートマン役を担当する。見せ場がてんこ盛りで、ダミ声とマシンガントークで笑いの連続。歌うシーンもあり名曲「カイルのババアはスーパービ◯チ」の後半「ビ○チ」畳み掛けは必見。スペシャル盤があった劇場版キャスト総入れ替えが悔やまれたが、2019年にNetFlix版で復帰。

売れてからも作品とカートマンに対する愛着をトーク番組で語っていたLiLICoさんだが、12月29日のDDTプロレスリングにて肛門爆破を行う事を発表。サウスパーク1stシーズン第1話の題名が「カートマン、お尻から火炎フン射」なので、図らずもキャラクターと中の人がシンクロする事になった

羽賀研二

最近、YouTubeを始めた羽賀研二さん。かつて声優としても活動し、あのディズニーの名作「アラジン」で主役を勤めると、2年後の「ストリートファイターⅡ MOVIE」ではケン役を担当。

全編に渡って力を入れた作画

このケンの演技が本当に素晴らしく、正気を取り戻したケンがリュウと共闘、ベガ相手に立ち向かっていく戦闘シーンで放つ「竜巻旋風脚!!」⇒「もらったぁ!!」の叫び声がカッコいい。バックに流れる篠原涼子の主題歌も相まって激アツのクライマックスだった。当時からスキャンダラスな人物でイメージ先行型。事件をネタにされる、本人が自虐で出る機会も多く、上記2作の演技を認知していた人も少なかったのではなかろうか。

そして2007年に逮捕。アラジンは貧困から盗人をしているのに対し、演者はセレブを売りにした巨額詐欺恐喝という事で「ひと足お先に」の歌詞よろしく、パッと先手を打ってサッと逃げるが勝ちとは行かず、羽賀氏本人がランプに封印(差し替え)という目に遭った。

養護のしようがない逮捕から数年経ち「勿体ない」、「詐欺などせずに声優を目指していれば」とのコメントがYouTubeで散見されるが「ストリートファイターⅡ」は一部配信サイトで視聴できる(お蔵入りになっていない)。

最後に

以上が個人的3選。最近はタレントの吹替で、そこまで批判される作品は少なくなり、寧ろプロの声優だけでも集客できるようになっている(『トップガン・マーヴェリック』など)。また10年前に酷評された作品も新録(『プロメテウス』、『マッドマックス怒りのデスロード』)されたりと、確実に声優の知名度・認知度が上がっているのが分かる。

あと昔は主役をタレントが演じたアニメも毎週放送され(「こち亀」や「るろうに剣心」)好評だったが、これらは長期放送の過程で指導され、経験を重ねる事で形になっていたのに対し、映画だと単発且つ短期間での準備で本番に臨まねばならないという違いもあるのではとも書いてて気付いた点。

まあそれでも、おかしいだろと思う作品もある訳で。私は「LIFE!」の岡村さん。やはりアメリカ人が関西訛りなのは違和感だった。結論、こういうミスキャストが無い方が見る方も演じる方もお互いにとって良い。ただ良い演技をした人は偏見無しで褒めるのも大事と思った次第。


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