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MAD組長と野郎乙女のアイドル地獄変「Back Street Girls -ゴクドルズ-」

4月12日。声優の藤原啓治さんが3回忌を迎えた。
子供の頃は「クレヨンしんちゃん」の野原ひろしと「ぼのぼの」のアライグマくん。社会人になってからは「銀魂」の服部全蔵、「ジョジョの奇妙な冒険」のエシディシ。。訃報を聞いた時の喪失感は私も大きかった。今なお沢山の人の心の中に生きる名俳優だ。

この日もTwitter上にはたくさんの代表作がタイムラインに流れた。「ZOIDS」、「ハンターハンター」、「エウレカセブン」、「鋼の錬金術師」、「ビーストウォーズ」、「アイアンマン」。。。
しかし、個人的に埋もらせるには惜しい作品があったのでここで紹介。

「Back Street Girls -ゴクドルズ-」
藤原さんの長期休養明け初新規レギュラー作。

真ん中の椅子に座ってるのが組長

犬金組の若手3人衆。健太郎、リョウ、カズは大ヘマをやらかし粛清の危機を迎えていた。鬼の犬金組長を前に指10本差し出す覚悟の命乞いをするが組長はこう言い放つ。

「お前ら、アイドルやれよ」

時は○○○48を始め地下アイドルブーム。新たな金脈と捉えた組長は3人にタイで性転換手術するように命令。断れば臓器差し出せのオマケつきで。
結果、秒でタイに飛んだ彼等(改め彼女等)は美少女に見事変身して「ゴクドルズ」結成。文字通りのアイドル地獄変が幕を開けたのだった。

いくら外見は女の子でも中身はおじさん。
控室で股開いて一升瓶ラッパ飲みからの花札ムーブで事情を知らない敏腕マネージャーがマジギレ。
握手会に敵対する組の組長が来場。離別した実父がニューハーフに転向など衝撃的な場面が次々出るのだが一番の見どころが藤原さん演じる組長。

「ゴクドルズ」のプロデューサーとして暗躍するのだが妙に作詞能力が高く3人の意に反してグループは大人気に(よく聞くと不穏な歌詞が特徴)。

但し、やらかした者は容赦なく粛清。もはや「北斗の拳」のアミバに匹敵する人体実験の域に達した、まさに外道。

しかし、本業そっちのけでアイドルに熱を上げて部下から呆れられる、妻からは浮気を疑われるなどのコメディ担当で実質主役の存在。

藤原さんの演技も相まって、その一挙手一投足に目を離せない。一番の見どころは9話で妻に泣いて詫びる場面。当初復帰1作目で心配していたのが爆笑してしまう衝撃シーンだった。

本作の特徴は、動くシーンが少ない紙芝居の絵を(次回予告でも名前が挙がる)今千秋監督の手腕で絵力と役者陣の超ハイテンション演技でカバー。

そのキャストも3人衆演じる小野大輔さんと興津和幸さん、そして本作の翌年に日本アニメ史に残るあの煉獄杏寿郎を演じる事になる日野聡さんで、それぞれコメディで笑わせ、男女両バージョンで歌も用意。

「仁義なき戦い」など安定の実績の東映が配給した実写版も制作された作品(組長役は岩城滉一さん)。

遺してくれた芝居に思い切り笑って、歌に乗って、可愛い女の子(中身は男)に癒されて。NetFlixでも配信中なのでお時間ある時に是非。


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