note50本目 2023年になって「香水」の歌詞が気になる

今「聖闘士星矢」を読み直しているような私は「はやりもの」全般に弱い。
特にJ-POPはからきしである。
 
私がCDを買ったのは1990年代後半~2000年代前半くらいで、
記念すべき最初のCD(もちろん8cm)は「そばかす」。ジュディマリ。
はい、そうです。「るろうに剣心」です。歌詞見ないで歌えるくらい聴いたし歌った。
 
カウントダウンTVとかMステを見ていたのはだいたい2006年くらいまでで、
AKBとかがはやりだすころにはもう私はJ-POPとはすっかり疎遠でした。
 
紅白歌合戦でその年(あるいは前年)の流行りを知る……
 
 
で、紅白で知った曲の1つが
「香水」by 瑛人
 
「ドルチェ&ガッバーナ」の曲がどうも人気らしい、ってことだけは認識していたが、そうか、こんな曲なんだ……

以来なんだか気に入ってYouTubでリストに入れている。
こういう哀愁ただよう曲は好き。ギター一本という伴奏のシンプルさもよい。
 
これを数日前の朝、通勤途中で、なぜか思い出した。
ありますでしょ、突然ある曲が何の脈絡もなく頭の中でまわりだす瞬間が。
 
 
でもまた同じことの繰り返しって僕がフラれるんだ
 
ここ、不思議だな。卒然と思った。
 
普通なら
「でもまた同じことの繰り返し"で"僕がフラれるんだ」

「でもまた同じこと"を"繰り返し"て"僕がフラれるんだ」
でしょう。普通なら。
 
歌うぶんには、どちらでも全く支障ない。
しかしどちらも選ばない。 
 
「でもまた同じことの繰り返し……って、結局僕がフラれるんだよね? 
わかってるよ」

 
こんな空気感だろうか。
「って」のところでハッと目が覚めるような。
どんどん元カノに引き寄せられていく「僕」の心が歌われている歌で、
一番最後に、我に返る。
……ああ、危ない危ない。同じことを繰り返しちゃいけない。
「僕」が我に返ったから、この歌はここで終わる。
 

ツイッターでこの部分を入れて検索すると、
「最後だけ『フラれる』って情緒のない言葉選びで驚いた」という趣旨のつぶやきがあった。
 
「情緒」云々は人によってとらえ方が違うと思うけど、
最後にパッとテンションが変わる、色が変わる感じがする、という意味ではものすごくうなずけた。
 
 
よく見るとその直前の歌詞も不思議。
 
別に君をまた好きになるくらい君は素敵な人だよ
 
「別に君を」で始めて、「求めてないけど……」とさんざん繰り返してきたリフレインを予感させながら、くるっと方向転換する。
 
本当は、実は、……
 
この歌はおもしろくて、本当の気持ちをウソで上書きしようとしながら、それができない、なんとも煮え切らない男子の感情を歌いあげている(ように思える)。
その苦闘ぶり、空回りっぷりが、「クズになった僕」の惨めさをいっそう際立たせている。
 
グーグルで検索すると
「全部香水のせいにするな」「気持ち悪い」「幼稚」
などの非難がけっこうでてきてゲンナリする。
 
歌は、道徳の教科書じゃないからね。
歌詞にマジギレしてる人はよほど自分の行いや生き方に自信がおありなのだな。
または、こういう「クズ」に振り回されて傷ついた実体験をお持ちなのかもしれない。
まあ、何に怒りを覚えるのも各人の自由ではある。感情や感想はコントロールできないしすべきでもない。
 

まあ、私のように恋愛と無縁の地平を一人歩いてきた人間は
「人とは本当に面白いな」(クロロ=ルシルフル)の気持ちでこの歌を聴いているのである。

 
(……茶ぶどうが買っている数少ない「連載中」マンガが『ハンター×ハンター』なんやで……)
 

(noteでは希少種、長文を書く「聖闘士星矢」オタクだよ)
 https://note.com/tyabudou/n/n47d0b68b0655

  
 
 


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