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パフューム ある人殺しの物語

Perfume: The Story of a Murderer(2006年製作の映画)
鑑賞:2020/04/16、公開:2020/04/17
監督トム・ティクヴァ脚本トム・ティクヴァアンドリュー・バーキン

みようみようと思って後回しにしてた映画をみるDay

ちょいちょい名前は出るしベンウィショーだし。
パッケージが濃厚そうなので時間に余裕がある時にしようと思ってたら後伸ばしになってしまった。

思っていた感じと全然違った。

こんな高級感溢れるど天然変態匂いフェチサイコパスストーカー殺人鬼映画なんて見たことない。

これは素晴らしい。
フェチズムがテーマだけあって画面もディテールや質感のシズルが濃厚でまさに匂い立ってくるみたい。

ベンウィショー目当てで見たけど、それどころじゃないくらい面白かった。
高慢で狡くて器の小さな人間があんなにハマるなんて、今まで見た中で一番いいダスティンホフマンだった。そしてやっぱりアランリックマン。動いて喋ってるだけで悲しくなる。これだけフェテッシュを取り揃えて彼のベルベットボイスを外すわけがない。もう声フェチにも大サービス。
ベンウィショーはもとより主要男性キャストが鼻のサイズ基準で選ばれてるような気がするけど気のせい?

冒頭の見せ方から半端ない感を漂わせていたけど、全編抜かりなし。上手いし面白い。

*以下ネタバレあり

note追記
調べたらランローラランの人だった。そうかドイツ人か。なんか納得。ドイツ人ってなんとなく強烈なフェチズムを持ってそうという偏見がまた強まってしまう。

連続殺人者が主役ですがあんまり不愉快ではないのはなぜだろう。主人公のグルヌイユが純粋だからだろうか。
ヨーロッパにおける人格と個人のあり方と才能の見え方が面白かった。
先天的な問題なのか育った環境の問題か。純粋なのか知的障害のある人なのか、純粋な才能を表現するために知的障害っぽく見えてしまっているのか。そして、それはこの映画にとってそんなに大事ではなかったり。

ラスト近く自分が追い求めていたのは彼女の匂いではなく、ただ好きになった女の子と見つめ合い手をつなぎ愛し合うことだったと気づいた時の彼の心境たるや、想像でしかないが壮絶なものがある。

世界を変えるあの香水の持つ力はそのまま彼があの女の子を愛し求める力の現れ。あれほどまでに彼はあの女の子を求めていた。解放されるとあれくらいの影響があるものを彼は心のうちに抱えていた。

ということで、純粋ゆえにあまりにも強く愛を求めた男の悲しみの映画に見えた。事実だけ見ると共感できる要素がないにもかかわらず訴えてくるものがある。

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