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SFにアメリカ文学の匂いが漂う「火星年代記(新版)」読んだ

「火星へ」の流れであまり読んだことのないレイ・ブラッドベリの「火星年代記」。
2010年の新訳?で中身もその時代に合わせてブラッドベリが少しいじってるみたい。


表紙の感じからどれくらいのテクノロジーで火星居住を実現しているのかな。と思って読み始めたけどそういうことではなかったです。期待と裏切りがいい方向に働いてすごく楽しめた。
先入観ありがとう。

レイ・ブラッドベリを調べると大体、詩的な作風が特徴と書いてある。
過去に読んだのは「華氏451」でその時はあんまりピンとこず。翻訳だと詩的表現は伝わらないのかなと思っていたけど、今作でようやく納得した。
なるほど。
誰が先かはわからないけど。印象としてはブローディガンっぽい。SF作家としての雰囲気はボネガット風。そしてマーク・トェインの匂い。翻訳者次第という気もするけどその辺はよくわからない。


皮肉っぽい思想ではあるけど、どことなく漂うユーモアと諦め感。
語られる内容は今でも十分納得共感できる事ばかりで驚く。これは自分がそういう世界観で育ったからか、そうゆう種類の人間だからか。
リベラルというか、反マッチョイズムというか。テクノロジーは生活を便利に豊かにするけど、それが幸福とは限らない。それがわからない程人類は馬鹿ではないけど、だからと言って人類自身が不幸になることを止められるわけでもない。そんな感じ。
1950年から今まで読み継がれているくらいなので人気の作品なんだろうけど、個人的に好み過ぎて何がどう面白かったのかはよくわからない。

古典によっては、使い古されて面白みがわからない物も多いけど、今作は今でも充分楽しい小説でした。
凄い。


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