映画『カメラを止めるな!』のこと
私はゾンビ映画を観るとき、いくらか緊張します。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)から脈々と続いているこの偉大なポップアイコンのメッセージ性に尻込みしてしまいます。ゾンビ映画は現実社会のメタファー。何を訴えかけているのか。考えてしまう。
観た人の99%が絶賛。リピーターも続出。今年ベスト級。
一部でカルト的盛り上がりを見せてる本作。不安と緊張の半分半分を胸に秘めながら観に行きました。
ゾンビ映画撮ろうとしたら、本当のゾンビが出てきてしまった。
※本作の特性上ネタバレ厳禁なので以上のストーリー以外は知らずに観に行きました。
以下ネタバレ含みます。
なんとこの映画はゾンビ映画ではなかった!!コメディ!!
ゾンビ映画を撮ろうとした人たちの話。
前半は演劇的にゾンビを見せ、後半は前半の伏線回収・舞台裏ものとして映画的に演出されています。
前半の圧倒されるような37分間のワンカット長回しは、あれ?おかしいな?あれれ?って疑問を残しつつ、最後の舞台裏パート部でその伏線が回収される。あ!あの時の不自然なシーンが、意味があったのか!
主人公の監督が泣かせます。仕事に悩み決断しながらも、清濁併せのんで何とかやり遂げようとする男の話。若手スター俳優は演出にケチをつけ、ヒロインの女優は仕事自体を舐め、ベテラン俳優はアル中で演技どころじゃない。このドタバタはラヂオの時間を思い出しました。
それでもなんとかワンカットで作品を完成させるため、
本番途中で起きてしまうトラブルも現場の知恵とユーモアで乗り切る工夫。
その中で裏方一人一人にささやかな夢であったり、自己実現があること。そのことをセリフとかではなく、表情一つで魅せるのがほんと映画的で上品で良かったです。カメラアシスタントの女の子と監督の娘が素敵でした。
みんなで必死になって作り上げるチーム物としても、最後おおきな仕掛けがあり、頑張れー!頑張れー!!と心の中で叫んでしまう。
一度経験してしまえば、経験してない状態に戻れない。
仕掛けがわかってないからこそ新鮮な驚きがある。
こんな笑える映画で、こんなすっきりする映画と思わなかった!
初めてこの映画を観る人がうらやましい!!
このTシャツ買ってしまった
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