見出し画像

『日向坂で会いましょう』はAIから仕事を奪う

※1月26日18時更新、引用の表記に誤りがあったので訂正しました。大変失礼いたしました。

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

早いもので1月もあっという間に過ぎようとしている。2023年は西宮神社で行われる「開門神事福男選び」が3年ぶりに行われるなど、コロナ禍の生活が変移を遂げそうな兆しをみせている。わたしも個人的には行ってみたかった地方へ旅行などを計画しているところだ。

気持ちよく行動するためにはまず心持ちを景気よくしておきたい。今回は運試しで一番福に勝ち上がる【ツキで年女が決まるMidnight 第1回ラッキーガール選手権】を行っていく。運は試行してこその価値だ。優勝者には番組内でなにかラッキーなことが起こる権利が与えられるそうだ。

企画前編ではわさびや炭酸ガスなど、バラエティ装置が登場した。ならばやることはひとつ、リアクションだ。4期生はほとんどが初めてリアクションという見どころづくりを試されたわけだが、それに際して先輩方のお手本がそれは見事だった。若林さんのテレビ的指導・手本は『ひらがな推し』のときにも見られた光景だが、今は1・2・3期生もまた十分手本たりえ、さらに潮さんに至っては若林さんにわさびずんだ餅を試食させるという現場の回しまでこなしてみせた。アイドルに向けてしばしば投げられる「成長」という評価、これを成長と呼ばずしてなんと言おうか。その仕事っぷりは前後編あわせて春日さんがまったくの置物になるほどに、だ。

おしゃべりな潮紗理菜さんのわさびリアクションはちょっとオーバーなくらい完璧だったし、特に森本茉莉さんの炭酸ガス。ゲーム開始前に試し打ちをしたときに森本さんがそっくり返るほどの驚きをみせた。結果論だけど、あれによりゲームが始まったときには炭酸ガスを受けたときのリアクションの概要がみんなに共有されていた。ファインプレーである

わさびずんだ餅にたどたどしく奮闘するなかキラリと光ったのは竹内希来里さんだ。彼女は自己紹介企画のときにも一口含んだあとのグレーな表情を巧みに使いこなし、今回も同じように表情づくりやセーフ/アウトを見事使い分けた。形式は基本的であるが、竹内さんの試食と言えばと呼べるオリジナリティあるの基本形、きらり印の激辛顔を作り上げた。形式めいた険しい表情、縁起物みたい景気が良い感じがしてわたしは大好きだ。

準決勝が行われた後編では全員一斉参加のゲームが主に行われた。おみくじで問題ジャンルが変わる出題形式で、ひなあいといえばの大喜利も含まれていた。4期生は研修合宿で大喜利も練習したそうだ。合宿の成果が現場でウケたことに心をときめかせる正源司陽子さんの隣で昏い黒目をしていた齊藤京子さんの並びは非常に趣があった

はたからみればアイドルがわざわざ大喜利を練習するのは一風変わっているとおもわれるが、これは日向坂46の4期生の研修合宿だ。日向坂46が今のカラー・地位をつくるまでの過程において冠番組をイメージ付け、テレビ番組への柔軟な発想力や対応力を養った大喜利の功績は大きいと感じていて、その成功体験に倣おうとする働きは至極当然である。テレビに出演する立場は請け負う側であり、先のリアクションのように台本などの基本があるなかで、いかに道を違えずに外れられるか、条件付き自由が試されていると思う。

『日向坂で会いましょう』にあてはめてみると、アイドルという大前提条件に加え、企画・テーマなどの追加条件の数々があり、不慣れな演者を雁字搦めにする。これは大喜利だけに限った話ではないが、問題回答において重要な点が問題文の理解である。回答のための知識量や発想力もさることながら、言葉の意味、シーンの想像、細やかなニュアンスを瞬時に把握し理解する能力も必要で、むしろこちらのほうが重要である。まとめると、大喜利をがんばれば理解力と対応力が同時に養われる。心象的な負荷は別として、ウケるウケないは副産物であり、坂道番組MCが時々伝えてる「冠番組は失敗の場」で取り組む訓練としては非常に効率的であるとわたしは考える。

日向坂46で大喜利といえば上村ひなのさんだ。上村さんは空気感を言語化するのにとても長けている。

お題:若林家にあって春日家にないモノとは?
回答:また来たくなるかんじ

『日向坂で会いましょう』1月23日放送

大喜利にはおおきく2つ、事実ベース空想ベースがあると思っている。違和感を指摘するか違和感をつくりあげるか、みたいなニュアンスと捉えてほしい。ひなあいの大喜利は回答者に合わせた難易度を設定されており、オードリーをいじればそのまま回答になるようなお題がたびたび出題される。上記のお題ならば考える糸口は「若林と春日との相違点」「春日家にないもの」となり、考えやすいところから回答していくと自然と事実ベースに回答が偏りがちになる。

ここからはわたしの考察になるが、上村さんも他のメンバーと同じくこの出発点から思考をはじめて「春日さんってなんかこんな感じかな」と抽象化してイメージを希釈してから言語へと濃縮してる。したがって聞き手にシーンを想像させる空想ベース寄りの回答が出せる、というのがわたしの見解。さらに再構築したのちに空気感に授ける名前も巧妙でキャッチーだ。

さて、肝心の企画の優勝者は最終競技「運試し早歩き障害物レース」を制した上村ひなのさんに決定した。2位は4期生・正源司陽子さんだった。3期生、4期生のワンツーフィニッシュで幕を閉じた今年の運試し。若芽が勢いよく飛び出した『日向坂で会いましょう』は今年も良い一年になりそうだ。これからも楽しみにしていきたい。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?